見出し画像

「観る将」が観た第45期女流王将戦三番勝負第二局

10月17日、霧島酒造杯第45期女流王将戦三番勝負第二局が、東京の将棋会館で行われました。先勝した西山朋佳女流王将が一気に防衛を果たすのか、香川愛生女流四段が勝って決着を最終局に持ち越すのか、注目の一局となりました。


西山女流王将は三間飛車

先手の香川女流四段はオールラウンダーですが、初手に飛先の歩を突き居飛車を宣言すると、西山女流王将は三間飛車に振り美濃囲いに構えます。西山女流王将が飛車を4筋に振り直すと、香川女流四段は左美濃に囲って4筋の歩をぶつけます。

開戦は歩の突き捨てから

西山女流王将が8筋の歩をぶつけると、香川女流四段は2筋の歩を突き捨ててから、4筋の歩を取り込みます。西山女流王将が8筋の歩を取り込んでから、飛車で4筋の歩を取り返すと、香川女流四段は角で8筋の歩を取り返します。西山女流王将は飛車を下段に引き、香川女流四段が角取りに▲4五桂と跳ねると、△6六角と王手で飛び出します。形勢は早くも西山女流王将がわずかに指し易いようです。

西山女流王将の馬

香川女流四段が角を引いてぶつけて交換すると、西山女流王将は7筋の歩を伸ばして桂頭を攻めます。西山女流王将は歩で先手の金を吊り上げ、金取りに△6六角と打ち、△5七角成と馬を作って銀に当てます。香川女流四段は飛車を5筋に回して銀を守りますが、西山女流王将は7筋の金頭を歩で叩いて8筋に追います。

西山女流王将の竜

西山女流王将は馬を飛車と刺し違え、△4五銀と桂を食いちぎり、△7六桂と王手で迫ります。香川女流四段は▲7六同銀と桂を食いちぎりますが、西山女流王将は歩で先手陣を崩してから、王手金取りに△8九飛と打ち込みます。香川女流四段は合い駒に角を投じて粘りますが、西山女流王将は銀を角と交換してから△6九飛成と金を取って竜を作ります。

上部脱出

香川女流四段は▲7四桂と王手しますが、西山女流王将は金で桂を食いちぎり、△7六桂から先手玉に迫ります。香川女流四段は玉を上部に脱出し、一路隔てて後手玉と向かい合いますが、西山女流王将はそのまま即詰みに討ち取りました。

まとめ

本局は香川女流四段が先に仕掛けましたが、西山女流王将は機敏に反発し、馬を作って玉頭から攻め掛かりました。香川女流四段は懸命に粘りましたが、西山女流王将は竜を作って先手玉を追い、最後は即詰みに討ち取りました。
2勝0敗で連覇を果たし、通算4期目の女流王将獲得となった西山女流王将は、対局後の囲み取材で「女流王将戦は5年連続で出させていただいている棋戦でして、宮崎に伺った際には本当にたくさんの方にお世話になって、結構ありがたい気持ちで指させていただいていたので、またこの1年女流王将を預かることができて嬉しく思っています」と話しました。来期はクイーン王将の称号が懸かる三番勝負となりますので、楽しみにしたいと思います。
惜しくも敗れた香川女流四段は、自身のYoutubeチャンネルでファンに結果報告をする中で、悔しさをにじませながらも久し振りの番勝負を西山女流王将と戦ったことについては「嬉しかった」と話していました。多くのファンに元気づけられ、今後も益々活躍されることを期待したいと思います。

霧島酒造杯女流王将戦は、株式会社 囲碁将棋チャンネルが主催し、霧島酒造株式会社が協賛しています。棋譜等は下記サイトをご覧ください。
https://www.igoshogi.net/shogi/Loushou_info/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?