「観る将」が観た第17期マイナビ女子オープン五番勝負第二局

4月17日、マイナビ女子オープン五番勝負第二局が、山梨県甲府市の常磐ホテルで行われました。先勝した西山朋佳女王が一気に防衛まであと1勝と迫るのか、新鋭の大島綾華女流二段がタイスコアに戻すことができるのか、注目の一局となりました。

前日行われた夕食会で、西山女王は「状況や星取りは考えずに、いつもどおり楽しんでいただける将棋を目指して頑張りたい」、大島女流二段は「自分の力を出しきれるように精一杯頑張りたい」と意気込みを語っています。

西山女王は四間飛車から向かい飛車へ

大島女流二段が藤色に小さな花を散りばめた華やかな着物と紫色の袴で入室すると、西山女王は焦げ茶色の精悍な着物に濃紺の袴で入室します。後手の西山女王が珍しく四間飛車に振って角を交換すると、大島女流二段は左美濃に囲います。西山女王は向かい飛車に振り直し、大島女流二段が▲7七角と打ち直して間接的に飛車を睨むと、美濃囲いに構えます。

ジリジリした駒組み

大島女流二段が飛車を浮き、▲4六銀～▲3七桂と攻撃態勢を整えると、西山女王は△4三金と備えてから木村美濃に組み替えます。大島女流二段は銀冠に組み替え、西山女王が6筋の位を取ると、▲9八玉と端玉にします。西山女王が次の44手目を考慮中に昼休となりました。各3時間の持ち時間の内、残り時間は西山女王が2時間22分、大島女流二段が1時間40分となっています。

開戦準備

昼休が明けるとすぐ、西山女王は5筋の歩を突き、大島女流二段が金を4筋に寄せてバランスを取ると、16分の熟考で△6四角と攻防の要所に据えます。大島女流二段は飛車を引き、西山女王が3筋に上がっていた銀を5筋に引き寄せる間に、5筋の歩をぶつけて▲5七金と繰り出します。

大島女流二段が攻勢

機は熟したと見た西山女王が14分の考慮で7筋の歩をぶつけて仕掛けると、大島女流二段は13分考えて5筋の歩を取り込んで銀に当てます。西山女王は7筋の歩を取り込んで角に当て、大島女流二段が銀で取ると、△6二銀と引いてかわします。残り1時間を切った大島女流二段が力強く▲5五銀と出て角に当てると、西山女王は△3一角と引いて飛車に紐を付けます。形勢はわずかに大島女流二段が指し易くなってきたようです。

飛角交換

大島女流二段は2筋の歩を突き捨ててから▲4四銀と金にぶつけ、西山女王が△5四金とかわすと、▲4三銀不成と飛び込み角道を通します。西山女王が△6四金と寄って玉頭戦を目指すと、大島女流二段は▲5三歩と垂らします。西山女王が△4四歩と打って角を呼び、△5三銀と垂れ歩を払いつつ角に当てると、大島女流二段は飛角交換してから▲7七歩と後手の角の利きを遮断します。

角金交換

西山女王が桂取りに△5五角と飛び出すと、大島女流二段は▲4六金と上がって角に当てます。西山女王が角を見捨てて6筋の歩をぶつけると、大島女流二段は角金交換し、銀桂両取りに▲5一飛と打ち込みます。まだ1時間残している西山女王は△6七歩成と成り捨て、早くも1分将棋に突入した大島女流二段が金で取ると、△6四銀と上がってかわします。形勢は大島女流二段に大きく傾いてきたようです。

西山女王の攻防の角

大島女流二段が▲6二歩と垂らすと、西山女王は△6六歩と金頭を叩いて引かせ、△7五歩と銀頭を叩いて引かせ、銀取りに△6五角と放ち、間接的に先手玉を睨みます。大島女流二段は▲5二銀不成と飛び込んで銀交換しますが、西山女王が一瞬の隙を突いて反撃に転じ、形勢は混沌としてきたようです。

西山女王の猛攻

西山女王が△5一歩と竜頭を叩いて位置を変え、△6七歩成と飛び込んで金に当てると、大島女流二段は取ると金銀両取りがあるので▲6九金とかわして辛抱します。西山女王は△7七"と"と捨て、△8七角成と銀を食いちぎり、△7六銀～△6七金と先手玉を追い詰めます。形勢は大きく西山女王に傾いています。

怒涛の寄せ

大島女流二段は▲2八飛と浮いて飛車の横利きで自玉を守り、持ち駒の角を自陣に投じて粘りますが、西山女王は飛車と角を剥がし、△8八角～△3八飛と着実に攻め続けます。先手玉には即詰みが生じており、大島女流二段は淡々と数手指し続けましたが、西山女王の△7七金を見て投了を告げました。

まとめ

本局はジリジリした駒組みの駆け引きの末、大島女流二段が攻勢を掛けて押し気味の展開となりました。西山女王は一瞬の隙に攻防の角を放って形勢を入れ替え、粘る大島女流二段を攻め続けてそのまま即詰みに討ち取りました。
対局後、2連勝で防衛まであと1勝となった西山女王は「2局とも判断に誤りがあり、緩手も多かったと思うので、日が空きますので、少しでも調整して第三局に臨めればと思います」と気を引き締める言葉を並べました。大島女流二段は「反省点が多い将棋だったですけど、日が空くのでしっかり準備して頑張りたいと思います」と話しており、次局も熱戦を期待したいと思います。

マイナビ女子オープンは、株式会社マイナビと日本将棋連盟が主催しています。棋譜は下記公式サイトをご確認ください。

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