見出し画像

「観る将」が観た第68期王座戦第三局

9月24日に行われた王座戦第三局の感想です。永瀬王座は、豊島竜王の挑戦を受けていた叡王を失冠し、本シリーズの防衛に掛ける意気込みは、より強くなっていると思います。

本局は後手の久保九段が三間飛車を採用しました。永瀬王座が穴熊を目指すと、久保九段は4筋に飛車を振り直し、第一局と同様ミレニアムに囲います。久保九段が1歩を取りに△1三桂~△2五桂と跳ねると、永瀬王座は▲7五歩から開戦しました。

AI評価値ではほぼ互角の戦いが続いていましたが、永瀬王座は手持ちの2枚の角を使って▲7四角~▲6三角打と猛然と攻めかかります。久保九段も1分将棋となりながら懸命に反撃を見せましたが、丁寧に対処した永瀬王座が寄せ切りました。

これで永瀬王座は防衛まであと1勝となりました。久保九段はここまで、四間飛車・中飛車・三間飛車と飛車の振り方を変えて戦ってきましたが、カド番に追い込まれた次局は先手でどのような作戦を採用するのか注目されます。

余談ですが、本局の解説で藤井(猛)九段と山本四段が顔を合わせ、藤井九段の作戦の変遷(=ここ30年の振り飛車の歴史)について話をしていました。藤井九段は、藤井システムや角交換振り飛車などを開拓した、若い振り飛車党の憧れの存在だったことがよくわかりました。振り飛車党の久保九段がタイトル戦に登場したからこそ、このような話が聞けて良かったと思います。羽生世代の藤井九段ですが、ご自身にも再びタイトル戦を目指し頑張って欲しいと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?