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女流棋士・奨励会員・アマチュアにおける 棋戦優秀者への対応について

少し前になりますが、2月5日に日本将棋連盟は「女流棋士・奨励会員・アマチュアにおける 棋戦優秀者への対応について」の発表を行いました。

これは奨励会三段という立場の西山朋佳女流三冠が各棋戦で活躍したことに対し、三段リーグの次点を与えても良いのではないかという声を受けて、ルールを明確化したものと思われます。西山女流三冠は既に三段リーグで次点を1回取っており、もう1回付与されれば四段昇段(=プロ棋士)の権利を得ることができます。ただ西山女流三冠は、多くの場合(奨励会三段ではなく)女流タイトルホルダーの立場で各棋戦に出場しているため、そこでの活躍により三段リーグ次点を得られるのは不公平ではないかという声もありました。

個人的には、日本将棋連盟がルールを明確化したことを高く評価したいと思っています。特に「これは奨励会三段が女流棋士枠で出場し、優秀な成績をおさめた場合においても同様とする。」と明文化したことは、上記議論に決着をつけるものであり、前向きな決定だと思います。

ただし「上記対応を行う際の各棋戦における基準」については、少し厳しすぎるなというのが率直な感想です。西山女流三冠は、第33期竜王戦の6組ランキング戦でベスト4まで勝ち上がったのですが、今回の基準ではランキング戦優勝なので更に2つ勝たなければならなかったことになります。また第92期棋聖戦で二次予選決勝まで勝ち上がったのですが、今回の基準では本戦ベスト8なので更に2つ勝たなければならなかったことになります。

プロ棋士の中で、これらの基準を満たしたことのない棋士はかなりいるはずです。連盟としては、余程のことがない限り例外を認めたくないというのが本音だったのかもしれません。しかし人には得手不得手があり、三段リーグのような長丁場のリーグ戦は苦手だけど、各棋戦のトーナメントでは力を発揮できるタイプの人もいるかもしれません。もちろん実力のない人がプロになれるような制度ではダメですが、プロ棋士を目指す少年少女が夢を抱けるよう、もう少し現実的な基準にしてもらえたら良かったなと思います。西山女流三冠に限りませんが、新たな基準でプロ入りする人が現れれば、話題性も含めて将棋界を盛り上げる一助になるはずですから。

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