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「観る将」が観た第3回AbemaTVトーナメント準決勝①

Stay Home期間中から楽しませていただいた本トーナメントも、いよいよ準決勝を迎えました。8月1日はチーム渡辺vsチーム三浦の一戦です。本トーナメントは本戦から生中継されていますが、8月1日は叡王戦もあり、一部ビデオ視聴となりました。なお、この日の解説は実況名人の称号を得つつある藤森五段です。どんな名実況が飛び出すかも楽しみの一つです。

一局目 渡辺二冠● vs 三浦九段〇 (チーム渡辺 0勝:チーム三浦 1勝)
いきなりリーダ同士の対戦となりました。三浦九段が飛車切りから積極的に仕掛け、渡辺二冠の反撃をかわしてまず1勝しました。藤森五段の解説も「これは約詰めろです」など舌好調の気配が濃厚です。

二局目 近藤七段〇 vs 本田五段● (チーム渡辺 1勝:チーム三浦 1勝)
本田五段が棋王挑戦の原動力となった相掛かりで攻めるのを近藤七段は堂々と受け止め、左金を前進させて抑え込みに成功、そのまま押し切りました。

三局目 石井六段● vs 高野五段〇 (チーム渡辺 1勝:チーム三浦 2勝)
高野五段がチーム名となっているミレニアムを採用し、石井六段が攻めかかるところ、高野五段は△5三角から反撃し、藤森五段の言う「野菜増し増しみたいな囲い」を冷静に攻略し、チーム三浦に2勝目をもたらしました。

四局目 渡辺二冠〇 vs 本田五段● (チーム渡辺 2勝:チーム三浦 2勝)
昨年度の棋王戦と同じ顔合わせとなりました。本田五段が得意の相掛かりに誘導しますが、渡辺二冠はこれを避け力戦調の将棋になりました。渡辺二冠が抑え込みに成功したように見えましたが、本田五段も粘りを見せ、「先手はヌルヌルするのを待つしかない」「クルリンパしてないの、これ」といった迷実況には笑いましたが、最後は渡辺二冠が貫録を見せました。

五局目 近藤七段〇 vs 高野五段● (チーム渡辺 3勝:チーム三浦 2勝)
正統派同士らしく角換わりの最新形の駒組みからじっくりした中盤戦となりましたが、近藤七段が端攻めからきれいに寄せ切り、ついにチーム渡辺が1勝リードとなりました。藤森五段も「ここで怒りポイントですね」など、名実況全開です。

六局目 石井六段〇 vs 三浦九段● (チーム渡辺 4勝:チーム三浦 2勝)
相掛かりから三浦九段がひねり飛車模様の趣向を見せましたが、石井六段が自陣に馬を引き付け頑強に抵抗。互いに自陣に金銀を埋め込み白熱した攻防となりましたが、最後は石井六段が玉頭から殺到し攻め切りました。チーム渡辺は、後手番で相手リーダを倒して4勝目を挙げ、団体戦勝利に向け大きく前進しました。

七局目 近藤七段〇 vs 高野五段● (チーム渡辺 5勝:チーム三浦 2勝)
五局目と同じ顔合わせとなりました。近藤七段が前局とは作戦を変え、矢倉脇システムから棒銀で1筋を突破しますが、高野五段は師匠の木村王位譲りの顔面受けで凌ぎ逆襲します。今度は近藤七段が高野五段の攻めをかわして再度猛攻を仕掛け、ついに敵玉を捕らえました。藤森五段の実況も「後手はフルスイングしづらい状況」「8八か9八か、これは運命の分かれ道」等、冴えわたりましたね。

チーム渡辺は七局目までで5勝をあげ、決勝進出を決めました。所司一門で固めたチーム渡辺は、渡辺リーダへの絶対的信頼感を背景に、この日も近藤七段が3勝、石井六段が三浦リーダを破る殊勲の星を上げるなど、チームバランスが最高潮の気がします。決勝でも若手の好調が続けば、優勝にも手が届くかもしれませんね。

また藤森五段の解説は、楽しくわかりやすく淀みない実況中継となっていて、テンポの速いこのトーナメントを観戦するのに欠かせない存在ですね。決勝の解説もしてくれないかなと願うばかりです。


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