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「観る将」が観た第44期女流王将戦第二局

10月17日に、第44期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第二局が、東京の将棋会館で行われました。カド番に追い込まれた里見香奈女流王将が勝って決着を最終局に持ち越すのか、西山朋佳女流二冠が勝って女流王将を奪還するのか、目が離せない一局となりました。

相振り飛車から対抗形に

先手の里見女流王将が中飛車に振ると、西山女流二冠は向かい飛車に振ります。里見女流王将は5筋の位を取ってから玉を左側に移動し、飛車を2筋に戻して対抗形の将棋となります。里見女流王将が9筋の位も取ると、西山女流二冠は穴熊に囲います。

激しい攻め合い

里見女流王将が4筋の歩を突き捨ててから▲3七桂と跳ねると、西山女流二冠は4筋の歩を伸ばして成り捨て、3筋の歩も突き捨ててから垂らします。西山女流二冠が更に7筋の歩も突き捨ててから飛車を7筋に回すと、里見女流王将は飛車を3筋に寄せて垂れ歩を取り除きます。西山女流二冠は金を繰り出して先手の玉頭に攻め掛かりますが、里見女流王将も桂を取って3筋に"と金"を作り、銀を取って角に当てます。

大駒を見捨てての突入

西山女流二冠は構わず先手の玉頭の桂を取って先手陣を乱し5筋の歩を伸ばして銀に当てますが、里見女流王将は取れる角を取らずに飛車取りで▲6三銀と打ち込みます。西山女流二冠はこれにも手抜いて銀を取り、里見女流王将が"と金"で角を取ると、7筋の金頭を歩で叩きます。里見女流王将が銀で飛車を取ると、西山女流二冠は歩で金を取って王手してから自玉に迫る成銀を取ります。

上部脱出

大駒4枚を手にした里見女流王将は玉を右方向に早逃げしますが、西山女流二冠は角取りに金を打って挟撃を目指します。里見女流王将は角金交換に応じて自玉の退路を確保し上部脱出を図ります。西山女流二冠は馬を作って先手玉に迫りましたが、里見女流王将が入玉を果たすと投了を告げました。

まとめ

本局は西山女流二冠が先手の玉頭から激しく攻め掛かりましたが、里見女流王将は落ち着いて後手の大駒を攻めて凌ぎました。西山女流二冠は大駒を見捨てて攻め合う順を選びましたが先手玉は捕まらず、里見女流王将は入玉して逃げ切りました。
本シリーズは1勝1敗のタイスコアとなり、決着は28日に予定されている最終第三局に持ち越されました。両者は21日に白玲戦の最終第七局も予定されており、負けられない戦いが続きますが、全力を出し切った好局を期待したいと思います。

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