見出し画像

仕上りの『早さ』と『品質』、これって関係するの?

世の中にはたくさんのクリーニング店があります。サービスメニューや価格、仕上げ方、使っている包装ビニルやハンガーなど、各社自分なりのこだわりを持って営業をしています。そのこだわりの一つに『仕上り日時』があります。

画像2

午前中に出せば、夕方に仕上がる。今日出せば、明日に仕上がる。今日出したら、お仕上りは3日後。お店によって色々ありますよね。この仕上りの日時は、クリーニング店によってホント様々で、それがクリーニング店を選ぶ理由の一つにもなっています。

正栄クリーニングでは、当日仕上りのお店や、翌日仕上りのお店がほとんどです。本社工場前のお店では、なんと4時間後には仕上がってきます!

iOS の画像 (6)

さて、この仕上り時間の早さ、クリーニングの品質と関係しているのでしょうか?

4時間仕上げや当日仕上げ、なんてやっているクリーニング店は、品質もそこそこでしょ?早すぎるから仕上げもそれなりになってるんでしょ?なんて思っている方もいらっしゃるのではないかと思います。

じっくりと時間をかけて、大切に、丁寧に扱っています…と聞くと、なるほどそれなら品質もきっといいんだろう、と思いますよね。一方で、4時間で素早く仕上げてます!って言われると、そんな短時間では雑に扱われるのでは…と感じるかもしれません。


仕上りに日数がかかるクリーニング店は高品質?

4時間仕上りや当日仕上りのクリーニング店は低品質?

この疑問に対するひとつの考え方として今回お伝えしたいのは、実際のクリーニング工程にかかる『処理時間』です。4時間で仕上げるお店と、数日後に仕上がるお店で、実際にお洋服のクリーニング処理にかける時間が違うのでしょうか?

スーツ上着を例に、標準的なクリーニング工場での処理時間を順番に説明しましょう。

画像3

まずは商品の点検・選別作業です。生地の破れや素材の点検をして、洗い方を決めます。スーツ1着の点検にかける時間は長くても1分程度です。ボタンをアルミホイルで巻いたり、クリーニングネットに入れたり…と時間をかけても1分程。また汚れ具合によっては前処理やしみ抜きを行いますが、それも長くて5分程でしょう。

iOS の画像 (4)

次は洗浄と乾燥工程です。スーツ上着であればドライクリーニング処理をしますが、その処理時間は洗浄で15分~20分程度、乾燥で30分程度、合わせても50分程です。

数日後に仕上がるクリーニング店は、もっと洗浄時間が長いんじゃないの?と思われるかもしれません。そういうお店もあるかもしれませんが、実は洗浄時間が長ければ良い洗浄、というわけではありません。洗浄開始後5分間は汚れがよく落ちますが、その後落ち方は緩やかになり、10分を過ぎると汚れ落ちにはほぼ変化が見られなくなります。一方で長すぎる洗浄時間はお洋服にダメージを与えることにも繋がりかねません。やはり洗浄時間は適切な時間設定をすべきで、クリーニング工場はもちろんこの前提で洗浄時間を設定しているはずなのです。

画像5

その次は仕上げ工程です。多くのクリーニング工場では、スーツ上着をアイロンでプレスして仕上げています。このプレス作業にかかる時間、1分~2分程、長くて5分といったところでしょう。また人体フォーマ―と呼ばれる人形型の仕上げ機とアイロン仕上げを併用した場合でも、1着あたりせいぜい5分程です。もし10分もかけていると工場長に怒られちゃうかもしれませんね。

洗浄時間と同様に、仕上げも時間をかければ良い、というものではありません。長時間のプレスは繊維を傷めますし、時間をかければシワが伸びるというものでもないのです。

さあ、ここまで全部で何分かかったでしょうか?点検、洗浄・乾燥、仕上げの処理でかかるのは、実は60分程度。そうなんです、1時間でクリーニング処理は済んでしまうのです。あとは、包装する時間、出荷仕分けの時間、店舗と工場の配送時間、などがかかってきますが、それらでかかる時間はせいぜい数時間程度(店舗の距離にもよりますが…)でしょう。

このクリーニング工程にかかる処理時間、お客様のデイリーユースを対象としたクリーニング店では、どのお店もそれほど大きな違いはないと思います。処理時間をかければ高品質というわけではないので、必要以上に長くする意味がないのです。ではなぜクリーニング店によって仕上り日時に差があるのでしょう?

iOS の画像 (5)

多くの場合、それは『待機時間』があるかどうかの違いです。受付後の店舗での待機時間、工場入荷後の洗浄までの待機時間、次工程への待機時間、仕上げ完了後の出荷待ち時間、などの待機時間が積み重なって、結果として仕上がりが数日後となるのです。クリーニング店によっては別料金で『特急コース』みたいなメニューがありますが、これは要するに待機時間をすっ飛ばしてしまうことで、短時間での仕上げを可能にするものなのです。数日かけてじっくり処理をしているのであれば、特急対応が出来るはずありません。

4時間仕上げや当日仕上げが可能な理由は、この待機時間を限りなく短くしているからです。待機時間を短くするためには、店舗・集配・工場の各工程が分刻みで連携することが必要で、当社ではその仕組み作りに相当に力を入れています。そうして工夫して待機時間を短くした結果、短時間の仕上りが実現出来ています。

冒頭の『仕上り時間の早さはクリーニングの品質と関係しているのか?』の答えは『全く関係していない』と言えるでしょう。品質の良し悪しは、そのクリーニング店の技術力にかかってきます。『早くてキレイ』と評価してもらえるクリーニング店を目指して、これからも技術とサービスに磨きをかけていきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?