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第80期順位戦B級2組9回戦

1月12日に順位戦B級2組9回戦の一斉対局がありました。

この日、私が注目していたのは、昇級争いの単独トップを走る中村太地七段と阿部隆九段の対局です。先手の阿部九段が矢倉の駒組みを進め、中村七段は雁木に構えます。ジリジリした駒組みが続き、中村七段が飛車を6筋や4筋に回して揺さぶると、阿部九段は菊水矢倉に組み替えます。中村七段は飛車を8筋に戻して仕掛け桂を交換すると、端を絡めて玉頭から攻め掛かり王手飛車取りで飛車を奪います。阿部九段も反撃しますが届かず、中村七段が寄せ切りました。

他の主な注目対局の結果は以下の通りです(左が勝者)。

 丸山忠久九段 - 戸辺誠七段
 谷川浩司九段 - 深浦康市九段
 澤田真吾七段 - 飯塚祐紀七段
 増田康宏六段 - 大石直嗣七段
 鈴木大介九段 - 髙見泰地七段

私が注目している中村(太)七段が8勝0敗となり、2敗勢で中村七段より上位が1人になったため、2局を残して昇級を決めました。澤田七段も7勝1敗となり、残り2局で1勝すれば昇級が決まります。6勝2敗で4人が追う形になりましたが、順位が1番上の丸山九段は、残り2局を連勝すれば自力で昇級を決めることができます。増田(康)六段ら他の2敗勢は、残り2局を連勝して上位者が崩れるのを待ちたいところです。
一方、6人に付けられる降級点(*)争いも佳境になってきました。現時点で2勝以下の6人が降級点圏内に入っています。既に降級点を1回取っている窪田七段は、今期も降級点が付くことが確定し降級が決まりました。振り飛車御三家の一人藤井(猛)九段は1勝7敗と不振で、降級点を回避するには残り2局を連勝することが絶対条件です。今期藤井竜王に2勝するなど健在ぶりを示している深浦九段も、順位戦は2勝6敗と苦しんでおり、残り2局での巻き返しに期待したいと思います。

(*)降級点  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B級2組以下のクラスでは、成績が悪くても1期で降級することはなく、成績下位の一定人数に「降級点」がつけられる。降級点はB級2組とC級1組では2つ累積、C級2組では3つ累積すると降級する。

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