「観る将」が観た第10期女流王座戦第四局
12月9日に行われた女流王座戦五番勝負第四局を観た感想です。挑戦者の里見女流四冠が2勝1敗とタイトル奪還に王手を掛けて臨む一局となりました。西山女流王座としては、本局を勝ってタイに戻し、最終局の決戦に持ち込みたいところです。
注目された戦型は、先手の西山女流王座が初手▲7八飛といきなり三間飛車に振りました。里見女流四冠は2筋の歩を伸ばし、△4四角と出て相手からの角交換をさせてから向かい飛車に振ります。西山女流王座も8筋に飛車を振り直し、相向かい飛車の将棋となりました。
西山女流王座は飛先の歩を手持ちにして、▲1七銀と上がり相手からの飛先の歩交換を防ぎます。お互いに仕掛けが難しい局面となり、神経を使う駒組みが続きましたが、西山女流王座が2八に入城した王を3九~4八~5八~6九~7八へと大移動すると、里見女流四冠は△9二香から穴熊に組み替えます。この瞬間をとらえて西山女流王座がついに▲7四歩と開戦しました。
里見女流四冠は、いったん△9一玉と入城した玉を△8二玉と出して7三の金を支え、△5四角と出て9筋の香を狙い、相手の攻撃を切らしにかかります。苦しくなった西山女流王座は、▲9三香成と取った銀を▲7四銀と打ち攻めをつなぎます。里見女流四冠は△9七銀~△7一香と相手の角や銀を攻めつつ相手陣に嫌味を付けますが、西山女流王座も▲6五桂と援軍を送り攻め続けます。見応えのある攻防となりましたが、最後は西山女流王座が相手の攻防に利いた角を追い、▲7三角からの即詰みに討ち取りました。
本局は、相手が穴熊に組み替える一瞬の隙を突いて玉頭から攻めかかった西山女流王座が、切れそうな攻めをつないで寄せ切りました。里見女流四冠は大胆かつ丁寧な受けで、一時は優勢かという局面もありましたが、わずかに西山女流王座の攻撃が上回ったという印象です。
この結果、両者2勝2敗となり結着は最終局に持ち越しとなりました。西山女流王座が防衛か、里見女流四冠が復位か、いずれにしても白熱した熱戦となることを期待します。
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