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「観る将」が観た第1期白玲戦七番勝負第二局

9月18日、白玲戦七番勝負第二局が金沢市のホテル日航金沢で行われました。先勝した西山朋佳女流三冠がリードを拡げるのか、渡部愛女流三段が本局を制して振り出しに戻すのか注目されました。先に西山女流三冠が紫地にピンクの花をあしらった鮮やかな着物で入室し、すぐに渡部愛女流三段が白地に赤い花をあしらった華やかな着物で入室します。

先手の渡部女流三段が飛先の歩を伸ばし、西山女流三冠は角道を止めて四間飛車に振ります。渡部女流三段が▲6六角と出て9筋を睨むと、西山女流三冠は少考の末金無双に構えます。西山女流三冠は力強く左金を△6四金と前進させ、飛車を5筋に振り直して△5五歩と仕掛けます。西山女流三冠が角金交換の駒得を果たし少し優勢になったかと思われましたが、渡部女流三段も飛車を浮いて攻防に利かせて盛り返します。渡部女流三段が47手目を考慮中に昼休となりました。残り時間は西山女流三冠が3時間2分、渡部女流三段が2時間1分と1時間以上差がついています。

昼休明け、渡部女流三段は7筋から仕掛けた後、▲2二歩から"と金"を作って攻め込みます。西山女流三冠は飛車を5筋に回して先手陣に直射させますが、渡部女流三段は香を取って▲5三歩~▲5八香と後手の飛車角を狙います。形勢は渡部女流三段に少し傾いてきたようです。桂交換の後、西山女流三冠は△7六桂から反撃します。渡部女流三段は銀を引いて受けますが、西山女流三冠は金桂交換の後、△3四角と飛香両取りに打って攻撃が加速してきます。形勢は再び西山女流三冠に傾いてきました。

渡部女流三段は▲2二飛成と竜を作りますが、西山女流三冠は△5六角~△6五角と先手の攻め駒の香と桂を取って自玉の安全度を高めます。渡部女流三段は▲4二銀と飛角両取りに打ちますが、西山女流三冠は手抜いて△7六歩と先手玉に迫ります。渡部女流三段も後手玉に迫りますが、王手が続かず角を取って下駄を預けます。西山女流三冠は4分の考慮で△4六馬と王手を掛け、そのまま即詰みに討ち取りました。

本局は序盤に駒得をした西山女流三冠に対して、渡部女流三段がうまく盛り返して優勢の局面もありました。難解な中盤戦で西山女流三冠が反撃に転じてからは、一気に差を拡げてそのまま寄せ切ってしまいました。両者が持ち味を出し合っての好局となりましたが、最後は西山女流三冠が持ち時間を1時間以上残して貫録を示しました。

この結果、本シリーズは西山女流三冠が2勝0敗とリードする形となりました。白玲戦は七番勝負なので、渡部女流三段にも巻き返しのチャンスは十分に残っています。まずは1つ返して流れを取り戻せるよう、次局での熱戦を期待したいと思います。

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