見出し画像

歴史学的に振り返る欅坂46

孫「秋元康氏プロデュースのアイドルグループ、欅坂46が改名という形で終了してから、かれこれ1年半ほど経ちます。この欅坂というグループ、なかなか印象的なグループでして、多くのファンを獲得していました。今でも楽曲が高校の教科書に採用されたりと、度々名前が聞かれるグループです。
ですが、その活動経緯は不可思議なことも多く、そのミステリアスさも魅力の一つだった気がします。今回は、そんな欅坂を「歴史学的に」振り返ってみようと思います。」
S「気分は呉座勇一氏✕本郷和人氏の対談って感じでしょうか(笑)。」
孫「では早速欅坂の年譜を振り返ってみましょう。

2015/8  最終オーディションを経て21名でスタート
2015/11 長濱ねる特例加入、けやき坂46結成
2016/5  けやき坂1期生11名加入
2016/6  長濱ねる欅坂けやき坂兼任に
2017/夏 平手友梨奈けやき坂合同選抜拒否事件
2017/8  けやき坂2期生9名加入
2017/9  長濱ねるけやき坂離脱、欅坂専任
2018/1  日本武道館ライブ欅坂→けやき坂に振替
2018/11 2期生9名が加入
2019/2  けやき坂「日向坂46」に改名
2019/7  長濱ねる卒業
2020/1  平手友梨奈脱退
2020/2  新2期生6名加入
2020/10 櫻坂46に改名して終了

という感じです。」

孫「最終オーディション時にグループ名が変わるという波乱からスタートした欅坂ですが、すぐに最初の変化に直面します。長濱ねるの特例加入ですね。」
S「このいきさつはよく語り草になりますね。ざっと言いますと、長濱ねるは欅坂最終オーディション時に母親によって地元長崎に連れ帰られてしまう。その後どうしてもアイドルを諦められない長濱の父が運営に相談する。運営は元々卓越したルックスが極めて高く評価されていた長濱を特例で加入させることに決めた。しかし最終オーディションを受けていない長濱をすんなり加入させるわけにもいかず、下部組織「けやき坂46」を作りそこに加入させ、新規メンバーの募集も開始した。そんな流れですね。」
孫「長濱はその半年後欅坂・けやき坂兼務となり、当初の目的通り欅坂に加入、瞬く間に人気メンバーとなりました。」
S「ところがここで最初の「誤算」が生じました。ここで加入したけやき坂の1期生が「スーパータレント軍団」だったことです。」

孫「そう。何せ佐々木久美、加藤史帆、齊藤京子、佐々木美玲らが「アンダー」になったわけですよね。これは厳しいですよ。」
S「このけやき坂1期生メンバーは、先日の「THE FIRST TAKE」(※1)をはじめ、歌番組でソロで歌うこともあるメンバーです。他にも昨年映画デビューした影山優佳、現在主演舞台を控えている潮紗理菜もいました。」
孫「もちろんバラエティ対応はお手の物ですしね。」
S「私が留意が必要と思うのが、アイドルに必要な能力、つまり歌・ダンス・演技・バラエティ等の能力は、「才能」が重要な分野だということです。けやき坂1期生らは、最初からその素質に恵まれたメンバーだったと考えるのが適切かと思います。」
孫「当初は露出の少なさから外部にははっきりとはわかりませんでしたが、欅坂メンバーは共にレッスン、ライブ、テレビ収録などをする関係です。けやき坂1期生のポテンシャルに早くから気が付いていた、と思われます。」
S「そうなるとどうなるか。危惧するのは「選抜落ち」ですよね。」
孫「その通りです。秋元氏のアイドルグループというのは、シングル表題曲の選抜に入れるか、というのが「天国と地獄」のような差があります。欅坂はせっかく21名という「ちょうどいい人数」で全員選抜からスタートした、なのにあんなアンダー組織ができてしまった。今後けやき坂との「合同選抜」なんて事になったら自分が選抜から落とされるかもしれない、そう危惧する欅坂メンバーがいたことは想像に難くない。」
S「そうするとそのメンバーの意識は当然、、、」
孫「長濱に向かうわけですよね。」
S「そうですね。誰よりも長濱自身が過分にそれを感じ取ってしまったのではないでしょうかね。自分がしたことは本当に欅坂にとってよかったのか、と悩んだことも想像できます。」
孫「そして約1年後、その危惧は現実のものとなります。」

S「平手友梨奈のけやき坂合同選抜拒否事件(※2)ですね。」
孫「この事件は文春の報道なので、事実関係は信憑性が置けます。なによりこの事件がなかったら、「前後との整合性」が取れなくなる。」
S「簡単に顛末を説明します。欅坂5thシングルは欅坂けやき坂双方からの選抜メンバーが表題曲を歌うことがスタッフから発表され、欅坂から何名かが選抜落ち、逆にけやき坂から何名かが選抜に入った、しかし欅坂エースの平手をはじめ何人かの欅坂メンバーが、「あくまでも欅坂21名での選抜」を主張し、ボイコットもちらつかせ猛抗議し、結局この選抜は撤回されこのシングルは欅坂のみの選抜となった。」
孫「この騒動に対し、文春の記事は「欅坂にこだわる平手のワガママ」とか「長濱への嫌悪」とか言及していましたが、実態は真逆だと思います。」
S「その通りです。平手の意図は「長濱を守ること」だったと考えるのが妥当です。」

孫「平手に関しては、共演者のインタビューなどを見る限り、悪いイメージは全くない。テレビの中と外で大きく印象が変わるタイプのようです。」
S「芸能界あるあるですね。」
孫「この選抜が実施されたら、選抜落ちした欅坂メンバーは長濱を強く憎悪しかねません。何せけやき坂のせいで選抜落ちしたことになるわけですからね。」
S「そんなことになったらグループが空中分解することは目に見えています。これは長濱の立場を考慮しなかった運営のミスだと思います。逆に平手の行為は「大ファインプレー」と評価するべきと考えます。」

孫「こうして一応「事なきをえた」わけですが、この事件でひとつ、欅坂はけやき坂に大きな「借り」を作ることになった。この半年後、またも不可解な事件が発生します。平手の負傷という理由で日本武道館での欅坂の公演が、けやき坂に振り替えられるんですよ。」
S「私もこの話はうまくできすぎていると思うんですよ。ただ平手がケガしていたのは事実のようです。しかし欅坂はこれ以前にも「平手不在のライブ」を経験していたんですよね。よもや欅坂メンバー全員が振替に賛同していたとも思えませんし。」
孫「この時の振替という判断に、合同拒否事件のことが影響している可能性は否定できませんよね。」


孫「さてこうして欅坂とけやき坂は、「選抜-アンダー」の枠組みは維持しつつ両者は完全に別のグループとなります。」
S「両方を兼務していた長濱は、欅坂専任となります。当時は突然「多忙」という理由でけやき坂から離脱しました。」
孫「長濱は今年五島列島繋がりで、NHK朝ドラにちょい役で出るようですが、基本パフォーマンスを評価されている感じではない。長濱はけやき坂にとって特別な存在ですから、けやき坂にいるとセンター等重要なポジションで使い続けざるを得なくなる。当時の運営からしてみても、長濱が加藤らを従えてずっとセンターというイメージは湧かなかったんだと思います。」
S「だから欅坂の1メンバーということで手を打ったと。」
孫「それが一番妥当な考察ですね。」

S「ところが、これとほぼ時を同じくしてけやき坂に2期生が加入し、欅坂とけやき坂がほぼ同数となります。この2期生というのがまたとんでもないメンバーなんですよね。」
孫「そうです。小坂、富田、松田、丹生、渡邉美穂、、、欅坂メンバーは何を思ったか。」
S「平手らの「抵抗」のお陰で選抜をけやき坂に奪われる可能性はなくなりました。しかし、今度はけやき坂が世の中に「発見」された日には、「箱ごと」ひっくり返される可能性が出てきてしまった、と。例えばシングル表題がけやき坂とか。」
孫「グループ内にそういう懸念が横溢すると、またも一番苦しむのは、、、」
S「長濱」
孫「そういうことですね。」

S「これも文春の報道ですが、長濱はこの頃、17年末あたりからすっかりモチベーションを失い、彼氏に走ってしまったようです。人気は絶頂だったにもかかわらず。」
孫「その行為は当然褒められたものではないですが、正直数奇な人だなとも思いますね。欅坂事務所は、今でも長濱と契約しています。この会社も長濱を「気の毒」と感じたのかもしれません。」


孫「さて、その後18年以降の欅坂は、メンバー間の確執がうわさされるようになりました。」
S「何があったのかはよくわかりませんが、これだけイレギュラーなことが続けばいろんな主張や思惑が飛び交い、統制が取れなくなるのはやむを得ないと思います。
何より欅坂はその後もけやき坂に対し、「選抜たる所以」を示し続けなければならなかった。これは相当しんどかったと思います。」
孫「けやき坂メンバーの能力がわかった今だからこそ、言えることですね。欅坂が極端な「平手一強」となってしまった原因も推測できます。パフォーマンス面でけやき坂を凌駕できるのが平手しかいなかった。「なんだ、平手いなけりゃけやき坂のがマシじゃん」となるのを恐れたんでしょう。」
S「19年以降はメンバーのスキャンダル連発等により、長濱を含め多くのメンバーが卒業していきます。楽曲制作も中止になり、20年初には心身を疲弊した平手が脱退。とうとう「改名」して欅坂と決別することになりました。」
孫「その間けやき坂は日向坂46と名を変えスターダムをのし上がり、今じゃすっかり我が世の春を謳歌しています。」
S「日向坂は「下剋上アイドル」なんて言い方をされることもありますが、欅坂メンバーからしてみれば「予期できた必然」なのかもしれない。」
孫「そうですね。でも櫻坂もよく頑張ってますよね。2期生の力が大きいです。」
S「同時期のAKBと比較してみれば一目瞭然です。」

孫「さて、アイドルと言いつつ所詮は人間の集合体です。こうして歴史学的に欅坂を振り返ってみると、なんだか一般的な組織論にも繋がってくる気がしますね。」
S「今後のそれぞれの活動に期待しましょう。」


(※1)
日向坂46 - ドレミソラシド / THE FIRST TAKE - YouTube
(※2)
【脱退の真相】平手友梨奈が全メンバーを前に「欅坂+けやき坂」合同選抜を拒絶! “因縁の相手”長濱ねるが… | 文春オンライン (bunshun.jp)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?