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「観る将」が観た第15期マイナビ女子オープン五番勝負第二局

4月21日、マイナビ女子オープンの第二局が山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われました。第一局を落とした西山朋佳女王が巻き返してタイスコアに戻すのか、先勝した里見香奈女流四冠が奪取に王手を掛けるのか、注目の一局となりました。前日のインタビューで、西山女王は「成績のことは気にせず、明日は平常心で挑みたいと思っています」、里見女流四冠は「自分の力を出し切れるように、精一杯頑張りたいと思っています」と抱負を語っています。

挑戦者の新構想

挑戦者の里見女流四冠が淡い藤色の着物に紺色の袴で入室し、西山女王は紺地に白や水色の花をあしらった着物に黄土色の袴で入室します。先手の西山女王は初手▲7八飛と三間飛車を採用すると、里見女流四冠も2手目に△5四歩と突き相振り飛車を示唆します。里見女流四冠が5筋の位を取ると、西山女王は向かい飛車に振り直します。飛車の振り先を保留していた里見女流四冠は、△1三香~△1二飛といきなり端に振る珍しい構想を見せます。里見女流四冠は居玉のまま1筋から仕掛け、香が向き合った状態で西山女王が考慮中に昼休となりました。各3時間の持ち時間の内、残り時間は西山女王が1時間58分、里見女流四冠が2時間14分となっています。

突破口を探る戦い

昼休が明けると西山女王は▲1五同香と応じ、お互いに香を取り合います。西山女王が▲7七桂と跳ねると、里見女流四冠は26分の熟考で△6四歩と桂跳ねを防ぎます。西山女王が角取りに▲4六香と打つと、里見女流四冠は△4五香と合わせます。再び香を取り合い、里見女流四冠が△4五同桂と銀取りに跳ねると、西山女王は銀を引いて逃れます。里見女流四冠は20分の考慮で6筋から仕掛けますが、西山女王は構わず桂取りに▲4六歩と突きます。里見女流四冠は6筋の歩を取り込んでから△5七桂成と成り捨て、△6四香と攻め掛かります。

中盤の難所

勝負所を迎え、西山女王は33分の長考で6筋を受けずに角取りに▲4五香と打ちます。里見女流四冠も26分じっくり考え△3三角と逃げます。残り時間は西山女王が46分、里見女流四冠が23分となりました。西山女王は角取りに▲4三香成と成り捨て、銀で取らせてから香取りに▲6五歩と打ちます。里見女流四冠は飛車を5筋に回して中央突破を目指しますが、西山女王は▲6六金と歩を取り▲5五歩と遮断します。後手の飛車角が抑え込まれ、形勢は少し西山女王に傾いてきたようです。

大技の応酬

里見女流四冠は銀を前進して5五の地点に利きを足しますが、西山女王は構わず▲6四歩と香を取ります。里見女流四冠は△5七歩成と成り捨てて先手玉を戦場に近づけてから、△5五銀とぶつけて金と交換します。放置すると角が成り込んで王手飛車取りになるため、西山女王は角と飛車の田楽刺しに▲5六香と打ちます。里見女流四冠は王手で△6六金と打ち、先手玉を追ってから△5六金と香を取り除きます。西山女王は飛車取りに▲6三歩成と"と金"を作りますが、飛車が逃げると一手詰めという厳しい詰めろになっています。

執念の粘り

里見女流四冠は先手の角道を遮断して粘りますが、西山女王が後手の飛頭に▲5三銀と打った手がまた詰めろです。里見女流四冠は1分将棋に突入し、やむなく銀を交換してから飛車を見捨てて△6二金と玉の退路を作ります。西山女王は"と金"を飛車と交換する戦果を挙げ、壁になっていた自陣の銀を上がって万全を期します。里見女流四冠は△4七銀と打って先手玉に圧力を掛けますが、西山女王は構わず▲5四桂と打って詰めろを掛けます。里見女流四冠は△5八歩成と王手してから角道を歩で遮断して詰めろを逃れますが、西山女王は▲8二飛と打って詰めろの連続で迫ります。里見女王は△3八銀成と王手で金を取り△7一金と自陣に投入して執念を見せますが、西山女王は桂で金を1枚剥がしてから▲5三銀と打ちます。里見女流四冠は飛車を取って下駄を預けますが、西山女王はそのまま即詰みに討ち取りました。

第二局を制したのは

本局は序盤に里見女流四冠が工夫を見せ、中盤はどちらの攻めが速いかという凌ぎ合いになりましたが、わずかに抜け出した西山女王が飛車を召し取り鮮やかに寄せ切りました。対局後のインタビューで、西山女王は「前回も大変お世話になった遊行寺さん(第三局の対局場)にまた行かせていただけるので、それに見合った将棋をお見せできるように頑張りたい」、里見女流四冠は「気持ちを切り替えて頑張りたい」と話しました。
本シリーズは1勝1敗のタイとなり、4月26日からは里見女流王位に西山女流二冠が挑戦する女流王位戦五番勝負も開幕します。今春の女流タイトル戦は、この2人による十番勝負から目が離せません。

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