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第80期順位戦C級2組9回戦

1月6,13日に順位戦C級2組9回戦の対局がありました。このクラスは人数が多いためか、最終の11回戦を除き、2日に分けて行われています。

この中で私が注目していたのは、無敗で昇給争いのトップに立つ服部慎一郎四段と、1敗で追走する渡辺和史四段との対局です。
先手の服部四段が相掛かりに誘導し、渡辺四段が先に飛先の歩を交換します。服部四段も飛先の歩を交換し、7筋の歩も取ります。2枚の銀を四段目に前進した渡辺四段は△4五歩から仕掛けると、桂交換の後△7四桂と打ちます。3筋と1筋の歩を突き捨てた服部四段も▲4五桂と打つと、渡辺四段は△8六歩~△8六同桂と攻め掛かります。服部四段は桂を取らせる間に▲1一歩成と香を取って"と金"を作りますが、渡辺四段も△7八桂成と先手陣の金を剥がします。服部四段は▲2三飛成と竜を作りますが、駒得の渡辺四段は金を投入して竜を追い返します。苦しくなった服部四段は角も切って攻め込みますが、渡辺四段は着実に優勢を拡大し、最後は即詰みに討ち取りました。

他の主な注目対局の結果は以下の通りです(左が勝者)。
 梶浦宏孝七段 - 星野良生五段
 黒沢怜生六段 - 佐々木大地五段
 斎藤明日斗四段 - 池永天志五段
 八代弥七段 - 渡辺大夢六段
 本田奎五段 - 石田直裕五段
 西田拓也五段 - 近藤正和七段
 伊藤匠四段 - 村中秀史七段
 高田明浩四段 - 遠山雄亮六段

西田五段が8勝0敗と全勝を維持し、単独トップに立ちました。敗れた服部四段は7勝1敗となりましたが、順位が上位のため昇級圏内に留まっています。渡辺(和)四段、本田五段、伊藤(匠)四段も7勝1敗で追っています。次の10回戦では、西田五段と本田五段の直接対決が組まれており、昇級を賭けた大一番になりそうです。上位陣に順位の低い棋士が多いので、2敗勢で順位の高い棋士にはまだまだチャンスは残されています。昇級に向け、負けられない戦いが続きます。
一方、11人に付けられる降級点(*)争いも佳境になってきました。既に降級点を2回取っている中で、棋聖獲得経験のある田中(寅)九段と、現在進行中の叡王戦で段位別予選を突破した中田八段が降級点圏内にいます。また前期王位戦で挑戦者決定リーグに進出した若手実力者の長谷部四段や、AI研究者で現役東大生の谷合四段も降級点圏内にいます。残り2局での巻き返しに期待したいと思います。

(*)降級点  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B級2組以下のクラスでは、成績が悪くても1期で降級することはなく、成績下位の一定人数に「降級点」がつけられる。降級点はB級2組とC級1組では2つ累積、C級2組では3つ累積すると降級する。

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