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第1回ABEMA師弟トーナメント予選Aリーグ1回戦・第1試合

12月29日、いよいよABEMA師弟トーナメント開幕戦として、チーム井上「加古川の太陽」とチーム畠山「熱風」の対戦が放映されました。チーム井上は、師匠の井上慶太九段と弟子の稲葉陽八段から一文字ずつ取ったチーム名を付けたようです。チーム畠山は師匠の畠山鎮八段の熱と弟子の斎藤慎太郎八段の風を組み合わせたチーム名だそうです。

本トーナメントは佐藤康光会長の発案だそうで、将棋界を理解するのに必要不可欠な師弟制度に光を当て、師弟の絆がテーマになっています。個人的には、日頃あまり観ることのない師匠の将棋を楽しみにしています。今回は4チームずつ2つのリーグに分け、トーナメント戦の優勝チームと敗者復活戦を勝ち上がったチームが本戦に進出します。対戦ルールは下図のようになっています。通常のABEMAトーナメントや女流ABEMAトーナメントとは違い、1人が3勝すればチームの勝利となります。獅子奮迅のヒーローが誕生するのか注目されます。

対局ルール

■一局目 井上慶太九段 ● vs 〇 畠山鎮八段
両チームとも、緊張からか少し弱気な発言が続く師匠が登場しました。相居飛車の将棋となり、先手の井上九段が5筋の位を取ってから飛車を3筋に寄り袖飛車に構えます。井上九段が3筋を制圧し4筋の歩を伸ばすと、畠山八段は△6四角と出て先手陣の右香を睨みます。井上九段が構わず▲4五歩~▲4三銀と攻め込むと、畠山八段は香を取って馬を作ります。井上九段は飛車を切って先手の玉頭から攻め掛かりますが、畠山八段は自陣に金銀を投入して必死に防戦します。井上九段は角も切って攻めをつなぎますが、畠山八段も敵陣に飛車を打ち込み待望の反撃に出ると、斎藤八段が「先生目覚めたな。出だし寝てたけどな」とつぶやきます。井上九段は何とか駒を補充して攻め続けますが、畠山八段は冷静に対処し駒得を活かして即詰みに討ち取りました。

■二局目 稲葉陽八段 ● vs 〇 畠山鎮八段
チーム畠山は勝った師匠が連投し、一局目を落としたチーム井上は弟子に託します。先手の畠山八段が角換わりに誘導し、稲葉八段は右玉に構えます。畠山八段が4筋から仕掛けると、稲葉八段は飛車を4筋に回して受けます。畠山八段が銀取りに▲2六角と打つと、師弟会議室の斎藤八段は疑問符を投げますが、稲葉八段は少考に沈み△5五歩と銀取りに突きます。畠山八段は▲4五銀とぶつけて銀桂交換すると、▲4四桂と両取りに打って駒損を回復します。稲葉八段が△6二角と自陣に打ってから飛車を2筋に戻すと、畠山八段は▲4三銀と打って攻め掛かります。稲葉八段は先手の玉頭を歩で叩いてから△4三金右と取りますが、畠山八段が▲4三同歩成~▲2六同飛と走るのが激痛です。稲葉八段は先手の玉頭から攻め掛かり際どい勝負に持ち込みましたが、畠山八段は力強く▲9四香~▲8二銀と踏み込み即詰みに討ち取りました。

■三局目 稲葉陽八段 ● vs 〇 斎藤慎太郎八段
後がなくなったチーム井上は、弟子に巻き返しを託します。先手の稲葉八段が角換わりに誘導し早繰り銀に構えると、斎藤八段は腰掛け銀で対抗します。稲葉八段が3筋から仕掛けると、斎藤八段は△6五桂と跳ねて反撃します。稲葉八段が▲8八銀と引くと、斎藤八段は8筋の歩を交換してから△7五歩と追撃します。稲葉八段は手抜いて▲3四歩と銀取りに打ち、銀交換してから▲6六歩と桂取りに突きます。斎藤八段は桂を取らせる間に7筋の歩を伸ばし、△6六角と攻めをつなぎます。斎藤八段が角を取らせる間に先手の玉頭から攻め掛かり△8七歩と玉頭を叩いて押さえ込むと、稲葉八段は▲6三歩~▲1五角と反撃します。斎藤八段は△6七銀打から先手陣を切り崩し、冷静に攻め駒を補充して即詰みに討ち取りました。

【チーム畠山 3勝 vs チーム井上 0勝】
チーム畠山は、師匠がいきなり2連勝して一気に勝利を勝ち取りました。畠山八段の将棋をあまり観たことがありませんでしたが、ガンガン攻める将棋がフィッシャールールとの相性も良かったのかもしれません。もう1つ勝てば本戦進出となりますので、この日の勢いのまま勝ち抜けを目指して欲しいと思います。
チーム井上は、一局目の師匠同士の対局で優勢の局面から攻め切れずに落としたのが痛く、頼みの稲葉八段も力を出し切れませんでした。敗者復活戦に回りますが、巻き返しに期待したいと思います。

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