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「観る将」が観た第12期女流王座戦第四局

12月20日、第12期リコー杯女流王座戦五番勝負第四局が、東京の将棋会館で行われました。ここまで2勝1敗の里見香奈女流王座が勝って防衛を果たすのか、加藤桃子女流三段が勝って最終局に決着を持ち越すのか、注目される一局となっています。

居飛車穴熊対中飛車

先手の加藤女流三段が3手目に9筋の歩を突く趣向を見せると、里見女流王座は端歩に応じてから得意の中飛車に振ります。加藤女流三段が超速3七銀で対抗して穴熊を目指すと、里見女流王座は高美濃に構えます。

挑戦者の仕掛け

加藤女流三段が▲2六角~▲3七桂と4筋からの仕掛けを狙うと、里見女流王座は△4二角~△3三桂と備えます。後手の角の利きが止まったのを見て、加藤女流三段が角を1筋に引いて飛車先突破を狙うと、里見女流王座は飛車を2筋に回して受けます。加藤女流三段は12分の少考で▲4四角と銀を食いちぎり、角取りに▲4三銀と打ち込みます。

女流王座の反撃

里見女流王座が角を5筋にかわすと、加藤女流三段は飛桂両取りに▲3二銀成とし、桂を取ります。里見女流王座は△6九角と先手陣に打ち込み、28分の熟考で△7八角成と金を食いちぎり、6筋の歩をぶつけて角道を通します。次の61手目を加藤女流三段が考慮中に昼休となりました。各3時間の持ち時間の内、残り時間は里見女流王座が2時間5分、加藤女流三段が2時間13分となっています。

飛角両取り

加藤女流三段が昼休を挟む17分の熟考で同歩と応じると、里見女流王座は8筋の歩を伸ばして玉頭戦を挑みます。加藤女流三段が成銀を寄って角に当てて引かせ、飛車取りに▲3三角と打つと、里見女流王座は8筋の歩を突き捨ててから飛車を4筋にかわします。加藤女流三段が飛角両取りに▲3二成銀とすると、里見女流王座は飛車を見捨てて△8六角と飛び出します。

女流王座の敵陣の馬

加藤女流三段が25分の熟考で飛車を取ると、里見女流王座は▲5九角成と桂を取って馬を作ります。加藤女流三段が成銀を寄って金に当てると、里見女流王座は24分の熟考で金を7筋にかわして辛抱します。里見女流王座は8筋に歩を垂らして攻め掛かりますが、加藤女流王座は構わず馬で香を取ります。

挑戦者の天王山の馬

里見女流王座が先手から8筋に香を打たれるのを防ぎつつ玉頭攻めの援軍に△8五金と打つと、加藤女流三段は金取りに▲7七桂と跳ね、里見女流王座が飛車取りに△6九馬と寄ると、玉を寄せて飛車に紐を付けます。里見女流王座が金を引いて辛抱すると、加藤女流三段は金を引いて後手の馬を遠ざけ、▲5五馬と天王山に引き付けて攻防に利かせます。

盤石の寄せ

里見女流王座は歩と桂で先手の馬を引かせますが、加藤女流三段は▲4二飛と打ち込み、馬の利きを活かして▲8五香と王手します。里見女流王座は玉を7筋にかわしますが、加藤女流三段は上下左右から挟撃態勢を作って逃がしません。里見女流王座は飛車取りに桂を打ちますが、加藤女流三段が構わず桂で王手して金桂交換します。里見女流王座は1分程考えましたが、攻防ともに見込みなく投了を告げました。

まとめ

本局は加藤女流三段が積極的に仕掛け、お互いに角を切り合う激しい展開となりました。駒損となった里見女流王座は玉頭戦で勝負を挑みましたが、加藤女流三段は落ち着いて対処しリードを拡げて勝ち切りました。
この結果両者2勝2敗のタイスコアとなり、3日後に予定されている最終第五局に決着が持ち越されました。両者が存分に力を発揮し、好局になることを期待したいと思います。

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