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「観る将」が観た第5期清麗戦第四局

8月23日に第5期大成建設杯清麗戦五番勝負第四局が、大阪市の関西将棋会館で行われました。防衛まであと1勝となった里見香奈清麗が一気に決着を付けるのか、西山朋佳女流三冠が勝ってタイスコアに戻すのか、注目の一局となりました。


戦型は相振り飛車

西山女流三冠が紺色のカーディガンとベージュのパンツ姿で入室し、里見清麗は白いシャツとベージュのスーツを着て入室します。先手の西山女流三冠が三間飛車に振り角を交換すると、里見清麗は飛車で取り返して向かい飛車に構えます。西山女流三冠も向かい飛車に振り直し、里見清麗が矢倉を組んで玉を7筋に寄せると、金無双に構えます。

熟考の応酬

里見清麗が29分の熟考で△5二金と上がり、更に19分考えて5筋の位を取ると、西山女流三冠は6筋の歩をぶつけます。里見清麗は3筋の歩を伸ばし、西山女流三冠が23分の熟考で▲8六飛と浮くと、△2四飛と浮いて飛車の横利きで先手からの仕掛けを防ぎます。

西山女流三冠の銀

西山女流三冠は▲1七銀と上がり、里見清麗が6筋の歩を取ると、▲2六銀と前進して後手の飛車に圧力を掛けます。里見清麗が次の50手目を考慮中に昼休となりました。各4時間の持ち時間の内、残り時間は里見清麗が2時間33分、西山女流三冠が2時間29分となっています。

銀の突進

里見清麗が昼休を挟む16分の熟考で、銀を上がって6筋の歩を支えると、西山女流三冠は▲3五銀と前進して飛車を引かせ、更に桂取りに▲2四銀と突進します。

里見清麗の反発

里見清麗は△2八歩と桂頭を叩いて玉で取らせ、△6六歩と叩いて銀でとらせ、△2六歩と合わせます。取ると王手銀取りがあるので、西山女流三冠は▲3六角と打って辛抱しますが、里見清麗は2筋の歩を成り捨てて、銀取りに△2六飛と飛び出します。西山女流三冠が3筋の歩を突いて銀を守ると、里見清麗は取られそうだった桂を△2五桂と跳ねて畳み掛けます。やむなく西山女流三冠は銀で桂を食いちぎり、歩の犠打で飛車を追い返します。

里見清麗の猛攻

里見清麗が△2五歩と合わせ、更に5筋の歩をぶつけると、西山女流三冠は8筋の歩を突き捨ててから3筋の歩を伸ばし、角の利きを後手陣に通します。里見清麗は5筋の歩を成り捨て、△2六歩と角頭を叩いて金で取らせてから、金取りに△4八角と打ち込みます。西山女流三冠は桂を跳ねて金を守りますが、里見清麗は△3九銀と王手してから、△5五銀とぶつけます。

西山女流三冠の反撃

この銀を取ると角で金を取られてしまうので、西山女流三冠は▲8二歩と叩いて玉で取らせ、▲8三歩と叩いて金で取らせ、7筋の歩をぶつけて攻め合います。里見清麗が銀交換して△4九銀と王手すると、既に先手陣は受けがなく、西山女流三冠は投了を告げました。

まとめ

本局は西山女流三冠が積極的に守りの銀を繰り出して後手の飛桂を攻めました。里見清麗は先手陣に生じた隙を突いて反発し、怒涛の攻めで一気に寄せ切ってしまいました。里見清麗としては、持ち時間を1時間以上残しての快勝だったと思います。
里見清麗は3勝1敗で防衛に成功し、早くも4期目の清麗獲得となりました。記者会見では、集中できる環境を整えていただいた主催者に感謝の言葉を述べた上で「来期も頑張ります」と話しており、初代クイーン清麗の称号獲得の期待が掛かります。
西山女流三冠は自身初の清麗獲得を逃しましたが、来月からは白玲戦七番勝負が始まりますので、熱戦を楽しみにしたいと思います。

大成建設杯清麗戦は大成建設が主催しています。棋譜は下記サイトをご確認ください。


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