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古文字あれこれ【簪(かんざし)】その4

こんにちは、書道玄海社・師範の加藤双涛です。
こちらでは、シリーズで「古代文字あれこれ」について綴っていきたいと思います。

熱帯雨林は、『奇跡の薬』の宝庫

 アマゾンの熱帯雨林は、地球上の熱帯雨林の総面積のおよそ半分を占め、南アメリカの八つの国にまたがり、無類の土地、比類なき森、地上のどこよりも動植物の種類が多いといわれます。「世界の肺」ともいわれ、世界の二酸化炭素の吸収という地球温暖化の防止という観点からも、その存在は偉大なものがあります。
 前に紹介したマーク・プロトキンの「シャーマンの弟子になった民族植物学者の話」によると、3.5kgもあるカエル(クルル)、60kg以上もあるネズミ(カピバラ)、1/4トンにもなるナマズ(ピライバ)など想像を絶する生き物が住みついているといいます(以下の引用も同書から)。

 さらに植生もまた多様で、「アマゾンの熱帯雨林には世界中の昆虫の大半がいるのに、昆虫の襲撃で丸裸にされることもなく森が保たれているのは、植物が化学的な防衛力をもった戦士である証拠だ。植物は昆虫にとっては有害な化学物質を繰り出し、昆虫の攻撃を防いで自らの身を守っているのである。それらの化学兵器は人間の体内に取り入れられると、さまざまな作用を及ぼす。栄養になるもの、毒であるもの、幻覚作用をもたらすものもある。そしてなかには、治療効果がある場合もある」

 キンコーナの木の樹皮からとれるアルカロイドのキニーネは、非常にピリッとする苦みが強く、南米のインディオにより何千年も前に発見されていました。熱帯や亜熱帯の広い範囲でマラリアの特効薬として使われてきました。

「まるで遠隔作用のスマート爆弾さながら、血液中に潜んでいるマラリア原虫だけに狙いを定めて速やかに破壊する」という。

 さらに、
「キニーネは何百年以上もマラリアの特効薬として役立ってきたが、1959年ごろから化学的に組成された類似薬がこれにとって代わるようになった。だが合成薬品を使っていると、新しくより強力な耐性マラリアが発生することがあり、医師たちは天然の成分を含んだ薬品を処方することもある」という。

 「熱帯雨林は、いまだ発見されていない『奇跡の薬』の宝庫だ。しかしわれわれ先進国の人間たちは、熱帯植物の化学的、ひいては医薬的可能性を、悲しいくらいわかっていない」との指摘も紹介されています。


 しかしながら、特定非営利活動法人 熱帯雨林保護団体(RFJ)によると、1960年代以降アマゾンの開発が進められ、道路建設や伐採業者の立ち入り、有用でない木は焼却され、農地や肉牛のための放牧地とされるなど、熱帯雨林の破壊が日常となっており、ブラジル国立宇宙研究所の報告によれば、1988年に観測が始まって以降のブラジルのアマゾン森林累計焼失面積は、日本の国土面積の1.1倍に相当する42万㎢、焼失率は8.4%に達するといいます(~2018年)。
 また最近は、乾燥化に伴う森林火災による焼失も大規模化、長期化が進んでおり、環境破壊がとてつもない勢いで進んでいます。

アマゾン開発 (1)

   

熱帯雨林保護団体(RFJ)提供

アマゾン開発状況

シングー 先住民族公園南部のマットグロッソ州に属する地域における森林消失状況(1994年と2015年を比較)
( 真ん中と右の地図中、緑の線がシングー先住民族公園の境界線です。周囲の森林消失(赤色部分)が進行した結果、保護区の森だけが緑の孤島のように残されています)


シャーマン(呪医)は森林生活の熟達者

マーク・プロトキンはいっています。

「シャーマンたちは土地の植物の薬効を広く知り尽くしていると同時に、緊張を和らげる方法も心得ており、マッサージや催眠術、切開、食事療法なども使って怪我人や病人を治す。アロマテラピーやマッサージ、ストレスコントロールなどは、西洋の現代医学でも「発見」されつつある技術だ」

「歴史を通じて、薬草や秘薬を伴う宗教儀式は危険視されてきた。最初はキリスト教によって、のちには西洋医学によって。干ばつや洪水、重病などの悲惨なできごとまでもこうした異教のせいにされて貶められ、不可解な出来事の原因を押し付けられた」


 西洋文明の進出と共に、老シャーマンの受け継いだ薬草に関する先祖伝来の知識は急速に失われつつあるといいます。

老シャーマンとコイタ


 マーク・プロトキンのガイド役を務めた一人コイタの服装の変化(1982年と1992年)を示します。アマゾンのインディオの生活様式の急激な変化がわかります。
 簪の例にみられるように、これを“おしゃれ”と呼ぶにはいろいろと抵抗を感じます。


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