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第4回ABEMAトーナメント本戦2回戦第一試合

8月7日に第4回ABEMAトーナメント本戦2回戦の第一試合が行われました。
予選Eリーグ1位のチーム渡辺「ホームラン」と予選Dリーグ1位のチーム永瀬「川崎家」との対戦となり、いきなり優勝候補同士が激突しました。

■一局目 渡辺明名人 ● vs 〇 永瀬拓矢王座
優勝候補同士の対決は、一局目からリーダー同士の対局となりました。後手の渡辺名人が角道を止めて雁木模様の駒組みを進め、永瀬王座は矢倉に囲います。永瀬王座が6筋の位を取ると、渡辺名人は6筋から反発します。永瀬王座は桂を犠牲に馬を作って後手陣に圧力を掛け、相手の玉頭から攻め掛かります。渡辺名人も敵陣に角を打って反撃しますが、永瀬王座は桂と歩で飛車の横利きを遮断し寄せ切りました。

■二局目 戸辺誠七段 ● vs 〇 増田康宏六段
チーム渡辺は予選でのチーム勝ち頭、戸辺七段が登場です。先手の戸辺七段は初手▲5六歩から中飛車に構えます。増田六段が角を交換すると、戸辺七段は向かい飛車に振り直し穴熊に囲います。増田六段は銀冠に構え、2筋の位を取ります。増田六段が△7五角成と銀を取る間に、戸辺七段は桂を奪って"と金"を作り敵陣に迫ります。増田六段は△2六歩から反撃し、流れるような手順で先手の穴熊を崩壊させます。戸辺七段は相手の大駒を奪って粘りましたが、最後は増田六段が鮮やかに寄せ切りました。

■三局目 近藤誠也七段 〇 vs ● 屋敷伸之九段
連敗スタートとなったチーム渡辺は、エースの近藤七段が登場です。先手の屋敷九段が矢倉に誘導し、飛先の歩を交換します。屋敷九段が棒銀の構えを見せると、近藤七段は△4四角~△3三桂と備えます。屋敷九段が1筋からの端攻めを目指すと、近藤七段は8筋から反撃します。お互いに一歩も引かずに攻め合いますが、近藤七段がわずかに早く寄せ切りました。

■四局目 渡辺明名人 ● vs 〇 永瀬拓矢王座
お互いに負けられない四局目は、再びリーダー対決となりました。先手の渡辺名人が矢倉に誘導し、3筋から仕掛けて棒銀を見せます。永瀬王座は右玉に構えますが、渡辺名人は銀交換に成功します。永瀬王座は8筋の継ぎ歩攻めから突破すると、渡辺名人は▲4四銀から飛車を切って反撃します。渡辺名人は迫力ある連続王手で後手玉に迫りましたが、永瀬王座が凌ぎきって勝利を掴みました。

■五局目 戸辺誠七段 ● vs 〇 増田康宏六段
チーム永瀬は相手オーダーを読み間違えたようでしたが、二局目と同じ顔合わせになりました。後手の戸辺七段は再び中飛車を選択し、増田六段も再び角を交換します。戸辺七段は9筋の位を取られたものの美濃囲いに構えます。増田六段は▲1八角と打ちますが、戸辺七段はこの角の利きを遮断してから敵陣に角を打ち込み馬を作ります。増田六段は6筋から反撃し後手陣の金銀を剝がすと、鮮やかに即詰みに打ち取りました。

■六局目 渡辺明名人 〇 vs ● 屋敷伸之九段
後がなくなったチーム渡辺は、リーダーが自ら出陣して流れを変えにいきます。先手の渡辺名人が矢倉に誘導し、屋敷九段は2枚銀を繰り出す得意の陣形を目指します。渡辺名人も中央に戦力を集めて対抗すると、屋敷九段は△1三角から角交換を狙いますが、渡辺名人は▲5五角から角と銀桂の2枚替えをします。渡辺名人は3筋を突破し、屋敷九段の反撃を凌ぐと、最後は▲5四桂から鮮やかに即詰みに打ち取りました。

■七局目 近藤誠也七段 ● vs 〇 永瀬拓矢王座
チーム永瀬は順番通り、リーダーを先手番で投入し決着を付けにいきます。先手の永瀬王座は相掛かりに誘導し、先に飛先の歩を交換します。永瀬王座が▲2五桂と跳ね1筋から攻め掛かると、近藤七段は△5四香から5筋に狙いを定めて反撃します。永瀬王座は角を見捨てて自陣の傷を消すと、近藤七段も飛車を切って8筋から攻め掛かります。永瀬王座は2枚飛車で挟撃態勢を作り、最後は飛車を切って即詰みに打ち取りました。

【チーム永瀬 5勝 vs チーム渡辺 2勝】
チーム永瀬は、永瀬王座が一局目と四局目に渡辺名人とのリーダー対決を制して流れに乗りました。増田六段も2局続けて戸辺七段に完勝し、チームの勢いを加速しました。屋敷九段はこの日は結果を残せませんでしたが、予選では勝ち越しており、次の準決勝には調子を上げて来るかもしれません。
チーム渡辺は、渡辺名人自身が「敗因は自分にある」と話していましたが、やはりリーダー対決を2局続けて落としたことで、チームが波に乗ることができませんでした。結果論になりますが、一巡目に負け越した時点でオーダーを組み替える手もあったかもしれません。


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