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「観る将」が観た第4回ABEMAトーナメント予選Eリーグ第一試合

7月3日にABEMAトーナメント予選Eリーグ第一試合が放映されました。放映日が棋聖戦第三局と重なり、途中からのリアルタイム観戦となりました。
チーム斎藤「ここ一番」対エントリーチーム「わっしょい」の顔合わせとなりました。エントリーチームは、今大会で初めての試みとしてドラフトに漏れた棋士たちがトーナメントを行い、実力で出場権を勝ち取ったメンバーで構成された注目のチームです。チーム斎藤も、ドラフトの抽選2連敗で幸運を引き寄せることができたのか注目されます。

■一局目 斎藤(慎)八段vs梶浦六段
チーム斎藤は一局目からリーダーの登場です。先手の斎藤八段が矢倉に誘導し、脇システムに組み合います。角交換の後、斎藤八段が先に敵陣に角を打ち込み金と刺し違えます。梶浦六段も敵陣に角を打ち込みますが、斎藤八段は相手の玉頭から攻め掛かり矢倉を崩します。梶浦六段は2枚の馬を作って反撃しますが、斎藤八段は5枚の金銀で要塞を築いています。難解な終盤戦となりましたが、最後は梶浦六段が相手の玉頭から攻め掛かり寄せ切りました。

■二局目 都成七段vs梶浦六段
棋聖戦第三局が終局し、ここからはリアルタイム観戦です。エントリーチームは相手のリーダーを破った梶浦六段の連投です。後手の都成七段は角交換四間飛車を選択します。梶浦六段は左美濃、都成六段も高美濃囲いに構えましたが、お互いに相手の出方をうかがい自ら囲いを崩してジリジリした駒組みが続きます。お互いに桂と歩を手持ちにして、梶浦六段が3筋から仕掛けると、都成七段は△5三角と自陣に打って攻め掛かります。梶浦六段も飛車を切って反撃し難しい終盤戦となりましたが、都成七段が一瞬の隙を突いて△8七歩から反撃し寄せ切りました。

■三局目 村山七段vs藤森五段
初出場同士の対決となりました。エントリートーナメントを振り飛車穴熊で勝ち上がった藤森五段に対し、村山七段は作戦会議で相穴熊の研究をしてきたと宣言しています。藤森五段が四間飛車穴熊を選択すると、村山七段も宣言通り穴熊に囲います。先に▲5三角成と馬を作った村山七段は▲9五歩と端攻めを決行しますが、藤森五段も竜を作って△8五桂から反撃します。村山七段は竜を自陣に引いて相手の竜を押え込み、寄せ合いを制して勝利を掴みました。

■四局目 村山七段vs小林(裕)七段
チーム斎藤は三局目に勝った村山七段の連投です。エントリーチームは満を持してリーダーが登場します。後手の村山七段は、一手損角換わりを選択します。小林七段が3筋から仕掛け、銀交換に成功します。村山七段は自陣に銀を打って銀矢倉の堅陣を築きますが、小林七段は飛車を六段目に浮いて揺さぶりを掛けます。お互いに馬を作り合い、難解な中盤戦となりましたが、小林七段の攻撃を丁寧に受け続けた村山七段が反撃に転じ、小林七段の投了となりました。

■五局目 斎藤(慎)八段vs藤森五段
チーム斎藤はじゃんけんでリーダーが登場です。後手の藤森五段は四間飛車穴熊を連採し、これを見た斎藤八段は銀冠から銀冠穴熊に組み替えます。藤森五段は飛車を7筋に振り直し、飛先の歩を交換した後△4五飛と回って竜を作ります。藤森五段は竜で桂を食いちぎって相手の穴熊を崩壊させますが、斎藤八段は必死の粘りを見せます。最後は藤森五段が歩切れとなって攻めあぐねると、斎藤八段が3枚の桂を使って相手の穴熊を攻略し寄せ切りました。

■六局目 都成七段vs小林(裕)七段
後がなくなったエントリーチームはリーダーの登場です。後手の都成七段は四間飛車に振り、相手が角道を止めるのを見て穴熊に囲います。小林七段は銀冠に組んでから▲8五歩と伸ばします。都成七段は7筋から反発しますが、小林七段は銀を前進して厚みを築きます。小林七段は竜を作ってから▲4一飛と打ち込み2枚飛車で攻め込みます。都成七段は2枚の角を攻防に打って粘りましたが、小林七段は銀のタダ捨てする妙手から寄せ切りました。

■七局目 斎藤(慎)八段vs小林(裕)七段
エントリーチームはリーダーの連投で、リーダー対決となりました。先手の斎藤八段が矢倉に誘導し、小林七段は急戦調の駒組みを進めます。斎藤八段は2筋の歩を交換して角で取りましたが、小林七段は△3五歩で相手の角を帰しません。小林七段は7筋から仕掛けて銀交換し、取った銀で相手の角を捕獲します。小林八段が怒涛の攻めを見せますが、斎藤八段が粘り強い受けを見せ、反撃に転じてからは鮮やかに即詰みに討ち取りました。

【チーム斎藤 5勝 vs エントリーチーム 2勝】
チーム斎藤は、初出場の村山七段が序盤研究の深さを活かして押し切る将棋で連勝し、チームに勢いをもたらしました。都成七段も一局目を落として嫌な流れになりそうなところで、貴重な勝ち星を挙げ貢献しています。一局目に敗れたリーダーの斎藤八段も、五局目と七局目に粘り勝ちして貫録を示しました。
注目のエントリーチームは、一局目に梶浦六段が相手のリーダーを破る殊勲の星を挙げて盛り上がりましたが、二局目からの4連敗で波に乗り切れませんでした。3人とも序盤から積極的に攻める将棋を魅せ、あと一歩という将棋も多かったので、次の試合でも好局を期待したいと思います。

※梶浦七段は5月に昇段していますが、収録時の段位(六段)で記述しています。

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