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違法電動(フル電動自転車・モペット)の取り締まりの歴史をざっくり解説
フル電動自転車販売店への取り締まり
2023年1月、京都の販売店がフルアシスト電動を販売したことで書類送検されました。
京の洛スクの書類送検
摘発されたのは京の洛スクという販売店でした。容疑は不正競争防止法違反。
道路交通法で定められた基準の動力を超える電動アシスト自転車であったにもかかわらず基準適合品のように表示販売していたとして、不正競争防止法違反(誤認惹起)の容疑で、当社および代表が書類送検された。
その後、不正競争防止法違反の罪で裁判所から罰金30万円の略式命令を受けたようです。
そして、その後売上が急減して倒産となっています。
フル電動自転車販売店の最初の取り締まりは2005年?
たぶん、フルアシスト電動関連で一番古い取り締まり記事と思われるものがありました。
このときの容疑は「詐欺」だったみたいです。
自転車と偽り「原付」販売 詐欺容疑で経営者を取り調べ 大阪府警
搭載したモーターで自走できるペダル付きの「フル電動自転車」が原付の運転免許を必要とするにもかかわらず、自転車と偽って販売したとして、大阪府警交通捜査課と西成署は二十日午前、詐欺容疑で、大阪市西成区天下茶屋の自転車販売店「サイクルショップマル友」など三カ所を捜索、経営者の男(67)から取り調べを始めた。容疑が固まり次第、逮捕する。
2009年にも摘発があった
そして、さらに検索してみると2009年にも販売店が摘発されていたようです。
こちらは道交法違反幇助という珍しい罪状。
公道を走ると違法になることを客に伝えないまま、「フル電動自転車」を販売したとして、大阪府警交通指導課と南署は28日、道交法違反(整備不良車両の運転禁止)幇助(ほうじょ)の疑いで、大阪市中央区の販売店店長の男(32)と元従業員の男(42)を書類送検したと発表した。
・府警によると、「フル電動自転車」をめぐり同容疑で販売店を摘発するのは初めてという。
2人の送検容疑は、昨年10~11月、大阪市内の21歳と19歳の男性に「ペダルをこいでいるふりをしたら警察に捕まらない」などと言って、「フル電動自転車」2台を販売したとされる。
フルアシスト電動を売る行為自体は問題ではなく、基本的にフル電動自転車を電動アシスト自転車と偽って売るという行為が問題になるようです。
注:フルアシスト電動は公道は走ってはいけませんが、走行が許可されたサーキットやイベント会場など、私有地での利用は可能です。
やっている行為は似ているものの、罪状は不正競争防止法、道交法違反幇助、詐欺と様々なのが面白いですね。
あと、面白いのが、フル電動自転車は原動機付自転車と分類すると決めた2005年、摘発根拠が整い一斉摘発を始めた2009年、特定小型原動機付自転車(電動キックボード)解禁のための道交法改正の2023年にそれぞれ摘発しているのが恣意的というか見せしめというか…。
ここまで、販売店がフル電動自転車を売ることのリスクについて調べて書きました。
後述しますが、販売者だけではなく、購入者側にもリスクがあり、知りませんでしたとか変なごまかしは通じません。
もう少し続きますが、ぜひお付き合いください!
いつから違法だったのか?
フルアシスト電動はいつから違法になったのでしょうか?
上の記事を読むと、2001年には存在が認知されていて、2005年には電動自転車ではなく原付きとして分類され、2009年3月から本格的に取り締まりを開始する旨が書かれています。
当時はフル電動自転車と呼ばれていたみたいですね。
私も当時、自転車チェーン店に勤めていたそう呼んでいた記憶があります。
いつからかモペットと呼ばれるようになって、今現在はモペットと呼ぶのが主流みたいです。
ちなみに、モペットはもともと「モペッド」でペダル付きバイクのことだそうで↓
モペッド (moped) はペダルが付いたオートバイの日本での総称である。
エンジンや電動機(電気モーター)などの原動機だけで走行することも、ペダルを漕いで人力だけで走行することも可能な車両を指す。Motor(モーター、原動機)と Pedal(ペダル)のかばん語が語源。年配者を中心に「バタバタ」「ペケペケ」と呼ばれる場合もある。商品名としての造語であるモペットという表記もある
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%89
その前から電動自転車ではなく「ペダル付き原動機付自転車」に分類されていたようですが、違反だが取り締まりできない状態だったようです。
大阪府警は2009年3月27日、フル電動自転車の一斉取り締まりを行った。フル電動自転車の利用者に道交法違反で交通反則切符を切ったのは全国初。フル電動自転車は外見は自転車そっくりだがサドルの下にモーターを搭載。スイッチで作動し、ペダルをこがなくても時速約20キロで走行できる。モーターでペダルをこぐ力を補助する「電動アシスト自転車」とは異なる。フル電動自転車は「ペダル付き原動機付自転車」に分類され、公道走行にはナンバーの登録や免許証の所持、ヘルメットの着用、方向指示器や速度計などの整備が必要。府警交通指導課によると、2001年ごろから雑貨店やインターネットで1台3万~7万円で販売され、大阪市内だけで250台以上が出回っているという。
上の記事によると、2001年にはすでにフル電動自転車は存在していたようです。
そこからやっと2009年にやっと一斉摘発のような大規模な取り締まりが始まったということで、そう考えるとお上は慎重すぎてやることが遅いよなと思います。
記憶はうっすらですが、この頃は「フル電動って乗っちゃダメなの?」みたいなことを聞きに来るお客さんもいました。
処分してほしいとフル電動自転車を持ってくる人もいましたし、バッテリーを外して乗るようにしている人もいましたね。
ですが、一時期下火になっただけで、ほとぼりが冷めてフル電動自転車はまた増えてきています。
昔は種類が少なく、ぱっと見ですぐフル電動自転車とわかるような物が多かったのですが、いまはパット見ではわかりません。
![](https://assets.st-note.com/img/1691825219005-pbnp02WA4f.jpg)
例えば、窪塚洋介さんなどの芸能人が乗っていて有名になったMATEタイプの電動アシスト自転車でも「日本仕様電動アシストタイプ」「リミッターの切れた海外仕様タイプ」「違法なフルアシストタイプ」みたいになっちゃってます。
注:実店舗で売られている日本仕様正規品のMATEは問題ないと思いますが、MATEそっくりの違法電動やフルアシスト電動が数多く存在しています。
これらが走行しているところを見てどれに該当するか判断することは不可能です。
フルアシストに改造するパーツがAmazonで売ってたり、ネットで相変わらず売られていたりと、厳しく取り締まっていた2009年頃よりはるかに無法地帯です。
購入者にも取り締まりのリスク
販売店の取り締まりだけではなく、購入者も取り締まられています。
フル電動自転車の怖いところは何も知らずに購入したとしても、それを運転することで大きなリスクがあることです。
普通に捕まる
漕いでるふりをすれば捕まらないとお巡りさんに言われた、なんてホントか嘘かわからない噂もありますが、そんなに甘くありません。
たしかに、ただ走行しているだけで捕まることはほぼないと思いますが、交通違反をしたり、事故を起こした場合は調べられてバレます。
法的なリスクに関してはいい記事がありました↓
国民生活センターからも注意喚起がされています。
法的なリスクがエグい
フルアシスト電動はネットを中心に違法な状態で売られているものも多く、法的なリスクも事故リスクも高い危険な乗り物です。
ただ、今は法的な部分をクリアしたフルアシスト電動も実店舗・ネット販売問わず売られているので、それは購入しても問題ありません。
メンテナンス・修理ができない可能性
フルアシスト電動はそもそもが公道走行不可であるため、基本的に自転車店は個人・チェーン店問わず修理やメンテナンスを断るお店が大半です。
また、国内メーカー(BS・パナ・YAMAHA)の電動アシスト自転車には、国の審査を通った証である「型式番号シール」というのが車体に貼られています。
それが貼られていない、電動の自転車についても断るお店が大半でしょう。私も自転車屋ですが断ります。
また、防犯登録も断られます。防犯登録協会の立場も、フル電動自転車は自転車ではないという立場です。
まとめ
2023年7月の道交法改正があったとはいえ、フルアシスト電動の購入にはリスクがあります。
特に怪しい業者がやっているネットショップからは絶対に買わないでください。
法的な部分や基準をクリアしていないものは容赦なく違法になり、デメリットや法的リスクまみれです。
どうしてもフルアシスト電動が欲しい場合は実店舗、かつきちんとしたお店で買ったほうがいいでしょう。
以上です、お読みいただきありがとうございました!
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