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第4期清麗戦予選トーナメントの展望

大成建設杯清麗戦は2019年度に新設された女流棋戦で、予選トーナメントの勝者と、再挑戦トーナメントと呼ばれる敗者復活戦を勝ち抜いた3名の、合わせて4名で本戦トーナメントを戦い、優勝者が挑戦権を得ます。前期は加藤桃子女流三段(当時)が、予選トーナメントの初戦で敗れたものの、再挑戦トーナメントを6連勝して勝ち上がり、本戦トーナメントでは香川女流四段と鈴木女流三段を破って挑戦権を獲得し、五番勝負で里見香奈清麗(当時)を3勝2敗で降して戴冠しています。

今期の予選トーナメントは、既に山根女流二段と伊藤女流三段がベスト4に名乗りを上げ、残る2つの席を目指して西山女流二冠vs甲斐女流五段と、香川女流四段vs山口(恵)女流二段の対局が決まっています。この中では今期から参戦が可能となった西山女流二冠が本命と思われますが、女流名人戦五番勝負で2連勝と波に乗る伊藤女流三段も充実しており、誰が勝ち上がっていくのか楽しみです。

里見女流五冠の名前が出てこないことにお気付きの方もいると思いますが、何と3回戦で西山女流二冠と激突し、敗れて再挑戦トーナメントに回っています。里見女流五冠と西山女流二冠は、2019年6月の女流王位戦から2021年11月の清麗戦まで、女流タイトルを2人で分け合ってきましたので、予選で顔を合わせるのは実に久し振りのことでした。西山女流二冠にとっては、昨年女流王座と女流王将を奪還された里見女流五冠に一矢報いる形になりました。里見女流五冠としても、再挑戦トーナメントを勝ち上がり清麗奪還に向け突き進むことと思います。

他の有力者の状況も確認しておきましょう。
レジェンド清水女流七段は1回戦で敗れましたが、再挑戦トーナメントで2回勝って本戦進出を目指しています。中井女流六段も2回戦で敗れましたが、再挑戦トーナメントで1回勝って本戦進出を目指しています。白玲戦七番勝負に進出した渡部女流三段は3回戦で敗れ、再挑戦トーナメントの初戦で里見女流五冠との対局が決まっています。両者は白玲戦の順位決定トーナメント準決勝で対局し、渡部女流三段に軍配が上がっていますので、里見女流五冠にとってはリベンジマッチとなります。第2期挑戦者の上田女流四段は準々決勝で敗れて再挑戦トーナメントに回っており、相手は未定ですが3回勝てば本戦進出となります。

まだ歴史の浅い清麗戦ですが、再挑戦トーナメントがあることで実力者が挑戦権を得る可能性が高くなっています。二強と呼ばれる里見女流五冠か西山女流二冠が勝ち進むのか、二強に風穴を開ける新星が現れるのか、注目していきたいと思います。

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