東京交響楽団 シェーンベルク「グレの歌」(2019/10/05)
ミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年記念公演 シェーンベルク「グレの歌」を鑑賞しました。指揮ジョナサン・ノット、世界的なオペラ歌手、東京交響楽団、東響コーラスのハイレベルな演奏、総勢400名というスケールは圧巻でした。
中世デンマークの王ヴァルデマールと侍従の娘トーヴェの恋の物語
オペラは3部構成です。
第1部は、中世デンマークの王ヴァルデマールと侍従の娘トーヴェの愛の歓びの歌で始まります。ヴァルデマールは、トーヴェの住む城のあるグレに馬で向かいます。そこで、急に曲調が暗くなります。トーヴェは嫉妬した王妃により殺されてしまうのです。山鳩がその情景を歌いあげます。
第2部は、ヴァルデマール王が、トーヴェを失った悲しみを神に対してぶつけます。「主よ、あなたは恥を知り赤面すべきなのだ、乞食の所有するただ一頭の子羊を殺すとは!」と強い口調で悲しみを歌います。
第3部は、ヴァルデマール王が神の天罰として命を落としたところから始まります。亡霊となったヴァルデマール王は、グレの地をさまよいます。ヴァルデマール王のトーヴェに対する愛は変わりません。
最後の審判の日、ヴァルデマール王は「自分とトーヴェは2人で1つであり、決して切り離してはならないのだ」と訴えます。重厚で暗い曲調が、穏やかで壮大な曲調に変わりコーラスが響き渡ります。最後は、自然の力による救済によって作品は終わります。
400人の大編成で迫力の演奏
舞台上は、東京交響楽団の奏者がびっしり。普段は観客となっているパイプオルガンそばの2階席は男性コーラス隊、その左右に女性コーラス隊という布陣でした。舞台正面とその対面には、大型の字幕表示の装置が設置され、コーラスにあわせて日本語訳が表示されるようになっていました。リアルタイムに演奏に合わせた日本語訳を見ることができ、オペラ初心者にもありがたい配慮だと思いました。
演奏は全体で2時間半ほど。第2部と第3部の間に休演が入るものの、長丁場です。しかし、変化にとんだ迫力のある演奏が続き、本当に興奮の連続でした。ジョナサン・ノットさんの譜面台に載っていたスコアは、とても巨大でした。400人もの編成を一つにまとめ、聴衆を引き込む力はすごいと思いました。すばらしい舞台を楽しみました。
指揮:ジョナサン・ノット
ヴァルデマール:トルステン・ケール
トーヴェ:ドロテア・レシュマン
山鳩:オッカ・フォン・デア・ダムラウ *
農夫:アルベルト・ドーメン
道化師クラウス:ノルベルト・エルンスト
語り:サー・トーマス・アレン
合唱:東響コーラス
合唱指揮:冨平恭平
管弦楽:東京交響楽団
参考
ミューザ川崎シンフォニーホール オフィシャルブログ
(実制作作業~展示まで~リトルミューザの活動報告)
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