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第2回女流ABEMAトーナメント予選Bリーグ第二試合

11月6日、第2回女流ABEMAトーナメント予選Bリーグ第二試合が放映されました。この日は初代白玲に輝いた西山女流四冠率いるチーム西山「ウォリアー」と、清麗戦と倉敷藤花戦で挑戦者となっている加藤桃子女流三段率いるチーム加藤「野生の桃」の顔合わせとなっています。第一試合で大勝したチーム加藤は、2勝すると予選突破が決まります。

■一局目 山口恵梨子女流二段 ● vs 〇 野原未蘭女流初段
初戦となるチーム西山は、いきなりタイムアウトを要求して緊張感をほぐしてから山口女流二段を送り出し、チーム加藤も野原女流初段を励まして送り出しました。先手の山口女流二段は初手▲5六歩から中飛車に振ると、野原女流初段は2手目△6二銀と英春流の出だしから飛車を7筋に寄せて袖飛車に構えます。野原女流初段は飛車を浮いて8筋に回して、△8七飛成と竜を作ります。山口女流二段は金で竜を追い返し9筋から反撃しますが、野原女流初段は落ち着いて桂馬を成り捨て△6五桂と飛角両取りに打ちます。山口女流二段は懸命に粘りましたが、野原女流初段が駒得を拡大して寄せ切る完勝となりました。

■二局目 上田初美女流四段 〇 vs ● 加藤桃子女流三段
チーム加藤は野原女流初段の連投も検討していましたが、一息つきたいということでリーダーが出陣します。後手の上田女流四段が四間飛車に振り穴熊に囲うと、加藤女流三段は▲6六角と飛び出し▲8五歩と玉頭を厚くします。上田女流四段が金銀を玉側に寄せて穴熊を固くすると、加藤女流三段は▲5七角と引いて2-3筋から仕掛けます。加藤女流三段が先に馬を作りましたが、上田女流四段も竜を作って寄せ合いとなります。加藤女流三段は"と金"を寄せて後手陣に迫りますが穴熊の堅陣には届かず、上田女流四段が鮮やかに即詰みに討ち取りました。

■三局目 西山朋佳女流三冠 〇 vs ● 野原未蘭女流初段
チーム加藤は西山女流三冠と対局したいという野原女流初段が出陣し、タイムアウトを要求して西山女流三冠への対策を確認します。チーム西山は二局目に勝った上田女流四段が、自分の力を出し切りやすい戦型が良いと言ってリーダーを送り出します。先手の西山女流三冠が中飛車に振ると、野原女流初段は一局目と同様袖飛車に構えます。西山女流三冠が金銀を前進して後手の飛車を押さえ込むと、野原女流初段は1筋から仕掛けて端を制圧します。西山女流三冠は▲2七金と上がって1筋を受け止めると、玉を4筋まで逃がして1筋から反発します。野原女流初段も玉を5筋に逃がしますが、西山女流三冠は▲3三桂成と突破し角を捕獲すると、▲3六玉と上がって入玉も匂わせます。野原女流初段は小駒で先手玉に食らいつきましたが、4分近く時間を残していた西山女流三冠は左辺から挟撃態勢を作って寄せ切りました。

■四局目 西山朋佳女流三冠 〇 vs ● 香川愛生女流四段
チーム西山はリーダーが連投し、藤井猛監督の思惑通り香川女流四段との対局となりました。後手の西山女流三冠が3筋の歩を伸ばして先に三間飛車に振ると、香川女流四段も向かい飛車に振り相振り飛車の将棋となります。西山女流三冠が美濃囲いに構えて1筋の位を取ると、香川女流四段は金無双に囲います。香川女流四段が後手の玉頭から攻め掛かりますが、西山女流三冠は8三の歩を取らせて銀冠に組み替えます。西山女流三冠も2筋から仕掛けて角取りに△4五桂と跳ねると、香川女流四段は▲8四角と後手の銀の利きに飛び出します。この角を取ると王手飛車の筋があるため、西山女流三冠は手抜いて△3六歩と攻め合います。何度も髪に手をやって考えた香川女流四段が▲7三歩成から再び後手の玉頭から攻め掛かると、西山女流三冠は飛車を角と交換して凌ぎます。時間を残していた西山女流三冠は腰を落として考え、先手の攻め駒を封じ込んでから先手玉をじわじわと追い詰め寄せ切りました。

■五局目 上田初美女流四段 ● vs 〇 香川愛生女流四段
チーム加藤は香川女流四段が「負けて悔しいので」と言って連投します。先手の上田女流四段が初手▲5六歩から中飛車に振りましたが玉を左に寄せて、香川女流四段が向かい飛車に振ると飛車を2筋に戻して対抗型の将棋となりました。上田女流四段が穴熊に囲うと、香川女流四段は高美濃囲いに構えます。香川女流四段が△6五桂と跳ねて5筋の突破を図ると、上田女流四段は飛車を4筋に回して反発します。お互いに竜を作って寄せ合いとなり難しい終盤戦となりましたが、香川女流四段は歩で先手の竜の利きを遮断すると、△7四桂から角を奪って△5六角と打ち2枚替えで穴熊を崩します。上田女流四段も王手で後手玉に迫りましたが、最後は香川女流四段が即詰みに討ち取りました。

■六局目 山口恵梨子女流二段 〇 vs ● 加藤桃子女流三段
予選突破が決まったチーム加藤はリーダーが登場します。後手の山口女流二段が中飛車に振ると、加藤女流三段は超速3七銀から銀対向の将棋となりました。山口女流二段が穴熊に囲うと、加藤女流三段は銀冠に構えて後手の玉頭に圧力を掛けます。加藤女流三段が7筋から仕掛けると、山口女流二段は飛車を回して受けます。山口女流二段が△4五銀とぶつけて銀交換すると、加藤女流三段は▲6五桂から後手の玉頭に攻め掛かります。山口女流二段は落ち着いて自陣に金を投入して凌ぐと、飛車を角と交換して△6六歩と反撃します。着実に駒得を拡大した山口女流二段は角を切って△6八飛と打ち込み、△6三香~△6六桂と小駒の攻めで先手陣の金銀を剥がして寄せ切りました。

■七局目 西山朋佳女流三冠 〇 vs ● 香川愛生女流四段
王手を掛けたチーム西山は流れに乗ってリーダーが出陣し、四局目と同じ顔合わせになりました。チーム加藤がタイムアウトを取り、渡辺明監督は「気後れしないでやること」と励まして香川女流四段を送り出します。先手の西山女流三冠は初手▲7八飛と三間飛車に振り、香川女流四段も向かい飛車に振って再び相振り飛車の将棋となりました。西山女流三冠が角を交換してから金無双に囲うと、香川女流四段は美濃囲いに構えます。お互いに飛先の歩を交換し、香川女流四段が△5五歩と仕掛けると、西山女流三冠は手抜いて▲9五歩と仕掛けます。お互いに歩を取り込み、香川女流四段が△3五歩と仕掛けると、西山女流三冠は飛車取りに▲3四角と打ちます。香川女流四段は飛車をかわして△5七歩~△4五桂と金銀両取りを掛け、角を切って後手陣を崩します。西山女流三冠が飛車取りに▲4六角と打つと、香川女流四段は飛車を取らせる間に先手の角を取り△6八角と飛車取りに打ち込みます。西山女流三冠は手抜いて▲7三銀から後手玉に殺到し、鮮やかな即詰みに討ち取りました。

【チーム西山 5勝 vs チーム加藤 2勝】
チーム西山はリーダーが3戦3勝でチームを牽引しました。初めてのフィッシャールールとのことでしたが、序盤に時間を増やし勝負所で時間を使う試合運びは完璧で、適合力の高さを魅せつけました。上田女流四段は、チームが初戦を落として浮足立つ中、安定感のある指し回しで二局目を制し、チームに落ち着きを取り戻す大きな勝利を挙げました。山口女流二段は初戦で序盤のミスから完敗して落ち込んでいましたが、チームメイトの力強い将棋に感化されたのか「攻める大和撫子」らしい寄せを魅せ、相手のリーダーから涙の初勝利を挙げました。この勝利でチームの団結力は一層高まり、改めて優勝候補の一角であることを確信しました。
チーム加藤は敗れたものの、第一試合の結果と合わせて予選突破が決まりました。この日は白星に恵まれなかったリーダーも、本戦では活躍するものと期待しています。香川女流四段は敗局後の連投で勝利するなど意地を見せ、本戦でも変幻自在の将棋を魅せてくれると思います。野原女流初段はこの試合でも1勝を挙げチームに貢献しました。この新鋭が本戦でも活躍すれば、このチームも優勝候補に躍り出てくるものと思います。

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