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「観る将」が観た第43期女流王将戦第一局

10月9日、第43期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第一局が、宮崎県都城市の霧島創業記念館「吉助」で行われました。西山朋佳女流王将は、前期は室谷由紀女流三段の挑戦を2勝1敗で退け、今期は3連覇を目指しています。里見香奈女流四冠は、既に女流王将を7期獲得してクイーン王将の称号を得ています。今期は本戦からの出場で、挑戦者決定戦で加藤桃子女流三段を破って挑戦権を獲得しました。本局の立会人は、宮崎県出身の都成竜馬七段が初めて務めています。

振り駒で先手となった西山女流王将は初手▲5六歩から中飛車、里見女流四冠は向かい飛車を選択します。西山女流王将が美濃囲いに構えると、里見女流四冠は金無双に囲います。里見女流四冠は4筋の歩の突き捨てから1歩手持ちにすると、1筋から仕掛けて香を取り合います。更に△4二香~△4六銀と果敢に攻め込みます。西山女流王将も▲2六歩~▲2五歩と桂を取って飛車取りに歩を伸ばしますが、里見女流四冠は構わず△4七銀不成と金を取って先手陣に殺到します。

西山女流王将は取った飛車を後手陣に打ち込み▲8五香と迫りますが、里見女流四冠はこれにも手抜いて△4九香成~△2六金~△2七歩と攻め続けます。西山女流王将はたまらず受けに回りますが、里見女流四冠は△5一金と一手自陣に手を戻しただけで再び攻め、そのまま寄せ切ってしまいました。

本局は、西山女流王将に何か誤算があったのか、里見女流四冠が一方的に攻め続ける展開になってしまいました。里見女流四冠は飛車を見捨てて攻めをつなぐ構想が秀逸で、まさに出雲のイナズマと呼ばれるのに相応しい鋭い寄せを魅せてくれました。次局はカド番に追い込まれた西山女流王将が巻き返し、最終局に決着を持ち込むことができるのか注目していきたいと思います。

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