「観る将」が観た第5期清麗戦第二局

7月25日に第5期大成建設杯清麗戦五番勝負第二局が、福岡市のホテルニューオータニ博多で行われました。先勝した里見香奈清麗が勝って防衛にあと1勝と迫るのか、先手番の西山朋佳女流三冠が勝ってタイスコアに戻すのか、注目の一局となりました。

戦型は相三間飛車

挑戦者の西山女流三冠が紫や赤や黄色の賑やかな花柄の着物と鶯茶の袴で入室し、里見清麗は薄黄色地の袖に大きな桜をあしらった着物と萌黄色の袴で入室します。先手の西山女流三冠が初手に三間飛車に振ると、里見清麗は角頭の歩を伸ばします。西山女流三冠が▲3六歩と突くと、里見清麗は△4四銀と繰り出します。西山女流三冠が飛先の歩を伸ばすと、里見清麗は次の18手目に三間飛車に振ります。

銀の進出

西山女流三冠が飛先の歩を交換すると、里見清麗は取られそうな5筋の歩を伸ばして位を取ってから飛車を追い返します。西山女流三冠は矢倉を組んでいた右銀を▲4六銀と繰り出し、里見清麗が△6二金～△6一玉と手早く囲うと、▲7七銀と左銀も前進します。里見清麗が27分の熟考で3筋の歩を交換して銀をぶつけると、西山女流三冠は▲3七歩と打って収めます。

玉頭攻めの準備

里見清麗は22分の熟考で△7二玉と囲いに入り、西山女流三冠が▲6六銀と上がると、2筋の歩を突き捨て、△4六銀と銀交換し、飛車を5筋に振り直します。西山女流三冠が▲7四歩と合わせると、取ると飛車を転回されて厳しいので、里見清麗は△8二銀と上がって補強します。西山女流三冠は▲7七桂と跳ねて玉頭攻めを準備しますが、里見清麗は△2八歩と手裏剣を放って攻め合います。

5筋からの反発

次の45手目を西山女流三冠が20分以上考えて昼休となりました。形勢はわずかに西山女流三冠が指し易いようです。各4時間の持ち時間の内、残り時間は里見清麗が2時間28分、西山女流三冠が2時間34分となっています。西山女流三冠が昼休を挟む40分の長考で▲2八同金と応じると、里見清麗は5筋の歩を交換して飛車を走ります。

玉で飛車を攻める

先手陣は乱された上に飛車に迫られて危険に見えますが、西山女流三冠は構わず▲6五桂と跳ねて後手の玉頭を狙います。里見清麗は38分の熟考で△7四歩と歩を取り、西山女流三冠が▲7四同飛と王手すると、桂を跳ねて防ぎます。西山女流三冠は▲5四歩と垂らして"と金"作りを狙いつつ後手の飛車の退路を断ち、里見清麗が△5二歩と受けると、40分の長考の末▲4七玉と玉で飛車を取りに行きます。

待望の飛車の転回

里見清麗が31分の熟考で△5五銀と飛車を支えると、西山女流三冠は5筋の歩を成り捨てて▲2四飛と転回して角に当てます。残り1時間を切った里見清麗は△4六飛と王手し、西山女流三冠が玉を3筋にかわすと、△2七歩と金頭を叩きます。西山女流三冠が金を1筋にかわすと、里見清麗は更に26分考えて△1三角とかわしつつ飛車に当て返します。西山女流三冠が▲2一飛成と桂を取って竜を作ると、里見清麗は△3一金と寄って竜に当てます。形勢は大きく西山女流三冠に傾いてきたようです。

竜と飛車の取り合い

西山女流三冠も残り1時間を切り、13分の考慮で▲5五銀と飛車に当て、お互いに竜と飛車を取り合います。西山女流三冠は5筋に桂を成り捨てて後手陣の金を斜めに吊り上げ、▲7四桂と詰めろを掛けます。里見清麗が△7一銀打と持ち駒を投じて凌ぐと、西山女流三冠は▲4二飛と王手で打ち込みます。里見清麗は△5二歩と打ちますが、西山女流三冠が▲5四歩と金頭を叩く手が厳しい一着となります。

退路封鎖の銀

持ち時間を使い切った里見清麗は△5七角成と馬を作り、金を取らせる代わりに△4八飛から連続王手で先手玉に迫ります。里見清麗は王手桂取りの△4七馬から△7四馬と自玉を縛る桂を取りますが、西山女流三冠は▲5二飛成と竜を作って王手し、後手玉に迫ります。里見清麗は9筋の歩を突いて玉の退路を作りますが、西山女流三冠が退路封鎖のお手本のような▲9三銀を放つと、秒読みの声を聞きながら投了を告げました。

まとめ

本局は里見清麗が積極的に2筋と5筋の位を取りましたが、西山女流三冠は2枚の銀を繰り出して対抗しました。里見清麗は飛車を5筋に振り直して攻め込みましたが、西山女流三冠は強く自玉も繰り出して後手の飛車に圧力を掛けると、伸び切った後手陣の隙を突き、玉頭と側面から攻め掛かって寄せ切りました。
西山女流三冠は勝ってタイスコアに戻し、次局に向けて「しっかり準備して挑めたらと思っています」と話しました。里見清麗も「一局一局、頑張りたいと思います」と話しており、好敵手が対峙する本シリーズが第三局以降も熱戦になることを期待したいと思います。

大成建設杯清麗戦は大成建設が主催しています。棋譜は下記サイトをご確認ください。

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