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わたしの好きなライブアルバム その2

●THE VILLAGE CALLERS / "LIVE"

ザ・ヴィレッジ・カラーズというチカーノ系のラテン・ファンク・バンドが60年代後半に出したライブ盤。彼らのことを知ったのはGOLDMINEが出したオムニバス「THE SOUND OF FUNK VOL.1」に収められた「HECTOR」という曲で、いわゆるユルい感じのJB系ファンクなんですが、どこか間の抜けたボーカルと、カセット録音したような荒いライブ録音の雰囲気が強く印象に残りました。そして、その曲も収録したこのレアなライブアルバムが後に再発となったのです。全体的にはアレサのメドレーやローラ・ニーロやサンタナなどカヴァーが多く、そこにラテンとファンクが混ざった「当時の箱バンの一つ」以外の何者でもないわけですが、とにかく全体を包み込む「如何わしいクラブ」っぽい雰囲気がもうたまらないのです。


●STING / BRING ON THE NIGHT

86年に出たスティングの2枚組ライブ盤で、これは発売当時から今までずっと愛聴盤です。ジャズ的の躍動感が見事にポップ音楽へと消化されてますし、演奏そのものがぐうの音も出ないほどにツボを押さえまくっていて圧巻です。オマー・ハキムのドラムはもちろん、個人的にはA-1で聴けるケニー・カークランドのキーボードのソロが最高!これは一部で伝説のアドリブとも言われていて、自分もこのソロをコピーしたものです。サックスのブランフォード・マルサリスも勢いよくラップしたり兄のウィントンとは全然違うこの「不良っぽさ」が最高なんですね。ポリス時代も含めた選曲やアレンジの抜群。ちなみに同名の映像あって、これも必見。


●LINDA LEWIS / BORN PERFORMER

フォーキー・ソウルの歌姫リンダ・ルイスが95年に渋谷ON AIR EASTで行った二日間のライブから選曲されたアルバム。実はこのライブ、2日とも行ったのですよね。なのでとても思い出深いライブですし、こうやってCDになったのは何より嬉しいですね。実際に見たリンダは、もう最高に愛らしい女性で、歌声はもちろん、喋ってる声とかも、とっても可愛いんですよね。あらためてCDで聴くと選曲もなかなかのベストですし、ロバート・アーワイのギターやクマ原田のベースなどもバックの演奏も実に味わい深いです。男性陣が一生懸命コーラスしているのも、なんか微笑ましいです。しかし何と言ってもリンダの歌声がもう素晴らしすぎて。


●THE WOODEN TOPS / HYPNO BEAT LIVE

ウッデン・トップスを知ったのは彼らのシングルをアンディ・パートリッジがプロデュースしているという情報からでした。確か当時ポッパーズMTVでもビデオが流れて、なかなかのインパクトでしたね。ちょっとドイツのCANのようなハンマービートにパンクっぽいスピード感を足したようなものが、彼らの提示した「ヒプノビート」なのかなと予想しましたが、このライブ盤には予想をはるかに上回る衝撃をを覚えました。スタジオ録音は割とポップな感じでしたが、ライブだと演奏が激しくアグレッシブな上に、やたらテンポが速い!そして当時ラフトレードではスミスに続く大型新人と言われた彼らですが、少なくともこのライブ盤が出た当時はスミスの衝撃を完全に超える最大瞬間風速が自分の中で巻き起こってしまいましたね。


●ヤン富田 / 素晴らしい偶然を求めて

93年のパルコ劇場でのヤン富田のライブを収めたCD。ステージにはスティールパンの他にオシレーター、ミキサー、24トラックテープレコーダー、EMS、APRシンセサイザーなどが数多く置かれ、実際のライブは3時間以上にも及んだと言われています。ここに収められたCDはそのライブの一部ではありますが、これがなかなかにとんでもない代物でして。ステージでFMのラジオでチューナーをいじりながら、まるで子供のように無邪気に音に戯れる様は音だけでも相当ストレンジ。ラジオからは、その夜に本当に東京で放送されていたであろう小林克也の司会の声やデヴィッド・サンボーンのフュージョン曲が流れ、それを自身のライブで演奏(というか放送)し、それに合わせて電子音を絡めてドラムを叩いたりと、やりたい放題。もう著作権もへったくれもないです。しかし、このかっぱらい精神こそが真のヒップホップじゃないかと思ってしまったり。とにかくストレンジなのに決して難解にならないユーモアと人懐っこさがヤンさんの音楽の懐の深さだと思います。

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