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第15回朝日杯将棋オープン本戦トーナメント ベスト4が決定

1月28日に、朝日杯本戦1-2回戦が行われました。既に菅井竜也八段、永瀬拓矢王座、佐藤天彦九段がベスト4に名乗りを上げ、この日は最後のベスト4を決める戦いとなりました。

1回戦:久保利明九段 vs 稲葉陽八段
先手の久保九段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、稲葉八段は左美濃に囲います。稲葉八段が6筋から仕掛けて位を取り、金銀を前進して中央を制圧します。稲葉八段が銀を突進して銀交換し馬を作ると、久保九段は7筋から反撃します。お互いに1分将棋となり、稲葉八段が飛車取りに△7七香と打つと、久保九段は飛車を香と刺し違え▲5七香と飛車取りに打ち返します。歩切れの稲葉八段は盤上の金を香と交換し、久保九段は銀を取らせる間に飛車を取り返します。久保九段が▲8二飛と打ち込み後手玉を側面から攻め立てると、稲葉八段は先手の玉頭から反撃します。100手近くを双方1分将棋で戦い形勢も二転三転したようですが、最後は稲葉八段が即詰みに討ち取り176手の激闘を制しました。

1回戦:飯島栄治八段 vs 西田拓也五段
先手の西田五段が三間飛車に振り飯島八段が銀冠に囲うと、西田五段は▲3七桂と跳ね雁木のように構えます。飯島八段が△1二玉と寄せたのを見て、西田五段は飛車を▲2九飛と転回して開戦します。西田五段が▲5五角と飛び出し馬を作り合うと、早くも1分将棋となった飯島八段は先手の玉頭から反撃します。西田五段は馬を飛車と交換して▲4一飛と打ち込み竜を作ると、▲1四歩の王手から鮮やかに寄せ切り、持ち時間を10分残しての快勝となりました。前回に続いて本戦に駒を進めた飯島八段でしたが、前回もベスト4に進出した西田五段の前に屈しました。

2回戦:稲葉陽八段 vs 西田拓也五段
先手の西田五段が1回戦と同様三間飛車に振り、両者美濃囲いから銀冠へと組み替えがっちり囲います。西田五段が6筋の位を取ると、稲葉八段は△6四歩と反発し開戦します。5-7筋で小競り合いが続き、稲葉八段が角を銀と交換したところで西田五段は1分将棋に突入します。AIの評価値は84%と西田五段に傾いています。西田五段は飛車を交換して敵陣に打ち込み"と金"を作って攻め立てますが、稲葉八段も"と金"を作って先手陣の金を1枚剥がします。稲葉八段も角取りに飛車を打ち込むと、西田五段は手抜いて▲1五歩と端攻めを見せますが、形勢は混沌としてきたようです。西田五段は後手玉の上下から連続王手で攻めますが、稲葉八段は懸命に凌ぎます。西田五段の王手が途切れると、稲葉八段は11分残していた時間を一気に使い切り、先手玉に必至を掛けて寄せ切りました。

西田五段は前回のベスト4に続き、今回もベスト8と存在感を示しました。2回戦も優勢の局面を築きましたが、中盤の入り口で1分将棋となり、要所で時間を使い粘り強く戦う稲葉八段に惜しくも敗退となりました。稲葉八段はベスト4進出となり、準決勝は永瀬王座との対局が決まっています。ベスト4の顔ぶれは誰が勝っても初優勝という新鮮なメンバーになりましたので、2月に行われる準決勝・決勝を楽しみにしたいと思います。

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