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自転車屋開業マガジン(短い記事)

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自転車屋の開業に役立つ記事を投稿しています。主に短い記事が中心です。
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2021年12月の記事一覧

自転車屋になった理由

 自転車屋になって、もう15年ほど。そういえば、なぜ自転車屋になろうと思ったのかをたまに忘れそうになります。すごく昔のことなので。  はじめて自分で自転車を買ったのは22歳の時。それまでは実家の親が乗っていた自転車や、姉のおさがりの自転車に乗っていました。  大学卒業後、勤めた会社の近くにBMXショップがありました。ふらっと立ち寄った時のこと、店頭にあったピストバイクに一目ぼれして、ボーナスで買いました。即決。5万円くらいだったような気がします。  はじめて買った自転車

【自転車屋開業】想定より経費は掛かる

 開業前に資金計画や、毎月の収支の予測は必ずすると思うのですが、「当初思ったより掛かるな」と後からなる確率はほぼ100%近いんじゃないかと思います。  想定されるものとして、まずは産廃処理費用。合い見積もり必須。とくにタイヤチューブの処分費用は想像するより高額です。  つぎに、税理士さんや会計士さんなど確定申告や税務にかかわってくれる方への報酬です。  そして、保険。事業保険や物件によっては火災保険など。営業車をもつなら車両保険も必須ですが、事業用だと自家用車よりも保険料が

自転車屋は値切られるのが宿命なのでお断りテンプレを考えておこう

 自転車屋はよく値切られます。むかしの家電量販店みたいなノリです。コンビニで「このパンこの値段からいくら安くなる?」とか言うわけないと思うんですが、なぜか自転車屋だと平気で言ってきます。  貼り紙とかしても、そういうお客さんは見ないので、値引き交渉してくるお客さんを避けて通ることはできません。ですので、値引きお断りのテンプレを考えておきましょう。 例:もっと安くできるんじゃないの?→価格をギリギリのラインで設定しています。これより安くすることはできません。 例:なんで値

自転車の事故車を受け付けるときに気を付けること

 自転車屋には事故を起こした自転車が持ち込まれることがあります。その時、すべきことや気を付けることはなんでしょうか。 お客さんのケガ、病院行ったかどうか  事故にあった後は興奮状態なので、ケガをしていても気が付いていない場合があります。病院に行っていないなら「あとから痛みやけがに気づくこともあるので病院行った方がいいですよ」とお伝えした方がいいです。 ちゃんと警察を呼んだか、連絡先を交換したか  自転車同士の場合など特に多いのですが、警察を呼ばずにその場で解散してしまった

無料空気入れについて:圧倒的ギブは経済合理性の前では無力

 自転車屋が無料で空気を入れるサービスが普及してかなり時間がたちます。いつの間にか「自転車屋が空気を入れる」のは当たり前になり、サービスとしての優位性がなくなってきました。  その後、↑の記事を書いて、2年以上経った現在。完全セルフサービス化しました。  特に客数の減少やクレームみたいなものはありません。空気入れサービスから売り上げにつながることもあるんじゃないか、そう思う方もいると思うのですが、完全セルフサービス化してもたいして変化はありませんでした。  思い切って、

自宅兼店舗で自転車屋開業

 職住一体。自宅兼店舗で自転車屋を開業することを昔考えたことがあります。結局、持ち家と店舗は賃貸のスタイルになったのですが、自宅で自転車屋開業のメリットデメリット考えていきたいと思います。 メリット 家賃ゼロ、通勤時間ゼロ、これにつきます。素晴らしい。 デメリット プライベートがない。最大のデメリットでしょう。  それでも憧れます。いい土地持ってたら店舗付きマンション建てられて最高なんですけどね。

店先の盗難、気を付けよう【自転車どろぼう対策】

 マイ電動自転車のスイッチカバーが盗まれました…。店先に置いているのに、いつの間に…。  さらに以前、店外に展示していた中古自転車が盗まれたこともあります。ショックでした。性善説ではダメですね。  今は展示自転車にはロックを掛けているのでそれ以降盗難はありません。  ツイッターでアンケートを取ってみると盗難があったお店も多いようです。  母数は少ないですけど、半数が経験。以下は自転車屋さんの実例です↓  保管している修理預かり自転車の盗難例も。  車体だけではなく、

自転車屋の収益源はパンク修理だけではない。

 以前の記事ですが、「自転車屋はパンク修理で儲けている」と言われがちです。  しかし、実のところ、自転車屋はパンク修理をあまりしません。  上の記事で引用したブログ記事のように月に90件ものパンク修理をすることはほぼあり得ないと言っていいでしょう。嘘です。  ほかにも、パンク修理月150件で15万円の粗利益、なんていう記事もありましたが、眉唾ですね。  だいたい上のような感じになります。  自転車屋の修理部門だけでみると、収益の圧倒的なパーセンテージを占めるのはタイヤ

自転車屋、冬の時代に備えよう

 12月になって、メーカー各社から新しいカタログや見積もりが続々届き始めました。  高い! あらゆるものの値段が上がりました。10%から20%上がっています。ガソリン代も上がりましたし、為替も円安。  安くなる要素が一つもありません。しかも、スポーツ自転車の在庫も枯渇(欧州などに流れてます)  北京オリンピックに備えて、国策として工場の稼働を減らすといううわさもあります(空が汚すぎるので)  コロナ禍で一瞬だけ自転車需要が上がった時期もありましたが、今はもう落ち着いてしま

自転車屋、儲けるための指標とは

 どんな仕事でも事業でも、目標や指標を設けます。来客数であったり、問い合わせ電話の件数だったりです。わかりやすく、定点観測できるものがいいですね。  自転車屋が大事にすべき指標(数字)はなんでしょうか。私が勤めていたお店や今までの経験からいくつか挙げてみたいと思います。参考になれば幸いです。  タイヤチューブ交換比率  かぎ併売率  PB車販売台数・販売比率  新車販売平均単価  来客数・売上前年比率  利益率の高い修理に持っていく、ついで買いで単価アップ、利益

単純計算はやめよう【自転車屋は割のいい仕事?】

 自転車修理は利益率が高い割のいい仕事だ。本当でしょうか?  たしかに単純原価額から計算すると、自転車修理の利益率は9割から8割、調整作業だと工具を使用するのみなので、利益率100%と言えなくもありません。  しかし、いくらお客さんが来ようと、実際に作業できる上限があります。お客さんが途切れることもあります。他社との競争もあります。  上の記事のような単純計算のようにはなりません。本当に割のいい仕事なら過当競争になるはずです。しかし、そのようにはなっていません。  自

自転車屋は不況に強い?

 自転車屋は不況に強い、技術職で利益率が高いので倒産しにくい。よく言われることですが、本当にそうでしょうか。  結論から言うと、たしかに不況に強く、倒産しにくいのです。が、そのかわり大きく儲かりません。ミドルリスクローリターンです。  不況に強い理由は自転車が嗜好品ではなく、日常必需品だからです(競技用スポーツ自転車を除く)不況だろうと、人間は自転車で移動します。新車の販売額は不況で減りますが、その代わりに修理が増えたりします。  売り上げや利益がいきなり半額以下になるよう

お客さんは適正価格を知らない

 適正価格や相場って、その業界にいないと分かりませんよね。  例えば、ロードバイクのタイヤチューブ交換6000円というと、自転車屋なら「ものによるけど安くもないし、高くもない」値段だと分かります。  いやらしい話ですが、お客さんが適正価格を知らないということが利益の源泉であるとも言えます。そして、お客さんが相場だと思う価格から大きく外れるとぼったくりだと言われることもあります↓  自身の低い経済力を基準にして「高い」と言ってくる人は相手にする必要はないのですが、一般的なお

自転車を売るだけが自転車屋ではない

 あらゆるモノの値段の上昇が止まりません。自転車や補修パーツも例外ではありません。今後も値上げが続く可能性が高いです。  ということで、これからの自転車屋は旧来からの自転車を売る、自転車を直すだけでは成り立たなくなってくると思います。  今後は自転車を売る・直す以外の事業にも手を出していかなければなどと考えてます。  例えば、過去記事から抜粋します…↓  これに加えて、今は洗車専門店や出張店舗なんてのもあるようです。  あとは、まだ構想段階ですが、小規模店舗で集まって相