見出し画像

「観る将」が観た第4回ABEMAトーナメント予選Eリーグ第二試合

7月10日にABEMAトーナメント予選Eリーグ第二試合が放映されました。この日も竜王戦の藤井二冠戦と重なり、こちらはスマホでの観戦となりました。顔合わせは、チーム渡辺「ホームラン」対チーム斎藤「ここ一番」となっています。チーム斎藤は第一試合に勝っており、この試合に勝てば予選突破が決まります。

■一局目 近藤七段vs斎藤(慎)八段
先手の斎藤八段が角換わりに誘導しましたが、近藤七段が力戦調の駒組みを進め、斎藤八段は雁木に組みます。近藤七段が先に5筋から仕掛け、飛車を5筋に回します。斎藤八段は角で桂を食いちぎり、▲4四桂と飛車金両取りに打ちます。斎藤八段は桂と交換した金を敵陣に打ち、相手の大駒を攻めます。斎藤八段は2筋を突破しますが、時間を充分残していた近藤七段が△6三角と飛車金両取りに打ったところで斎藤八段の投了となりました。

■二局目 戸部七段vs都成七段
チーム渡辺は初出場の戸部七段、チーム斎藤はじゃんけんで都成七段の登場です。先手の戸部七段は三間飛車を選択し、美濃囲いに構えます。都成七段は9筋の位を取り、天守閣美濃に構えます。ジリジリした中盤戦となりましたが、都成七段は△4五桂と金銀両取りから金桂交換し、戸部七段の反撃に丁寧に対応してから中央突破し寄せ切りました。

■三局目 渡辺名人vs都成七段
チーム斎藤は、リーダーの強い意向で都成七段の連投です。チーム渡辺はリーダーが迎え撃ちます。先手の都成七段が力戦調の駒組みを進め、渡辺名人は雁木に構えます。渡辺名人は角を右辺に転回し、7筋から仕掛けます。都成七段は2筋の継ぎ歩攻めを見せ、大きな拠点を築きます。渡辺名人は相手の玉頭から攻め掛かりましたが、都成七段は▲3三桂打から反撃します。両者時間にも追われ手に汗握る熱戦となりましたが、渡辺名人が都成七段の猛攻を凌いで勝ち切りました。

■四局目 戸部七段vs村山七段
チーム渡辺は「期待していないから大丈夫」という声に送られて戸部七段が登場です。チーム斎藤は村山七段がこの試合初めての登場となりました。先手の戸部七段は初手▲5六歩から、中飛車を選択し穴熊に囲います。村山七段は歩を駆使して敵陣を乱しますが、戸部七段は角を小刻みに動かして凌ぎます。村山七段は角を切って穴熊を切り崩しますが、戸部七段は竜と馬を作って大駒3枚で攻め込みます。際どい寄せ合いとなりましたが、戸部七段が村山七段の猛攻を凌いで即詰みに討ち取りました。

■五局目 渡辺名人vs斎藤(慎)八段
苦しくなってきたチーム斎藤はリーダーが出陣し、リーダー対決が実現しました。先手の斎藤八段が角道を止め、相雁木の将棋となりました。渡辺名人は7筋から仕掛けて銀交換に成功します。斎藤八段も▲2二歩から守りの桂をはがしますが、渡辺名人は6筋に飛車を回して殺到します。渡辺名人は角を敵陣に打ち込み相手の金を守りから遠ざけると、△6七歩成から"と金"攻めを見せますが、斎藤八段はギリギリの受けで粘ります。両者時間に追われハラハラする終盤戦となりましたが、最後は斎藤八段が長手数の即詰みに討ち取り激闘を制しました。

■六局目 近藤七段vs都成七段
リーダーの勝利で流れを掴みたいチーム斎藤は、この試合3局目となる都成七段を投入します。後手の都成七段は三間飛車を選択し、近藤七段は居飛車穴熊に構えます。都成七段は銀を9筋から前進させて仕掛けますが、近藤七段も銀をタダ捨てして相手の玉頭から迫ります。都成七段は9筋に香3枚と飛車を設置する珍しい形を作り、4段ロケットを発射しましたが、近藤七段は冷静に対処し寄せ切りました。

■七局目 戸部七段vs村山七段
勝利まであと1勝となったチーム渡辺は戸部七段を投入します。後手の戸部七段が中飛車を選択すると、村山七段は丸山ワクチンと呼ばれる角交換をして左美濃に構えます。村山七段が自陣に角を打って相手の飛車を押え込みに行くと、戸部七段は天王山に角を据えて対抗します。飛車交換の後、村山七段が敵陣に飛車を打ち込むと、戸部七段は角で銀を食いちぎって相手玉に迫ります。苦しくなった村山七段は端攻めを見せますが、戸部七段は2枚飛車の攻めから寄せ切りました。

【チーム渡辺 5勝 vs チーム斎藤 2勝】
チーム渡辺は、近藤七段が相手のリーダーを含む2戦2勝の活躍でチームを引っ張りました。初出場の戸部七段も、渡辺名人からの厳しい言葉に肩の力が抜けた様で2勝1敗と勝ち越し、普段から親しい間柄ならではの名采配が光りました。前回準優勝の実績を誇る2人に加え、戸部七段もポイントを稼げることを実証し、このチームが優勝候補の一角であることを印象付けました。
チーム斎藤は、第一試合に続いて一局目にリーダーの斎藤八段が敗れ、流れを引き寄せることができませんでした。第一試合では2連勝でチームを勢いづけた村山七段も、開き直った戸部七段に2連敗し流れを変えることはできませんでした。3人とも先に時間に追われる展開になることが多く、本戦に進出した場合は時間の使い方に改善ポイントがあるのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?