見出し画像

「観る将」が観た第10期女流王座戦第三局

12月1日に行われた女流王座戦五番勝負第三局を観た感想です。両者1勝1敗で迎えた天王山の一局となりました。

注目された戦型は、先手の里見女流四冠が初手▲5六歩から中飛車に振ると、西山女流王座も4手目△3二飛と三間飛車に振り、相振り飛車の将棋となりました。里見女流四冠の中飛車は第一局と同じですが、相中飛車で敗れた西山女流王座は飛車の振り先を変えてきました。

西山女流王座が美濃囲いに構えると、里見女流四冠は▲6六角~▲8八飛と飛車を振り直し、相手が入城した瞬間▲8四歩から飛先の歩を手持ちにします。西山女流王座が角道を止め、相手の角にジワジワと圧力を掛けると、里見女流四冠は居玉のまま▲8五桂から▲9五歩と端から開戦しました。

里見女流四冠が桂交換から歩を補充して▲9四歩~▲8六桂~▲9四桂と美濃囲い崩しの手筋で端を突破したかに見えましたが、西山女流王座も△7三王と王で▲8四歩を未然に防ぎ、2枚の桂を連打し抵抗します。里見女流四冠は戦場を中央に拡大し、角交換後に上擦った相手陣の背後から▲9一角と王手します。苦しくなった西山女流王座は△5六歩と相手玉頭の銀取りという勝負手を放ちましたが、里見女流四冠は手抜いて金と王の田楽刺しに▲6四香と打ち、一気に勝負を決めに行きます。西山女流王座も懸命の粘りを見せましたが、最後は里見女流四冠が飛車を成り込み寄せ切りました。

本局は、里見女流四冠が居玉のまま仕掛け、相手にほとんど反撃の余地を与えず攻め切った印象です。西山女流王座も強気の受けで、隙あらば逆襲するという姿勢を崩しませんでしたが、相手からの攻撃をかわし切れず無念の投了となりました。

この結果、里見女流四冠は昨年奪取された女流王座復位に向け、あと1勝となりました。西山女流王座には、次局先手番での巻き返しに期待したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?