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「観る将」が観た第41回将棋日本シリーズ準決勝第一局

10月4日に行われた将棋日本シリーズJTプロ公式戦準決勝第一局の感想です。各棋戦での活躍が目覚ましい永瀬王座と、今期順位戦A級で全勝を続ける好調の斎藤八段との顔合わせとなりました。見逃していたのですが、Abemaのビデオで視聴しました。

振り駒で先手となった永瀬王座は、角換わり早繰り銀を採用し▲3五銀まで進めた後、通常▲7八金とするところ▲7九金と珍しい趣向を見せました。斎藤八段も持ち時間の短い中、思わず腰を落として熟考し、6筋の歩を伸ばします。斎藤八段が続いて1筋を攻めると、永瀬王座も2筋から反撃しますが、斎藤八段は角を犠牲にして相手の飛車を封じ込めました。最後はお互いに玉頭攻めとなりましたが、永瀬王座は▲7八王~▲8八王と戦場から遠ざけつつ、▲7五金~▲8一香成から猛攻を仕掛けて寄せ切りました。

本局は、永瀬王座が研究手順をぶつけ、斎藤八段に序盤から時間を使わせた作戦が奏功したように思います。中盤まで互角の形勢が続いていたようですが、先に考慮時間を使い切り一手30秒の秒読みに追われた斎藤八段を、終盤まで時間を残して慎重に差を拡げた差し回しは見事なものでした。

10月も過密日程が続く永瀬王座ですが、これで11月22日の決勝にコマを進めました。渡辺名人vs豊島竜王の勝者との顔合わせになりますが、白熱した好局を期待したいと思います。

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