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基本さえ押さえれば、誰でも上手な文章を書けるようになる

noteやSNSをはじめ、文章を書く機会が増えた人が多いのではないでしょうか。仕事でもメールや報告書、依頼書、もちろん企画書や資料を書かなければいけませんし、ときには記事を書く必要があることも。

ですが、文章を書く機会は多い一方で、書くのが苦手だと感じていませんか? 「どう書けばいいか分からない」「何が言いたいのか分からないと指摘される」など、文章にまつわる悩みは尽きません。

そんな悩みを解決するには、ともかく文章の基本を押さえることが大切です。今回は、そのポイントを解説した書籍『日本人のための「書く」全技術【極み】』を紹介します。

本書は「2,000本以上の記事作成」「書籍200冊以上の執筆経験」「ベストセラー探究」から文章のノウハウを導き出した藤𠮷豊さんと小川真理子さんによるもの。センスや才能がなくてもマネするだけで上手な文章を書けるようになる方法が多数解説されています。

文章を書くには「何を書くか」という企画から、情報収集、文章の組み立て方(構成)、そして実際に文章を書く技術が必要になります。本書ではこれらの要素をしっかり押さえつつ、魅力の出し方、推敲の方法、文章力の伸ばし方なども説明されています。

文章を書くのが苦手だと感じている人が、基本的で簡単なことから始めて上手な文章を書けるようになる1冊です。

どんな内容が書かれているのか気になる方のために、「4章 書く」の一部を抜粋しますので、ぜひ参考にしてみてください。

◆著者について
藤𠮷豊(ふじよしゆたか)

株式会社文道、代表取締役。有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。神奈川県相模原市出身。
編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて、自動車専門誌2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。文化人、経営者、アスリート、タレントなど、インタビュー実績は2000人以上。2006年以降はビジネス書籍の編集協力に注力し、200冊以上の書籍のライティングに関わる。

小川真理子(おがわまりこ)
株式会社文道、取締役。有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。日本女子大学文学部(現人間社会学部)教育学科卒業。
編集プロダクションにて企業PRや一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスとして大手広告代理店の関連会社にて企業のウェブサイトのコンテンツ制作にも関わり仕事の幅を広げる。これまでに子ども、市井の人、文化人、経営者などインタビューの実績は数知れない。


文章を短くする

文意(文章の内容)を正確に伝えるには、言葉のムダを省いて、「文(文章)を短くする」ことが大切です

文章が長くなるとそれだけ情報量が多くなるため、

  • 誰が、何をしたのか(しているのか)

  • 何が、どういう状態なのか

  • 結論は何なのか

  • 結論に至るまでの根拠はどうなっているのか

といった事実関係が伝わりにくくなります。
文章の基本は、「短い文」を積み重ねることです。

  • 文……句点「。」(マル)で区切られたもの。

  • 文章……文が集まったもの。

文章とは、「文」が2つ以上連なったものです。「あいまいさのない短い文」「余計な言葉を削ぎ落とした文」を正しい順番でつなげることで、「誰が読んでも誤読しない文章」が完成します。

文章を短くしたほうがいい理由は、次の6つです。

【文章を短くしたほうがいい6つの理由】

  • 主語(誰が)と述語(どうした)が近づくので、事実関係がはっきりする。

  • 短く伝える意識が高まると、言葉を厳密に選ぶようになる(もっともふさわしい言葉を選ぶため、端的に表現できる)。

  • 短い文が続くことで、小気味の良いリズムが生まれる。

  • 文章全体の流れが良くなる。

  • 論理破綻がしにくい。

  • 一読で内容を理解できる。

【文章を短くする4つのポイント】

  1. なくても意味が通じる言葉を削る。

  2. 1文を60文字以内にする。

  3. ワンセンテンス・ワンメッセージにする。

  4. 情報量が多い場合は、箇条書きでまとめる。

わかりやすい言葉を使う

文は、単語と単語の組み合わせです。文の中に「意味のわからない単語」「読めない漢字」「難解な言い回し」があると、スラスラ読めないことがあります。

伝わる文章を書くには、読者が理解できるように、「わかりやすい言葉で書く」のが基本です。

「わかりやすい言葉」とは、
「日常的に使われている言葉」
「耳慣れた言葉」
「中学生でもわかる言葉」
のことです。一般の人に向けてわかりやすく書くには、難しい言葉や専門用語を使わないのが基本です。

【わかりやすく書く5つのポイント】

  1. 難解な言葉は、日常的な言葉に書き換える。

  2. 漢字を少なくする(ひらがなを多くする)。

  3. カタカナ語は、日本語に書き換える。

  4. 専門用語、業界用語、身内用語は使わない(使うときは解説を補足する)。

  5. アルファベット略語には説明を加える。

書き手と読者の解釈を揃える

文章は、情報を伝えるコミュニケーションツールです。

コミュニケーションには、常に相手が存在します。したがって、「相手に伝わる」ように書くのが前提です。

自分の備忘録として日記やメモを書くのであれば、読者を意識する必要はありません。読み手は「自分自身」ですから、自分本位に書きたいことを書いてもかまいません。

ですが、「自分以外の人が読む文章」を書くのであれば、「相手に伝わる」ための配慮が不可欠です

「相手に伝わる文章」を書くには、次のポイントを意識します。

【伝わる文章を書くポイント】

  • 相手が誤読、誤解しないように正確に書く。

  • 書き手が思い描いたイメージ(物事に対する認識)と、読者が受け取るイメージを一致させる。

  • 伝えたいこと(相手の知りたいこと)を過不足なく書く。

  • 認識や考えを共有できるように書く。

実用文やビジネス文書は、小説などの文学作品・芸術作品とは違い、結論を相手の解釈に委ねてはいけません

「100人が100人、全員が全員、同じ結論、同じ解釈ができる」ように、内容も表現のしかたも工夫する必要があります。

【イメージを共有する3つのポイント】

  1. 形容詞や副詞は、数字に書き換える。

  2. 必要な情報をモレなく書く。

  3. 自分も内容を理解した上で書く。

「書き出し」で差をつける

「書き出し」とは、文章の冒頭部分(書きはじめ)のことです。

書き出しは、文章の第一印象を決めます。書き出しで、
「この文章はおもしろそうだな」
「この文章は役に立ちそうだな」
と思わせると、読み手の興味を引き出しやすくなります。

基本形は「結論が先、説明はあと」です。結論を述べる前に、多くの人が
「疑問に思っていること」
「不安に思っていること」
「悩んでいること」
「知らないと損をする(知っていると得をする)こと」
を提示すると、読者の関心を引きつけることができます。

「○○○○のとき、どう対処すべきでしょうか?」
「みなさんにも、○○○○という不安がありますよね?」
「○○○○で困ったことはありませんか?」
「○○○○を解決するには、どうしたらいいのでしょうか?」
「○○○○を知らないと、知らぬ間に損をしているかもしれません」

最初に「疑問」「不安」「悩み」「損得」を提示すると、読者は書き手に共感しやすくなるため、
「この文章は、自分にも関係がある」
「自分にも心当たりがある」
ことが際立ちます。

主語と述語をセットにする

文は、「何が(誰が)」「何は(誰は)」に当たる部分(=主語)と、「どうする」「どんなだ」「何だ」に当たる部分(=述語)から成り立っています。

何が(誰が)+どうする ➡ 「電話が」「鳴る」
何が(誰が)+どんなだ ➡ 「花が」「美しい」
何は(誰は)+何だ ➡ 「彼は」「エンジニアだ」

主語と述語は、文の骨組みです。「主語がない」「述語がない」「主語と述語が離れている」と文意が不明瞭になります。

【主語と述語を明確にする4つのポイント】

  1. 1文を短くする。

  2. 主語を書いたら、対応する述語があるかを確認する。

  3. 主語は述語の近くに置く。

  4. 主語をむやみに省略しない。

「句読点」の打ち方で読みやすさが変わる

句読点とは、句点(「。」いわゆる「マル」)と、読点(「、」いわゆる「テン」)のことです。

句読点には、「文の意味を明確にする」「文章のリズムを整える」といった働きがあります。

【マル(句点)の5つのルール】

1.文の終わりにつける

【例】
私は、学生です。

2.見出し、タイトル、箇条書きにはつけない

見出し、タイトル、箇条書きには句点をつけないのが基本です。ただし、箇条書きの要素が「文」のときは、打つことがあります(本書では、読みやすさを考慮して、句点を打つ場合と、打たない場合を使い分けています)。

【箇条書きに句点をつける例】

  • 人の体の約20%は、タンパク質からできている。

  • タンパク質は、筋肉・内臓・皮膚・爪・毛髪などをつくる。

  • 負荷の高い運動をしている人には、運動前・運動中のタンパク質摂取が効果的である。

3.カギカッコの文末にはつけない

【正しい例】
「これ以上は意味がない」
彼は言った。

【間違った例】
「これ以上は意味がない。」
彼は言った。

「これ以上は意味がない」。
彼は言った。

ただし、「カギカッコ」のあとに別の文が続く場合は、句点を打ちます。

【例】
「これ以上は意味がない」。彼は言った。

4.注釈の丸カッコのあとにつける

【例】
現在の売上は1億円(6月1日時点)。

5.筆者名、クレジットなどを表記するときは、丸カッコの前につける

【例】
6月15日に、緊急地震速報の訓練を実施します。(気象庁)

【テン(読点)の8つのルール】

1.文の切れ目に打つ

【例】
雨が止んだので、私は出かけた。

2.修飾する文が長いとき、そのあとに打つ
(修飾する語とされる語の関係を明確にするときに打つ)

【例】
昨日は遅くまでお酒を飲んでいたので、今朝は眠い。

3.対等に並べるときに打つ

【例】
犬も、猫も、鳥も、ハムスターも飼ったことがある。

4.接続詞、逆接の助詞のあとに打つ

【例】
しかし、私は違う意見だ。
彼はそう言うが、私は違う意見だ。

5.誤解を避けるために打つ

【例】
× ここではきものを脱いでください。
○ ここで、はきものを脱いでください。

6.引用を示す「と」の前に打つ

【例】
コーヒーを飲んでくる、と彼は言った。

7.感動詞や呼びかけの句のあとに打つ

【例】
やれやれ、ようやく終わった。
こんにちは、お久しぶりです。
ほら、だから言ったでしょ。
いや、そんなことはありません。

8.リズムの良い場所、呼吸をする場所に打つ

声に出して読んだとき、「読点を入れたほうがリズムは良い」
「読点を入れると呼吸がしやすく読みやすい」と感じたところに打
つようにします。

語尾でリズムをつくる

語尾(文の末尾)は、文の意味、伝わり方、読みやすさ、リズムなどを決める重要な要素です。

語尾が変わると、読後の印象も変わります。

【例】
彼が好きな飲み物は、コーヒーです。
彼が好きな飲み物は、コーヒーだ。
彼が好きな飲み物は、コーヒー。
彼が好きな飲み物は、コーヒーでしょう。
彼が好きな飲み物は、コーヒーか?

【語尾の3つのポイント】

  1. 同じ語尾の繰り返しは「2回」まで。

  2. 過去形と現在形を交ぜる。

  3. 「です・ます調」と「だ・である調」を混在させない。

◆本書の目次
序章 「上手な文章」とは何か
1章 企画する
2章 集める
3章 構成する
4章 書く
5章 惹きつける
6章 推敲する
7章 伸ばす
8章 心得る
【付録】 ビジネス文書を書く技術

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