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「観る将」が観た第14期マイナビ女子オープン五番勝負第二局

4月21日に甲府の常磐ホテルで行われた、マイナビ女子オープン第二局を観た感想です。
第一局は挑戦者の伊藤沙恵女流三段が後手番で激闘を制し、西山朋佳女王としては何としてもタイに戻しておきたい一局となりました。西山女王は前日のインタビューで「何とか勝って流れを食い止めるように意識して頑張りたい」と語り、黒地に桜吹雪の艶やかな着物で登場です。伊藤女流三段は「引き続き集中して全力で指すことが一番だと思う」と語り、春らしい萌黄色の地に色とりどりの花をあしらった着物で登場です。

本局は、後手の西山女王が3筋の歩を伸ばし三間飛車に構えます。先手の伊藤女流三段も向かい飛車に構え、相振り飛車の将棋となりました。互いに飛車先の歩を交換し、後手が美濃囲いを作って5筋と1筋の位を取ると、先手は金無双に囲って7筋と6筋の位を確保します。伊藤女流三段が、先に9筋から仕掛けて昼休となりました。

昼休明け、9筋の香を取り返した伊藤女流三段は左銀を盤面中央に押し出します。西山女王も強く対応し激しく衝突します。西山女王が△4五桂と銀取りに跳ねたのに対し、伊藤女流三段は銀を逃げずに飛車を2筋に回し、▲2三飛成と竜を作ることに成功します。西山女王も4-5筋に戦力を集め、△4六飛から清算し2枚目の角を△6七角と打ち込んで相手玉に迫ります。受けが難しくなった伊藤女流三段は、▲5二歩成と詰めろを掛けますが、西山女王は△4七成香から長手数の即詰みに討ち取りました。

本局は、伊藤女流三段が積極的に仕掛けましたが、西山女王が反撃に転じてからはどちらが速いかという激しい攻め合いになりました。最後は、相手玉の近くに攻め駒を終結させた西山女王の攻めが一歩早く、伊藤女流三段も挟撃体制を作りましたが及びませんでした。

この結果、本シリーズは1勝1敗のタイになりました。第三局に向けて、西山女王は「タイに戻せてホッとしています。万全の状態で臨みたいと思います」と語りました。伊藤女流三段も「気持ちを切り替えて臨みたいと思います」と語っており、今後の展開が益々楽しみになってきたと思います。

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