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#2 担任のキャラクター設定

1.あなたはどんなキャラクターの先生ですか

担任業は、キャラクター設定が重要だ。
元気キャラ、穏やかキャラ、熱血キャラ、さわやかキャラ…
何でもいいが、何か前面に押し出せる個性があった方がいい。

ただし、ここでいう「キャラクター」とは、「性格」と同義ではない。
これは持論だが、いや、持論と呼べるほどのオリジナリティーはない考えだが、担任のキャラクターを決定づけるのには「スキル」「パーソナリティ」という二つの要素がある。
いずれも文字通りだが、「スキル」とは技術・技能、「パーソリティ」は性格や嗜好のことだ。

担任は、キャラクターを設定するうえで、自分にはどんな「スキル」があり、どんな「パーソナリティ」の人間なのかをしっかり自己分析し、それらをかけ合わせればいい。

2.僕の場合 「パーソナリティ」編

まず、僕はグイグイ引っ張っていくような強烈なリーダーシップがあるわけではない。一年目の頃、そういうタイプの先生に憧れて真似しようとも思ったが、うまくできない。考えてみれば当然で、それはその人だからできることであって、自分はその人にはなれないから。
では、僕はどんなタイプなのか?そして、自分でも無理なく打ち出せるキャラクターとはどんなものか?

考えた結果、
「子どもにツッコまれる(ツッコませる)」キャラクターが一番フィットするな、と思った。
これ、何がいいかと言うと、単純に教室が温かい雰囲気になることと、子どもに親しみやすさを抱かせることだ。

僕は抜けているところが多く、授業の度に「あれ忘れた!これ忘れた!」とあたふたしていることが多い。
また、僕は小ボケを連発してクスクス笑いをとるのが得意なタイプ。
あとそもそも、快活というよりはゆる~っとしている。必要がなければあまり声も張りたくない。

どうだ。こういうパーソナリティなのに、無理やりリーダーシップを発揮するオラオラ系を目指したところで、土台無理なのが分かるだろう。
無理して、自分と遠いパーソナリティを標榜しても、誰も得をしない。

僕はこの「抜け感」と「小ボケ」を、半分は素で、しかしもう半分は意図的に子どもたちに晒す。いわば自己開示だ。
もちろん、子どもも年度始めから芳しい反応はしてこない。まだ担任がどんな人間か分からないからだ。これは笑っていいところ?ツッコんでもいいところ?と探り探りだ。
では、どうするか?答えは簡単。「繰り返す」だ。

何度も何度も繰り返しこの手の自己開示をし続けることで、1~2ヶ月ぐらいで子どもは笑いどころ、ツッコみどころを理解する(←ひいては、僕のキャラクターを理解する)。
キャラクターを確立させるために大事なのは、その強度ではなく、反復なのだ。
僕の「フリ」あるいは「ボケ」に対して子どもたちが「ツッコミ」を入れる、そしてワハハ~と一緒に笑う。こういう構図ができたら、このキャラクター設定は成功だ。

で、ここが大事なんだけど、自分の弱いところもキャラクターとして成り立つ。むしろ、弱いところもどんどん出した方がいい、とさえ思っている。
キャラクターには、「良い・悪い」という評価軸は存在しないからだ(あくまで基本的には、だけど)。
活発なのが良くて、おとなしいのが悪いわけではない。サッカーが得意なのは良くて、手芸が得意なのは悪いわけではない。
何かこう、子どもに面白がってもらえたり、安心させられたり、元気を与えたりといった、「引っかかり」があればいい。

それに、自分はこんな人間なんだ!というのを良いところも悪いところも子どもに晒した方が、子どもは先生に親しみやすさをより感じるように思う。

ただ。弱い部分も見せる際には注意が必要なこともある。
それは、「悪い意味で」ナメられる可能性があるということだ。
僕の「子どもにツッコまれる」キャラも、この危険性を十分にはらんでいる。
この危険を回避するためにはバランスとりが重要で、僕は叱るときは割とビシッと叱る(当たり前か?)。ピリッとした雰囲気を作る。
「普段は優しくて親しみやすいけど、ちゃんと叱るときは叱る先生なんだ」ということを子どもにイメージづけておくと、うまいことバランスがとれる。要するに「緊張と緩和」だ。
僕とは逆に、普段ピシッとしたキャラクターの先生だったら、穏やかな一面、ドジな一面なんかを出してみるといいと思う。

あと、自分の趣味趣向をゴリ押しするのも一つの手だと思う。
例えば僕はからあげが好きなので、至る所にからあげを登場させたり、からあげというワードを使ったりする。
そうすると、「からあげといえばtamoo先生」「tamoo先生といえばからあげ」という方程式が子どもの中で組み立てられ、給食でからあげが出た日には子どもたちが妙にニヤニヤしたり、家で先生はからあげが好き、と親との話題になったりする。
こういうイメージづけも有効。

3.僕の場合 「スキル」編

僕は、趣味でギターをやっている。テクニック的には下の下…だが、言葉は悪いものの、まぁ小学生相手に披露する分にはメッキは剥がれない。
こういうスキルを持っている場合、使わない手はない。
音楽の授業なんかでしれっとギターで伴奏をすると、少なからず子どもは食いついてくる。「ギター弾いてる先生なんて初めて見た」と言われたり、家で保護者に話してくれていたり、なんてことも実際あった。

それから、僕は教室環境を工夫するのが得意だ。
僕の学級経営のモットーは「楽しい場所・安心できる場所」なので(これについてもいつか書きたい)、とにかく「楽しければいいじゃん」的なノリで、教室内外に様々な「小細工」を潜ませている。

例えば、これは昨年度からやっている取り組みだが、廊下に「漢字バラバラ事件」というクイズコーナーを設けている。
これは、漢字一字を大きく印刷した厚紙を6分割にしたパズルで、ピースを正しく組み合わせると漢字が出来上がる、というもの。答えが分かったら、解答用紙に書きこんでボックスに入れる。お題は一週間ごとに変更し、正解者も毎回紹介する。
また、僕はSSTのネタのストックがちょこちょこある。一見するとゲームやレクのようだが、ちゃんと教育的な意義がある。一つぐらい例示してもいいのだが、疲れたので割愛する。

まぁでもこんな感じで、学習に一応からめながら、楽しく過ごせるような「小細工」を考えることができる。これもスキルの一つだ。

まとめると、僕のスキル面でのキャラクターは
「ギタリスト」「小細工職人」みたいな感じになる。

で、3.の「パーソナリティ」編では、キャラクターの確立には反復が大事、と書いたが、「スキル」編においては、少々話が違ってくるように思う。
スキルは、小出しにするぐらいがちょうどいいかもしれない。
あるいは、「さりげなく」やる。

毎回毎回ギター!ジャーン!だと、いくらインパクトが強いとはいえ飽きてくる。楽しい小細工も、見てこれ!こんなの作ったよ!やってみてね!とアピールしすぎると、暑苦しい。
能ある鷹は爪を隠す、と言うように、まぁ隠さなくてもいいが、出しすぎるのはイマイチかも。


4.最後に

「パーソナリティ」「スキル」に無理やり分けて担任のキャラクター設定についてくどくどダラダラ述べてみたが、まぁこんな感じで僕は担任としての自分を作っている。
色んな考え方があると思うけど、担任のキャラクターを設定するのは、自分らしさを大事にしながら、学級を上手く運営するため子どもとの良好な関係を築くため、というのが目的である。どんな学級にしたいのか、どんな関係を子どもと築きたいのか、そのゴールのイメージをもってキャラクター設定をしてみるといいと思う。
僕も、より磨きをかけていきたい。


今日の1曲:Heaven Knows I'm Miserable Now/The Smiths
https://www.youtube.com/watch?v=TjPhzgxe3L0

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