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第63期王位戦挑戦者決定リーグ 伊藤匠四段1回戦

2月24日、お~いお茶杯王位戦の挑戦者決定リーグ(王位リーグ)で、伊藤匠四段と佐々木大地六段との対局がありました。伊藤匠四段は藤井聡太竜王と同学年で、今年度新人王戦に優勝した注目の新鋭です。今期は王位戦に初めて参戦し、予選で永瀬王座を降して王位リーグ入りを果たしました。佐々木大地六段は5期連続の王位リーグ参戦で、前期は3勝2敗で残留を果たしています。

先手の佐々木六段が両者得意の相掛かりに誘導し、伊藤四段が先に飛先の歩を交換します。佐々木六段も飛先の歩を交換し7筋の歩も取ると、伊藤四段は△2四歩と突いて先手の飛車が2筋に戻るのを阻みます。伊藤四段が△2三金~△3四金と繰り出し先手の飛車に圧力を掛けると、佐々木六段は▲2三歩と叩いて拠点を作ります。

伊藤四段が右銀を繰り出して8筋突破を狙うと、佐々木六段は角を交換して銀を上がって受けます。伊藤四段は△2五桂と跳ねて先手の銀を引かせると、右桂も△8五桂と跳ねて桂交換します。佐々木六段は▲7七歩と打って王手銀取りを防ぎますが、伊藤四段は△3六桂と飛銀両取りに打ち銀桂交換します。伊藤四段は3筋の歩を伸ばして突破を図り、角を飛車と交換して△2九飛と打ち込み優勢の局面を築きます。

佐々木六段は自陣に角を打ち馬も自陣に引き付けて凌ぐと、▲3六桂~▲2六桂~▲1六桂と3枚の桂を横並びに打って後手の玉頭に攻め掛かります。伊藤四段が玉を5筋まで逃がすと、佐々木六段は馬と連携させて7筋に香を成って挟撃態勢を作り形勢を互角に戻します。

伊藤四段は攻防に△8五角と打って成桂を奪い自玉を3筋の安全地帯に逃がすと、竜と飛車で先手の玉頭から攻め掛かります。佐々木六段は角を打ち馬と連携させて守りますが、伊藤四段が角取りに桂を打ったところで投了となりました。期待の若手同士らしく激しい攻防が繰り広げられる172手の熱戦となりましたが、薄い陣形のまま積極的に攻め続けた伊藤四段に軍配が上がりました。

伊藤四段は現在、今年度の成績が41勝9敗で勝率が0.820と藤井竜王を上回っており、最高勝率賞を受賞する可能性が高まってきました。このまま王位リーグを勝ち抜き挑戦者となれば、史上初の10代同士のタイトル戦が実現します。今後も伊藤四段の王位リーグの戦いぶりに、注目していきたいと思います。

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