第1回ABEMA師弟トーナメント予選Aリーグ1回戦・第2試合

12月30日、ABEMA師弟トーナメント予選Aリーグ1回戦の第2試合として、チーム深浦「大地球」とチーム木村「ドラの穴」の対戦が放映されました。チーム深浦は、師匠の深浦康市九段の地球代表という愛称と、弟子の佐々木大地五段の名前を組み合わせたチーム名だそうです。チーム木村は、師匠の木村一基九段と弟子の高野智史六段が出会った将棋教室の名前をチーム名にしているそうです。両チームとも師弟がABEMAトーナメントで活躍しており、今回の優勝候補とも思われるチーム同士の激突となりました。

■一局目　佐々木大地五段 〇 vs ● 高野智史六段
両チームとも一局目は弟子が登場します。先手の高野六段が角換わりに誘導し早繰り銀に構えると、佐々木五段は腰掛け銀で対抗します。佐々木五段が居玉のまま6筋から仕掛けてから飛先の歩を交換すると、高野六段も▲5五銀とぶつけて反撃します。佐々木五段が銀を引いて受けると、高野六段は2筋を継ぎ歩で攻めます。佐々木五段は△2二歩と低く受けてから△4八角と敵陣に打って馬を作りますが、高野六段も1筋の歩を伸ばして先手陣に迫ります。佐々木五段が△7四銀から先手の角を追うと、高野六段は1筋に"と金"を作り▲2三"と"と捨てて▲1一香成と香を取ります。佐々木五段が△6五桂から銀桂交換し取った銀を△5八銀と打つと、高野六段は▲8八玉と師匠譲りの顔面受けで後手の飛車の侵入を防ぎます。佐々木五段は歩で先手の金銀の連結を断ち、飛車取りの▲7三香成を手抜いて先手の玉頭から攻め掛かります。高野六段は取った飛車を▲7一飛と王手馬取りに打って飛車と馬2枚を交換しますが、佐々木五段は冷静に△8六金と打って投了に追い込みました。

■二局目　深浦康市九段 〇 vs ● 木村一基九段
両チームとも順番通り師匠同士の対決となりました。先手の深浦九段が角道を止め藤井竜王をも破った雁木の駒組みを進めると、木村九段も受けて立ち相雁木の将棋となりました。深浦九段が4筋から仕掛けて2筋の継ぎ歩攻めを見せると、木村九段は手抜いて8筋の歩を伸ばします。木村九段は想定していた進行なのか持ち時間を6分30秒以上に増やしています。深浦九段が▲7五角と歩を払うと初めて木村九段の手が止まり、△8六歩と先手の金頭を叩きます。深浦九段は金で取りますが、木村九段は角の位置をずらして△5二桂と角取りに打ちます。深浦九段は▲9一角成と切ってから▲3四桂と王手金取りに打ち、▲8五飛と転回して飛成を狙います。木村九段は手抜いて△5九角と打ちますが、深浦九段は▲8二飛成と竜を作ります。木村九段は△8一歩で竜を追い返し、△6八角成と馬を作ります。深浦九段も▲6九歩と打って馬を追い、▲4三香と打ち込み後手玉に迫ります。お互いに技を繰り出し大熱戦となりましたが、最後は深浦九段が飛車を取ってから▲2二金と王手し即詰みに討ち取りました。

■三局目　佐々木大地五段 〇 vs ● 高野智史六段
両チームとも弟子を送り出し、一局目と同じ顔合わせとなりました。一局目と同様に先手の高野六段が角換わり早繰り銀に、佐々木五段は腰掛け銀に構えます。佐々木五段が6筋から仕掛けますが、高野六段が手を変えて、▲5五歩で後手の銀を押し返してから▲6六金と歩を払います。師弟会議室の深浦九段は「居玉のままなんだ、へぇー」、木村九段は「5筋突いているところが気に食わない」とつぶやいています。じっくりした駒組みが続きましたが、高野六段が3筋の歩を突き捨ててから▲5六角と打ち、後手の3筋と7筋の両方を睨みます。佐々木五段は△4九角と敵陣に打ち込みますが、高野六段は構わず▲3四歩から攻め掛かります。佐々木五段も6筋から反発して桂交換し、△6四桂と打って銀と交換し、△7六銀と金取りに打ちます。高野六段は▲6四歩と銀を取りますが、佐々木五段は△8六歩から先手陣に殺到します。高野六段が▲9五角と飛金両取りに打つと、佐々木五段は△7七金から先手陣を崩壊させます。高野六段は▲6二角成と金を取ってから相手の歩頭に▲2四桂と捨てて後手陣に迫りますが、佐々木五段は攻撃をかわすと反撃に転じ即詰みに討ち取りました。

【チーム深浦 3勝 vs チーム木村 0勝】
チーム深浦は、弟子の佐々木五段が一局目と三局目に連勝し、チームの勝利に大きく貢献しました。二局目の師匠同士の対決で、深浦九段がフィッシャールールで圧倒的な実績を残してきた相手のエースを倒したことも、チームの勢いを加速しました。次戦に勝利すれば本戦進出となりますので、1位抜けを目指して欲しいと思います。
チーム木村は優勝候補の筆頭と思われましたが、まさかのストレート負けとなりました。しかし3局とも内容は紙一重であり、1つ勝てば流れは変わったのではないかと思わせる戦いぶりでした。敗者復活戦からの巻き返しに期待したいと思います。