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「観る将」が観た第44期女流王将戦第一局

10月8日に、第44期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第一局が、宮崎県都城市の霧島創業記念館「吉助」で行われました。前期は3期ぶりに女流王将を奪取した里見香奈女流王将と、前期敗れて奪還を目指す西山朋佳女流二冠の顔合わせになっています。里見女流王将は、既に女流王将を8期獲得しておりクイーン王将の称号を得ています。西山女流二冠は今期は本戦からの出場で、武富女流初段、頼本女流初段、香川女流四段、渡部女流三段を破って挑戦権を獲得しました。

四間飛車対居飛車

振り駒で先手となった西山女流二冠が四間飛車に振り、角を交換して向かい飛車に振り直します。里見女流王将が飛車取りに角を打つと、西山女流二冠は角を合わせてから陣形を整備します。里見女流王将は飛車を振らずに玉を左に囲い、対抗形の将棋となります。

挑戦者の仕掛け

西山女流二冠が5筋の歩をぶつけて▲6五桂と跳ねると、4筋の歩を突いて角を引かせてから▲5三桂成と飛び込みます。里見女流王将は歩で角のラインを止めますが、西山女流二冠は金桂交換の駒得に成功します。

女流王将の猛攻

里見女流王将は飛車を7筋に寄せて反撃しますが、西山女流二冠も飛車を7筋に回して対抗します。里見女流王将は角をぶつけ、西山女流二冠が角を引いて角交換を拒否すると、△4八角成と金を食いちぎって先手陣を崩します。里見女流王将は更に飛車を角と刺し違え、飛車取りに△5九角と打って攻め込みます。西山女流二冠は▲7二飛成と竜を作りますが、里見女流王将は構わず△4八金~△4八同角成と金を交換して馬を作って先手玉に迫ります。

鮮やかな寄せ

里見女流王将は先手玉を1筋まで追い込んで詰めろを掛けますが、西山女流二冠は金を自陣に埋めて逃れると、▲4二金と打って反撃します。里見女流王将は金交換に応じてから玉を端に逃げますが、西山女流二冠は持ち駒の角と飛車を打って後手玉を追い詰めます。里見女流王将は馬で先手陣の金を食いちぎり、△3二金と自陣に打って粘りますが、西山女流二冠は竜で金を食いちぎると▲1五金と歩頭に打って即詰みに討ち取りました。

まとめ

本局は里見女流王将が、両者の対局では久し振りに居飛車で戦い、対抗形の将棋となりました。西山女流二冠が仕掛けて駒得になると、里見女流王将は駒損を厭わぬ怒涛の攻めを見せました。西山女流二冠はギリギリのところで凌ぐと反撃に転じ、華麗な捨て駒で即詰みに討ち取りました。
西山女流二冠は、前期に失冠したタイトルの奪還にあと1勝となりました。次局は先手番となる里見女流王将がどのような作戦で臨むのか、楽しみにしたいと思います。

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