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第1回ABEMA師弟トーナメント予選Bリーグ2位決定1回戦

2月5日、ABEMA師弟トーナメント予選Bリーグ2位決定1回戦が放映されました。チーム谷川「飛翔」とチーム森下「鬼の花村」の顔合わせとなっています。チーム谷川は1回戦をストレート負けしており、早く1勝して波に乗りたいところです。チーム森下は1回戦で弟子が2勝して気を吐いただけに、師匠の踏ん張りを期待したいところです。

■一局目 都成竜馬七段 〇 vs ● 増田康宏六段
両チームとも弟子が先陣を切ります。後手の都成七段が四間飛車に振り、対抗形の将棋となりました。都成七段が穴熊を目指すと、増田六段も追随し相穴熊となります。増田六段が▲8六角と覗いて7筋の歩を交換し、▲2四歩を角で取らせて桂取りに▲2二歩と打ちます。都成七段は桂を跳ねて逃げると、△4六歩と飛先の歩を突いて反撃します。都成七段は角を銀と刺し違えて突破を図りますが、増田六段は金を5筋に戻して許しません。都成七段は飛車も金と刺し違えて先手の穴熊を崩し、△7六金と角取りに打って先手陣に迫ります。守りに適した持ち駒のない増田六段は▲6一飛~▲5三角成と攻め合いに出ますが、都成七段は先手陣の飛車の横利きを止めて先手玉に迫ります。増田六段は馬を切って殺到しますが、都成七段は△9三角と打って竜を追うと、▲8八銀不成から鮮やかに寄せ切りました。

■二局目 谷川浩司九段 〇 vs ● 森下卓九段
一局目を落としたチーム森下は師匠が「僭越ながら」と言って出陣します。後手の森下九段が角道を止め、雁木模様の駒組みから袖飛車に構えます。森下九段が飛先の歩を交換すると、谷川九段も飛先の歩を交換し角も交換します。谷川九段が▲5六角と好所に据えると、森下九段も△6四角と打って対抗します。谷川九段は自陣の玉頭で▲7五歩から駒をぶつけ合い、角金交換の駒得となります。谷川九段は▲5五桂~▲4五桂と桂の連打で後手陣を乱すと、森下九段も△8五銀から反撃を試みます。谷川九段が丁寧に後手からの攻め筋を消すと、形勢に差が付いたと見た森下九段は早めの投了となりました。

■三局目 谷川浩司九段 ● vs 〇 増田康宏六段
チーム谷川は勝った師匠の連投です。後手の谷川九段が角道を止め9筋の位も取ると、意表を突く四間飛車に振りました。増田六段は▲8七銀と上がると9筋から反発します。谷川九段が△5一角と引くと、増田六段は2筋の歩を突き捨て▲4四歩と垂らします。谷川九段は△9五角と香を取りますが、増田六段は▲4三歩成から▲1一角成と香を取って馬を作ります。増田六段が▲8五香と歩の裏から王手で打つと、谷川九段は角を犠牲に香を取り、△9六香と銀を取って突破します。増田六段は▲6六馬と攻防に引き付け、▲2二飛成と竜を作ります。更に増田六段は▲8四歩~▲8六香と後手玉に上部から圧力を掛けると、谷川九段は歩で香を吊り上げ△8六歩~△7九銀と先手玉に迫ります。増田六段は▲4二歩から後手の飛車を追い▲5三歩と銀頭を叩きますが、谷川九段は手抜いて馬取りに△5四桂と打って攻め合います。増田六段が丁寧に後手からの攻撃をかわすと、粘りの利かなくなった谷川九段の投了となりました。

■四局目 都成竜馬七段 〇 vs ● 森下卓九段
チーム森下は、とにかく1勝したいと師匠が出陣します。先手の都成七段が初手に飛先の歩を突き、相掛かりの将棋となりました。お互いに飛先の歩を交換し、都成七段は3筋の横歩も取りますが、森下九段は構わず5筋の位を取ります。ジリジリした駒組みが続きましたが、中央に戦力を集めた森下九段が△4五桂と仕掛けると、都成七段は右銀を前進して棒銀を見せます。森下九段が△3六銀と出て牽制すると、都成七段は▲8六桂~▲7四歩で7筋を制圧します。早くもお互いに時間に追われる中、森下九段は△2八歩から先手の飛車を押さえ込みますが、都成七段は▲3五桂から後手陣の金を1枚剥がします。森下九段は角取りに△5四銀と打ちますが、都成七段は手抜いて▲4四歩から寄せに入ります。森下九段は力強く玉を前進して入玉を目指し、どちらが勝つのかわからない激戦となりました。森下九段は飛車を切って先手玉に迫り、タダで取られる位置に△4九角と打つ勝負手を放ちましたが、最後は都成七段がかわして即詰みに討ち取りました。

【チーム谷川 3勝 vs チーム森下 1勝】
チーム谷川は、一局目に弟子同士の対決で都成七段が思い切りのよい攻撃で勝ち、チームに勢いを付けました。師匠も師匠同士の対決を制し、師弟揃って今大会初勝利を挙げ、少し硬かったチームの雰囲気もようやくほぐれてきたように思います。元々長考派の都成七段が、終盤に時間がなくなり慌てて着手するのが気になりますが、この試合で2勝した自信を活かせば次の試合でも活躍を期待できそうです。
チーム森下は、師匠が白星を挙げることがないまま予選敗退となりました。1回戦に比べると序盤にあまり時間を使わず、少し慣れてきたように感じられたので残念ですが、ルールに関わらず紳士的な振る舞いは印象に残りました。チームは敗退となりましたが、弟子の増田六段は個人では勝ち越しとなる奮闘を見せました。若手実力者の一人として、今後の活躍に期待したいと思います。

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