見出し画像

第83期順位戦A級の展望

第82期名人戦七番勝負は藤井聡太名人の防衛で幕を閉じたばかりですが、次期名人挑戦者を決める順位戦A級の対局順が既に発表されています。A級は毎年1つずつクラスを昇ってきたトップ棋士10人が総当たりで戦い、優勝者が名人に挑戦し、下位2人がB級1組へ降級します。最終戦となる9回戦は、ほとんどの棋士が名人挑戦かA級残留を掛けて深夜まで死闘を繰り広げるため、「将棋界の一番長い日」と呼ばれています。

日本将棋連盟HPより引用

今期の順位戦A級は、前期に続いてA級初参戦者が2人誕生し、2年前とはメンバーが大きく入れ替わっています。

名人挑戦の最有力候補は、やはり前期挑戦者の豊島将之九段でしょうか。前期は6回戦まで全勝でトップを走り、最終局に勝って2回目の名人挑戦権を獲得しました。七番勝負では振り飛車を採用するなどニュースタイルで戦い、1勝4敗というスコア以上に藤井名人を苦しめました。

対抗には渡辺明九段と永瀬拓矢九段を挙げておきたいと思います。3人はともに藤井名人にタイトルを奪われて無冠に転落した苦い思いがあり、誰がリベンジマッチに名乗りを挙げるにしても、今期のA級はこの3人を中心に展開すると思います。2回戦で豊島九段と渡辺(明)九段の対局が組まれており、前半戦の山場になりそうです。

前期は最終局まで挑戦の可能性を残したA級5期目の菅井竜也八段、A級通算8期目となる稲葉陽八段、名人3期を含めA級以上が10期目となる佐藤天彦九段も、当然挑戦権争いに加わるべき実力者です。稲葉八段や佐藤(天)九段が振り飛車を採用するなど、3人がそれぞれ新たなスタイルを模索する中、順位戦でも星を伸ばせるよう期待したいと思います。

前期の昇級者佐々木勇気八段と中村太地八段、今期の昇級者千田翔太八段と増田康宏八段の活躍も楽しみです。特に早くから才能を高く評価されていた佐々木(勇)八段と増田(康)八段には、A級まで年数が掛かり過ぎた印象もあり、一気に挑戦権獲得の期待も掛かります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?