「観る将」が観た第68期王座戦挑戦者決定戦
8月3日に行われた王座戦挑戦者決定戦の感想です。渡辺二冠は棋聖を失冠しましたが、現在挑戦中の名人戦に加え、王座戦も挑戦・奪取となれば、自身初の四冠となる可能性があります。久保九段は振り飛車御三家の一角を占め、かつて王将と棋王の二冠を保持したこともある強豪です。
本局の戦型は、後手の久保九段が四間飛車を採用しました。渡辺二冠が左美濃囲いから銀冠に組み替えるのに対し、久保九段は最近流行りの△7二玉~△8二銀と構え、9筋からの反撃に備えます。それでも渡辺二冠が9筋から攻めて突破すると、久保九段は△7二玉型を活かして8筋から強く反発し激しい攻防となりました。
いったん穴熊のような形で玉頭を守り切った渡辺二冠は、2筋から飛車を走らせて反撃に転じます。久保九段は△9七歩成から再度攻勢を掛け、最後は即詰みに討ち取りました。両者がお互いに持ち味を出して攻め合う形となり、とても見応えのある将棋だったと思います。
これで久保九段は、2018年度の第68期王将戦以来のタイトル戦登場となりました。このところタイトル戦は居飛車党同士の対戦が続いていましたが、永瀬王座との五番勝負では、久しぶりに対抗形の番勝負が観られることになります。対局後久保九段は「少し上の先輩方が頑張っているので自分も続けたらと思っていた」と語っていましたが、昨年の木村王位に続き40代のタイトルホルダー復活となるか、9月3日に開幕する五番勝負を楽しみにしたいと思います。
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