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第82期順位戦B級2組8回戦

1月10日に順位戦B級2組8回戦の一斉対局がありました。

私が注目していたのは、今期3勝4敗とまさかの不振に苦しむ久保利明九段と、5勝2敗で昇級を争う高見泰地七段の対局です。後手の久保九段が中飛車に振り9筋の位を取ると、高見七段は超速から2枚銀を繰り出します。久保九段が5筋の歩を交換すると、高見七段は3筋の歩を交換して角頭を叩き、角を引かせてから飛車を浮きます。久保九段は△9三桂と跳ね、△3四銀と前進して歩を取りますが、高見七段は▲2四銀と前進し、金銀交換してから▲4四銀と角に当てます。久保九段は△1五角と飛車に当て、高見七段が▲2二飛成と竜を作ると、△3七角成と桂を取って馬を作ります。高見七段が▲5三歩と垂らして攻め掛かると、久保九段は△6四馬と自陣に引き付けて凌ぎ、△8五歩と反撃します。高見七段は▲9四銀と打って後手の桂の活用を防ぎ、久保九段が飛車を8筋に回すと、飛車を捕獲してから▲9三角成と桂を食いちぎり、▲4四桂から即詰みに討ち取りました。

他の主な対局結果は以下の通りです(左が勝者)。
 大石直嗣七段 - 及川拓馬七段
 深浦康市九段 - 行方尚史九段
 青嶋未来六段 - 藤井猛九段
 石井健太郎六段 - 鈴木大介九段
 渡辺和史六段 - 谷川浩司十七世名人

大石七段と深浦九段の2人が7勝1敗で昇級争いをリードし、残り2局で1勝すれば昇級が決まります。私が注目している高見七段、石井六段、青嶋六段が6勝2敗で追っており、順位の関係で高見七段は残り2局を連勝すれば昇級となります。
7人に付与される降級点(*)は、3勝以下の11人が争っています。残念ながら王将を2期獲得した中村(修)九段や井上九段の降級が決まり、ベテランの杉本(昌)八段、畠山(鎮)八段らが圏内に沈んでいます。順位の関係で圏外とはいえ前期はB級1組で戦った久保九段と丸山九段も3勝5敗と苦しんでおり、このクラスの過酷さが感じられます。

(*)降級点
B級2組以下のクラスでは、成績が悪くても1期で降級することはなく、成績下位の一定人数に「降級点」がつけられる。降級点はB級2組とC級1組では2つ累積、C級2組では3つ累積すると降級する。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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