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ABEMA地域対抗戦 Aリーグ1回戦第二試合

1月27日、ABEMA地域対抗戦のAリーグ1回戦第二試合が放映されました。屋敷伸之九段が監督の北海道・東北チームと、山崎隆之八段が監督の中国・四国チームという、比較的若い監督が率いるチーム同士の顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
北海道・東北:小山怜央四段、広瀬章人九段、戸辺誠七段
中国・四国:藤本渚四段、菅井竜也八段、糸谷哲郎八段

一局目:小山怜央四段 vs 藤本渚四段

いきなり楽しみな新鋭同士の対局となります。後手の藤本四段が角道を止め、飛先の歩を交換して横歩を取り、乱戦調の将棋に進みます。藤本四段は少し時間を使って9筋を端攻めし、小山四段が▲7七角と上がって9筋の歩を支えると、香を吊り上げて桂香交換し、△8五香と打って角を引かせてから9筋の香を走ります。小山四段が力強く▲8八玉と上がって顔面受けし、9筋から反発して後手の飛車を押さえ込むと、藤本四段は△7四桂から金桂交換して△5五金と先手の飛車角に圧力を掛けます。小山四段は▲3三飛成と角と刺し違えて金を取り、藤本四段が△9九飛の王手から反撃すると、懸命に凌いで▲3四桂から反撃します。最後は小山四段が玉を上部に脱出してから、後手玉を即詰みに討ち取りました。
北海道・東北チーム:1勝 - 中国・四国チーム:0勝

二局目:小山怜央四段 vs 菅井竜也八段

先手の菅井八段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、小山四段も左美濃に構えます。菅井八段は8筋に飛車を振り直し、小山四段が銀冠に組み換えると、5筋の歩を突き捨ててから飛車を5筋に回します。小山四段は△7四銀と出て、菅井八段が金銀交換すると、△6五銀と飛角両取りを掛けます。菅井八段は▲8四飛とぶつけて飛交換し、▲6一飛と打ち込んで竜を作ると、小山四段は△9九角成と香を取って馬を作ります。菅井八段が猛攻を仕掛けますが、小山四段は粘り強く応じ、お互いに飛車を取り合い、形勢も両者の間を揺れ動く激戦となります。最後は後手の玉頭から攻め掛かった菅井八段が即詰みに討ち取りました。
北海道・東北チーム:1勝 - 中国・四国チーム:1勝

三局目:広瀬章人九段 vs 菅井竜也八段

後手の菅井八段が三間飛車に振り、お互いに穴熊に囲います。広瀬九段は飛車を浮いて▲3六飛と寄り、菅井八段が2筋の歩をぶつけると、7-6筋の歩をぶつけて角交換します。菅井八段が先手陣に角を打ち込んで馬を作ると、広瀬九段は9筋の歩を突き捨てて端攻めに託します。菅井八段が馬を飛車と刺し違えて金取りに△2八飛と打つと、広瀬九段は▲5三角成と馬を作って攻め合います。菅井八段は香で先手陣の銀を剥がすと、詰めろ金取りに△7六桂と打ち、金を剥がして寄せ切りました。
北海道・東北チーム:1勝 - 中国・四国チーム:2勝

四局目:戸辺誠七段 vs 菅井竜也八段

先手の菅井八段が初手に飛先の歩を突いて居飛車を選択すると、戸辺七段は四間飛車に振り、角道を開けたまま穴熊を目指します。菅井八段も少し考えてから穴熊に囲って角をぶつけると、戸辺七段は角交換に応じてから△3三角と打ち直します。菅井八段は▲6三角と打ち込んで馬を作り、戸辺七段が2筋の歩を伸ばして"と金"を作ると、▲2二歩~▲2四歩と垂らして"と金"を作ります。菅井八段は▲4三馬と銀を食いちぎっり、飛角両取りに▲3四"と"と寄って角を取り、飛金両取りに▲4三角と打ち込んで飛角交換します。戸辺七段は飛車取りに△6三香と打ちますが、菅井八段は飛車で香を食いちぎって寄せ切りました。
北海道・東北チーム:1勝 - 中国・四国チーム:3勝

五局目:小山怜央四段 vs 菅井竜也八段

後手の菅井八段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、小山四段は左美濃に構え、先後は違いますが二局目と似た形になります。小山四段は6筋の位を取り、▲8六角とぶつけて角交換すると、香取りに▲2一角と打ち込みます。菅井八段は3筋の歩を交換し、小山四段が▲3七歩と飛車を追うと、構わず飛車取りに△3九角と打ち込みます。小山四段は飛車を浮いてかわし、菅井八段が5筋の銀頭を歩で叩くと、▲6八銀と引きます。菅井八段はやむなく飛車を引き、小山四段が角で香を取って馬を作ると、飛車をぶつけて交換し△2七飛から桂を取って竜を作ります。小山四段も▲4一飛と打ち込むと、菅井八段は△9二香と二段ロケットを設置して攻め合います。最後は小山四段が菅井八段の猛攻を凌ぎ、即詰みに討ち取りました。
北海道・東北チーム:2勝 - 中国・四国チーム:3勝

六局目:小山怜央四段 vs 糸谷哲郎八段

先手の糸谷八段が角道を止め、相雁木の将棋となります。糸谷八段が3-4筋から仕掛けると、小山四段は飛車を4筋に回して備えます。糸谷八段が角を飛び出して1筋に引くと、小山四段は1筋の歩をぶつけて角頭を攻めます。糸谷八段は角取りに▲4五桂と跳ねて桂交換し、香を取らせる代わりに▲1三角成と馬を作ります。糸谷八段は更に歩の攻めで後手陣を崩して▲3四桂と打ち、小山四段が△2一香と受けると、桂で8筋の歩を食いちぎって▲2二歩と攻めをつなぎます。小山四段は6筋から反撃し、△8四角と飛び出して先手の玉頭を睨みますが、糸谷八段は丁寧に受けてから▲2三飛成と竜を作って攻め込みます。最後は時間に余裕のあった糸谷八段が▲5二"と"の王手から即詰みに討ち取りました。
北海道・東北チーム:2勝 - 中国・四国チーム:4勝

七局目:野月浩貴八段 vs 糸谷哲郎八段

追い詰められた北海道・東北はメンバーチェンジし、野月八段に託します。後手の糸谷八段が得意の一手損角換わりを採用すると、野月八段は早繰り銀で応じ、3筋で歩交換して後手の銀を押さえ込みます。糸谷八段が△3八歩と垂らして"と金"を作り、香取りに△2八角と打ち込むと、野月八段は歩で後手陣を乱してから、金取りに▲4五桂と跳ねます。糸谷八段が馬を作って自陣に引き付けると、野月八段も竜を作って自陣の"と金"を取り除きます。野月八段は馬取りに▲4六金と打ち、糸谷八段が金取りに△3七桂と打ち返すと、桂取りに▲3六歩と打ちます。糸谷八段は△4五桂と跳ね、野月八段が3筋の桂を取ると、△5七桂成と先手の玉頭に成り捨てます。この手をうっかりしたのか野月八段はがっくりとうなだれて玉で成桂を取りますが、糸谷八段は△6五桂から殺到し、一気に寄せ切りました。
北海道・東北チーム:2勝 - 中国・四国チーム:5勝

第二試合の結果

中国・四国は、2枚看板の菅井八段が3勝、糸谷八段が2勝と期待通りの活躍で、盤石の勝利となりました。初戦に登場して緊張感を隠せなかった藤本四段や、この日は出番のなかった黒田五段も次戦以降には力を発揮する可能性は高く、監督で実力者の山崎八段を含め、予選突破に向けチーム力の高さを感じさせました。
北海道・東北は、初出場の新鋭小山四段が2勝を挙げる活躍を見せ、次戦以降に大きな期待を抱かせました。ポイントゲッターとして期待された広瀬九段と戸辺七段が、この日は白星に恵まれませんでしたが、2人が本来の実力を発揮すれば、予選突破への道も開かれると思います。

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