見出し画像

第1回ABEMA師弟トーナメント予選Bリーグ1回戦・第2試合

1月22日、ABEMA師弟トーナメント予選Bリーグ1回戦第2試合が放映されました。チーム谷川「飛翔」とチーム鈴木「大内組」の顔合わせとなりました。チーム谷川は師匠の谷川浩司九段が色紙に一番多く書いている言葉をチーム名とし、先日結婚を発表したばかりの都成竜馬七段と登場です(発表前の収録だったようで触れられていませんが)。チーム鈴木は師匠の鈴木大介九段の師匠で弟子の梶浦宏孝七段も可愛がられたという、大内延介九段の名前をチーム名に採用しています。

■一局目 谷川浩司九段 ● vs 〇 梶浦宏孝七段
チーム谷川は師匠が、チーム鈴木は弟子が先陣を切ります。振り駒で先手となった谷川九段が矢倉に誘導し、梶浦七段も受けて立ち脇システムに組み合います。梶浦七段が角を交換し△4七角と打ち込むと、谷川九段は1筋から端攻めし、3-4筋の歩も突いて攻め掛かります。谷川九段が馬を取る間に、梶浦七段も飛車を取ります。谷川九段は▲2三歩と叩いて後手玉を吊り上げると、▲4五角と打って攻めをつなぎます。梶浦七段が△3九飛と敵陣に打ち込み自陣の守りに利かせると、谷川九段は飛車取りに▲5七角と打ちます。梶浦七段は△3八飛成と竜を作り、谷川九段にいったん銀を引かせて9筋から端攻めします。梶浦七段は香を吊り上げ△8四桂~△9六桂と取りますが、谷川九段は▲7八金と寄って玉の逃げ道を作ると、銀取りに▲8五桂と跳ねて後手の飛車の利きを遮ります。梶浦七段が竜を先手玉の背後に回り込むと、谷川九段は馬を自陣に引き付けて守ります。梶浦七段は歩で角と銀を取って大きな駒得を果たすと、銀2枚を馬と交換して寄せ切りました。

■二局目 都成竜馬七段 ● vs 〇 鈴木大介九段
両チームとも対局者が変わって出陣します。先手の鈴木九段が初手に5筋の歩を突き中飛車に振ると、都成七段は4手目に1筋の歩を突いて態度を保留します。鈴木九段が角道を開けると、都成七段はいきなり角交換してから向かい飛車に振ります。鈴木九段は5筋の歩を交換し、▲5四歩と垂らして圧力を掛けます。都成七段も2筋の歩を交換し銀が前進して先手の玉頭を狙いますが、鈴木九段は左銀を移動し▲4六銀とぶつけて銀交換します。都成七段が△4二金と上がって陣形を整備すると、鈴木九段はその金を狙って▲8六角と打ちます。都成七段は△6四角と合わせますが、鈴木九段は▲6五桂と攻め駒を足して攻め掛かります。角銀と角桂の交換となり、少し苦しくなった都成七段は△7七銀とタダ捨ての勝負手を放ちますが、鈴木九段は冷静に▲6七金とかわします。鈴木九段が▲7五歩と突いて後手の玉頭を攻めると、都成七段は△8五角と攻防に打って凌ぎます。鈴木九段は▲5六角~▲7四銀と打って角銀交換すると、飛車を8筋に回って突破します。都成七段も懸命の粘りを見せましたが、鈴木九段は力強い手つきで一気に寄せ切りました。

■三局目 都成竜馬七段 ● vs 〇 鈴木大介九段
後がなくなったチーム谷川は弟子が連投し、先後を変えて二局目と同じ顔合わせになりました。先手の都成七段は居飛車を選択し、鈴木九段が四間飛車に振って対抗形の将棋となりました。鈴木九段が美濃囲いに構えると、都成七段は穴熊を目指します。鈴木九段が飛車を浮いて3筋に回って歩を交換すると、お互いに間合いを測って手待ちが続きます。やや良い陣形を築いた鈴木九段が6筋から仕掛け、角を交換して先手の陣形を乱します。鈴木九段が△6四角と打って先手の飛車を睨むと、苦しくなってきた都成七段は▲6二歩と手裏剣を飛ばしてから▲2一飛成と竜を作って攻め込みます。都成七段は歩で後手陣に嫌味を付け、自陣の金を前進して攻めをつなぎます。鈴木九段がじっと"と金"を寄せて先手玉に迫ると、都成七段は▲6二銀と打って後手陣の金を1枚剥がしてから9筋の歩を突きます。都成七段は▲4三角~▲6一角成と馬を作りますが、鈴木九段は△2二歩と打って竜の横利きを止めて凌ぎます。時間に追われた都成七段は馬を切って▲6一銀と打ち天を仰ぎます。鈴木九段は金を寄って逃げると力強い手つきで△5六角と打ち、△8九角成と切ってから△2九飛成と竜を作ります。鈴木九段は何か誤算があったか1分40秒程残していた時間を残り8秒まで使って玉を逃げます。都成七段が9筋の歩を突いて詰めろを掛けると、鈴木九段は再び△7九"と"から寄せに入り、詰めろを掛けてから△6二金と手を戻して自玉の詰めろを逃れます。一進一退の大熱戦になりましたが、最後は鈴木九段が即詰みに討ち取りチームの勝利を決めました。

【チーム鈴木 3勝 vs チーム谷川 0勝】
チーム鈴木は、一局目の緊張感の中、弟子の梶浦七段が相手からの猛攻を凌いで勝ち、チームに流れを呼び込みました。師匠も相手の弟子に対して振り飛車御三家らしい豪快な差し回しで連勝し、一気に勝負を決めました。師弟会議室での和やかな雰囲気も、このチームの強みのひとつではないかと思います。同じく師匠が2勝して勝ち上がったチーム中田とのBリーグ1位決定戦では、師匠の活躍が鍵を握ることになりそうです。
チーム谷川は、一局目を師匠が落とすと弟子の都成七段も連敗し、まさかの3連敗での敗戦となりました。プレッシャーはないと語りながらも緊張感を隠せない都成七段が、次戦以降伸び伸びと実力を発揮できるよう期待したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?