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ABEMAトーナメント2023 予選Cリーグ第二試合

6月3日に、ABEMAトーナメント2023の予選Cリーグ第二試合が放映されました。リーダーと親交の深いメンバーを迎えたチーム天彦「天辺堂」と、第一試合を制して勝てば予選1位通過が決まるチーム菅井「関西最強」の顔合わせとなっています。
※本稿は収録当時の段位で記述させていただきます。

一局目:三枚堂達也七段 vs 西川和宏六段

チーム天彦は桂馬の貴公子三枚堂七段が先陣を切ります。振り駒で先手となった西川六段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、三枚堂七段は4筋の歩を取らせる代わりに穴熊に囲います。西川六段が7筋の歩を突き捨ててから▲9五角と飛び出すと、三枚堂七段は2分程の長考で△3三銀とぶつけます。西川六段が銀交換に応じてから飛車をぶつけると、三枚堂七段は飛車交換に応じてから△9九角成と香を取って馬を作ります。西川六段は金桂両取りに▲7一飛と打ち込み、竜を作って桂香を拾うと、三枚堂七段も△7九飛と打ち込み馬で桂を拾います。西川六段は3筋に香を打って金を田楽刺しにしますが、三枚堂七段は香や桂を使って凌ぎます。西川六段が▲6六角と王手し▲4一銀と穴熊崩しに掛かると、三枚堂七段は△2四香と打って攻め合います。西川六段は▲3二銀不成と後手玉に迫りますが、三枚堂七段は△2七香成から先手玉に攻め掛かります。西川六段は▲2二角成から王手を続けますが届かず、三枚堂七段が即詰みに討ち取りました。
チーム天彦:1勝 - チーム菅井:0勝

二局目:佐藤天彦九段 vs 船江恒平六段

チーム天彦は早くもリーダーの登場です。後手の船江六段が横歩取りに誘導し、佐藤九段は堂々と受けて立ちます。船江六段はいったん△3三角と受けてから角交換し、佐藤九段が▲6六角と打つと、△6四角と打ち返します。船江六段の研究手順なのか、佐藤九段は小刻みに時間を使い、1筋の歩を突き捨てて▲1四歩と垂らします。船江六段が香交換に応じると、佐藤九段は▲4五桂と歩頭に跳ねます。船江六段は構わず△2八角成と馬を作りますが、佐藤九段は銀桂交換してから▲3七銀と打って馬を捕獲します。船江六段はやむなく馬を銀と刺し違え、△2四銀と打って飛車を追い、激しい玉頭戦となります。両者時間に追われる中、船江六段が△8九飛成と竜を作って先手玉に迫ると佐藤九段は▲7九金打と竜取りに打ち、お互いに飛車と竜を取り合います。佐藤九段が▲3五角と桂を取って王手しましたが、船江六段は王手角取りに△3八飛と打ってしまい、痛恨の王手放置で反則負けとなりました。
チーム天彦:2勝 - チーム菅井:0勝

三局目:戸辺誠七段 vs 西川和宏六段

連敗スタートとなったチーム菅井ですが、リーダーを温存して西川六段が出陣します。後手の戸辺七段が三間飛車に振ると、西川六段は8筋の歩を伸ばしてから向かい飛車に振り、飛先の歩を交換して中段に引きます。戸辺七段が3筋の歩を取り込んで△3六歩と銀頭を叩いて先手陣を乱すと、西川六段は金を前進して▲3六金と取り払います。戸辺七段が飛車を4筋に振り直し、4筋の歩を突き捨ててから金を前進して厚みを築くと、西川六段は8筋を継ぎ歩で攻めます。戸辺七段は角金交換してから、金取りに△5六銀と出て角の利きを飛車に当てますが、西川六段は▲8三金と打ち込んで攻め合います。戸辺七段が金銀交換に応じると、西川六段は▲7七銀と引き、飛車の利きで王手します。戸辺七段は飛頭を歩で叩いて吊り上げ、飛金両取りに△6九角と打ち込みます。西川六段は飛車を浮いてかわしますが、戸辺七段は△7七角成と銀を食いちぎり、△4七銀の王手から寄せにいきます。両者秒読みに追われての激戦となり、西川六段は▲8三角から連続王手で迫りましたが長手数の詰みを発見できず、戸辺七段が落ち着いて即詰みに討ち取りました。
チーム天彦:3勝 - チーム菅井:0勝

四局目:三枚堂達也七段 vs 菅井竜也八段

チーム菅井はリーダーが満を持して登場します。後手の菅井八段が三間飛車に振り、三枚堂七段が穴熊を目指すと、四間飛車に振り直して飛先の歩を交換してから穴熊を目指します。三枚堂七段が角道を通してぶつけると、菅井八段は角交換に応じて△3三角と打ち直します。三枚堂七段が▲2五桂とぶつけて桂交換し、自陣角を打って後手の飛車先を重くすると、菅井八段は7筋の歩をぶつけて先手の角頭を攻めます。三枚堂七段が▲6六桂~▲5四歩と後手の金を押さえ込んでから飛車を5筋に回すと、菅井八段も飛車を5筋に回して受けます。菅井八段が角取りに△8五銀と出ると、三枚堂七段は▲3三歩成と成り捨て、金で取らせてから6筋の歩を伸ばします。菅井八段は銀で角を取りますが、三枚堂七段は構わず▲6三歩成と"と金"を作って飛車に当てます。菅井八段も7筋の歩を取り込んで攻め合いますが、三枚堂七段は取れる飛車を取らずに▲7二歩から金を剥がし、取った金を飛車取りに▲6三金と打ちます。菅井八段が飛車をかわして天を仰ぐと、三枚堂七段は▲7四桂~▲6四角と攻め駒を足して寄せ切りました。
チーム天彦:4勝 - チーム菅井:0勝

五局目:戸辺誠七段 vs 西川和宏六段

後がなくなったチーム菅井は「最後は本気出してください」と西川六段を送り出し、三局目と同じ顔合わせになりました。後手の戸辺七段が三間飛車に振り、いきなり飛先の歩を交換すると、西川六段は四間飛車に振ります。戸辺七段が美濃囲いに構えると、西川六段は矢倉を組みます。戸辺七段が四間飛車に振り直すと、西川六段は6筋と8筋の歩を突き捨ててから▲3四歩と角頭を叩いて引かせます。西川六段は飛車を走って6筋と8筋の歩を回収しますが、戸辺七段も飛車を3筋に戻して△3四飛と歩を回収します。西川六段が飛車を2筋に回し、お互いに歩で飛車を取り合うと、両チームの作戦会議室から驚きの声が響きます。お互いに桂を取って竜を作り、更に西川六段が香を取って馬を作ると、戸辺七段は△4六角と銀を食いちぎり、竜取りに△5五銀と打ちます。西川六段は▲5五同竜と食いちぎって馬を天王山に引き付け、▲6二歩と叩いて後手陣を崩し、▲8二銀とタダ捨てしてから▲7四桂と後手玉に迫ると、一気に即詰みに討ち取りました。
チーム天彦:4勝 - チーム菅井:1勝

六局目:佐藤天彦九段 vs 菅井竜也八段

チーム菅井は勝った西川六段にカードを引かせて菅井八段が出陣し、リーダー同士の対決が実現しました。後手の菅井八段が四間飛車に振り、お互いに穴熊を目指します。菅井八段が千日手も辞さない待機作戦に出ると、佐藤九段は7筋の歩を交換して打開し、2筋に"と金"を作って香を取ります。菅井八段が飛車を3筋に回して歩を伸ばすと、佐藤九段は▲4五歩~▲2七歩と角を追います。菅井八段は2分近い長考で△3七歩成と踏み込み、角を取らせる代わりに飛車を取って"と金"を作りますが、佐藤九段はすぐに飛車取りに▲5一角と打ち込みます。菅井八段が飛車を引いてかわすと、佐藤九段は▲7三角成と金を食いちぎり、2筋の桂を取って補充します。菅井八段は更に1分半程考えて△6三銀と引きますが、佐藤九段は6筋の歩を取り込んで後手陣を乱し、▲3六香と打って飛角を田楽刺しにします。菅井八段は飛車を取らせる代わりに△5七角成と銀を取って馬を作り、△7七歩から先手陣崩しますが、佐藤九段は▲4一飛と打ち込んで攻め合います。菅井八段は先手陣の金駒を剥がして自陣に埋めて粘りましたが、佐藤九段は後手の金の利きに▲6二銀と打ち、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム天彦:5勝 - チーム菅井:1勝

第二試合の結果

チーム天彦は、前回大会で7戦全勝の記録を残したリーダーの佐藤九段が、2戦2勝と好調を維持してチームを牽引しました。三枚堂七段は一局目に苦しい将棋を逆転してチームに勢いを付け、四局目には前の試合で3連勝している相手のリーダーを倒して大きく貢献しました。戸辺七段も着実に白星を挙げており、チームに死角はありません。既に予選突破は決まりましたが、次戦では1位通過を目指して欲しいと思います。
チーム菅井は、西川六段が1勝を返して意地を見せましたが、頼みの綱のリーダー菅井八段が2戦2敗と失速し力尽きました。二局目に船江六段が、時計の叩き合いの中で反則負けを喫したことが、チームのリズムを崩してしまったのかもしれません。他力本願ですが予選突破の可能性は残されているので、本戦ではチームの明るい雰囲気を取り戻すことを期待したいと思います。

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