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「観る将」が観た第41回将棋日本シリーズ準決勝第二局

10月17日に行われた将棋日本シリーズJTプロ公式戦準決勝第二局の感想です。渡辺名人と豊島竜王が、名人戦七番勝負以来初めて顔を合わせることとなりました。

振り駒で先手となった豊島竜王は、相掛かりから早めに▲3七桂と上がり急戦を志向しました。渡辺名人は穏やかな進行に誘導し、8筋と3筋の歩を手持ちにしてから△4五歩と開戦しました。飛車交換から先に敵陣に飛車を打ち込んだ渡辺名人が優勢な局面になったように見えましたが、豊島竜王は銀を見捨てて▲5九金と辛抱し、▲8五香~▲4四歩と反撃に転じます。ここから豊島竜王は角を切り龍も切っての猛攻を見せ、そのまま寄せ切りました。

JT杯3連覇を目指していた渡辺名人にとっては残念な結果となりましたが、序盤に豊島竜王の工夫を上回る機敏な動きで局面をリードした辺りは、渡辺名人らしい素晴らしい指し回しでした。豊島竜王の決定打を与えない粘り強い指し回しも、このところ逆転勝ち続きの豊島竜王らしさを存分に発揮した熱戦だったと思います。

それにしても、8月に名人を失冠して以降の豊島竜王は、呪縛から解かれたような勝ちっぷりを続けています。叡王戦で永瀬王座を破り、藤井二冠にも連勝し、竜王戦ではレジェンド羽生九段に先勝し、本局では渡辺名人にリベンジを果たしました。11月22日の決勝は、これまた勝ちまくっている印象の永瀬王座との顔合わせとなりました。日本シリーズの決勝に相応しい好局を期待したいと思います。

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