見出し画像

第1回ABEMA師弟トーナメント本戦準決勝第一試合

2月19日、ABEMA師弟トーナメント本戦準決勝第一試合が放映されました。予選Aリーグを1位通過したチーム畠山「熱風」と、予選Bリーグを2位通過したチーム谷川「飛翔」の顔合わせとなっています。チーム畠山は師匠の畠山鎮八段が2勝2敗、弟子の斎藤慎太郎八段が4勝0敗と、安定した強さで予選を勝ち上がりました。チーム谷川は師匠の谷川浩司九段が3勝2敗、弟子の都成竜馬七段が3勝3敗と、苦戦しながらも絶妙のチームワークで勝ち上がっています。

■一局目 谷川浩司九段 ● vs 〇 畠山鎮八段
両チームとも師匠が先陣を切ります。後手の谷川九段が9筋の位を取り四間飛車に振ると、畠山八段は穴熊に囲います。これを見た谷川九段も穴熊に囲い、相穴熊の将棋となりました。お互いに玉を固めてから、畠山八段が2筋の歩を突き捨ててから3筋の歩を伸ばします。谷川九段が飛車を浮いて受けると、畠山八段も飛車を3筋に寄せて突破を図ります。谷川九段が4筋に"と金"を作ると、畠山八段は飛車で"と金"を取り3筋に"と金"を作って桂を拾います。飛車交換になってお互いに敵陣に飛車を打ち込み、谷川九段は角を切って入手した銀を自陣に投入すると、畠山八段も馬と角を切って後手陣の金銀を剥がします。谷川九段は竜と角と成桂で先手玉に迫りましたが届かず、強気に攻め続けた畠山八段が即詰みに討ち取りました。

■二局目 都成竜馬七段 〇 vs ● 畠山鎮八段
チーム畠山は、勝った師匠が連投します。先手の都成七段が相掛かりに誘導し、畠山八段は棒銀で迎え撃ちます。都成七段は3筋の歩を伸ばして後手の角の動きを制限します。畠山八段が7筋の歩を突くと、都成七段は2筋の歩を合わせてから▲5五角と飛車取りに飛び出します。畠山八段が銀を引いて飛車を守ると、都成七段は角で銀を食いちぎり▲7四飛と回ります。畠山八段が歩で桂を支えると、都成七段は9筋から端攻めします。畠山八段は△6五角と打ち先手の飛車の位置を変えてから△8四飛と浮き、先手からの端攻めを緩和しますが、都成七段は▲4五銀と打って角を捕獲します。都成七段は▲8三角と打ち、▲7四飛とぶつけて馬と竜を作ります。畠山八段は△3七歩成と"と金"を作って反撃しますが、都成七段は馬を飛車と刺し違え▲2一飛と打ち込みます。畠山八段は合い駒に角を使って粘りますが、都成七段が落ち着いて寄せ切りました。

■三局目 都成竜馬七段 ● vs 〇 斎藤慎太郎八段
チーム谷川は、お互いに先後一局ずつという考えで弟子の連投です。後手の都成七段は四間飛車に振り、斎藤八段が角を交換すると向かい飛車に振り直します。斎藤八段は▲7七角と自陣に打ち、3筋の後手の桂頭を狙います。都成七段も△4四角と打って対抗し、穴熊を目指します。斎藤八段は高美濃に囲うと5筋から仕掛け、飛車を5筋に回して攻め掛かります。桂損となった都成七段は飛車を7筋に回して先手の玉頭から攻め掛かり、△5四銀~△5五銀と角の活用を図ります。斎藤八段は▲6四桂と打って後手の金を剥がしますが、都成七段も△8四桂と打って銀を剥がします。斎藤八段が▲6三金と飛角両取りに打つと、都成七段は△4六角と飛車取りに飛び出し△7九銀と王手で放り込みます。お互いに時間に追われる中、斎藤八段は強く▲7八玉と避け銀を捕獲すると▲7四桂から反撃に転じます。都成七段は自陣に金を投入して凌ぐと△4六馬から再び先手玉に迫ります。斎藤八段も竜で馬を食いちぎって後手玉に迫り、珍しく慌てて駒が手に付かない場面も見られましたが、▲7一銀と絡みつきます。都成七段は△9六歩と詰めろを掛けて下駄を預けると、斎藤八段は落ち着いて長手数の即詰みに討ち取りました。

■四局目 谷川浩司九段 ● vs 〇 斎藤慎太郎八段
決勝進出に王手を掛けたチーム畠山は、必然的に斎藤八段が出陣します。先手の谷川九段は、初手に意表を突く▲5六歩から中飛車に振ります。斎藤八段は左美濃、谷川九段も美濃囲いに構えます。じっくりした駒組みが続き、谷川九段が銀冠に組み替えると、斎藤八段も銀冠に組み替えます。斎藤八段が角を8筋に転回すると、谷川九段も飛車を7筋に回して備えます。谷川九段が更に8筋に飛車を回すと、斎藤八段は7筋から仕掛けます。銀交換の後、斎藤八段が桂取りに△7六歩と打つと、谷川九段は▲2五歩と玉頭から攻め掛かります。桂を交換して、谷川九段は後手陣の銀を剥がしますが、斎藤八段も角金両取りに△5六桂と打ちます。角交換の後、斎藤八段は飛金両取りに△6八角と打ち、飛車を取って馬を作ります。谷川九段は▲5二角と打ち込み馬を作りますが、斎藤八段は飛車で銀を食いちぎり△2六銀と先手の玉頭から攻め掛かります。斎藤八段が詰めろを掛けて下駄を預けると、谷川九段は▲3一銀のタダ捨てから連続王手で迫りましたが届かず、無念の投了となりました。

【チーム畠山 3勝 vs チーム谷川 1勝】
チーム畠山は、弟子の斎藤八段が予選から6戦全勝と絶好調で、チームの決勝進出を牽引しました。師匠の畠山八段も強気の指し手で師匠同士の対決を制し、チームに流れを呼び込みました。チーム動画の撮影でフィッシャールールの猛特訓をした成果が、充分に発揮されていたように思います。斎藤八段の快進撃が続けば自ずと優勝を引き寄せられるはずですが、畠山八段の積極的な将棋も楽しみにしたいと思います。
チーム谷川は、師匠の谷川九段が振り飛車を連採しましたが白星に結びつかず、惜しくもここで敗退となりました。個人的には、谷川九段の角換わりを観たかったので寂しく思います。都成七段は偉大な師匠の前で、予選の時に漂わせていた緊張感もほぐれてきただけに残念ですが、二人の深い絆を充分に感じさせるチームだったと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?