長女が壁を1つ乗り越えた時

もうすぐ5歳になる長女は負けず嫌いだ。
勝負の概念を理解した当初は、ジャンケンで1回負けるだけで大号泣した。ジャンケンで接待するのはなかなか難しいから困る。

「負けることは誰でもある」
「負けたら次に勝てるように、また頑張ればいい」

と伝えつづけて1年程たっただろうか。
負ける事、失敗する事が嫌で嫌で、ある日長女は挑戦するのを辞めた。


子どもの挑戦は失敗から始まることの方が多い。ほとんどがやった事の無い事だから当たり前だ。
4歳の長女は考えた結果、「挑戦しなければ失敗しない!」という結論を出した。出来る事はコツコツと重ねていく中で、新しい事や難しい事を避ける様になった。

周りの友達が5歳になっていくのを見て、複雑な思いもあったのだろう。
親としては「大丈夫かな」と少し不安になった。
しかし強く言っても意味がないのも分かってる。
失敗しても頑張れるかどうかは結局、自分が決める事だろう。

長女の気に障らない程度に
「何度も何度もやれば、出来る様になる」
「やらないと出来る様にはならない」
と伝え続けた。


ある日、おともだちが鉄棒で前回りをしているのを見た長女が「鉄棒やりたい」と言った。
「いいよ」と2人で鉄棒の前に行き、前回りの練習をしようとした。けど、怖くて長女は泣いてしまった。

「怖かったらムリしてやらなくてもいいんだよ」
と言うと
「やりたいの!」
と泣きながら言う。

思いつく限りのポジティブな言葉をかけながら、最初は私が9割補助をして身体を回した。
「もう1回」
と長女が言う。

回数を重ねていく内に、補助が2割程になった。
「もうほとんど手伝ってないよ。」
と言うと
「手伝わないで」
と言われた。

長女は鉄棒の前回りが出来た。


その日から長女は再び新しい事に挑戦する事に積極的になった。自分の中の壁を1つ乗り越えたのだ。
当然ながら長女には長女の感情があり、心には波がある。
また失敗が怖くなって、挑戦を避ける時は来るだろう。
それを繰り返していく事で心も身体も強くなっていくのかもしれない。

親と一緒に壁を乗り越える期間は、おそらくそんなに長くはない。子どもは少しずつだけど確実に、親の手から離れていく。
前回りが出来た瞬間の表情は、なかなかに感動的なものだった。子どもたちのその表情が、なるべく多く見られたらいいな、と思う。


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