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形式段落と改行【小論文の極意】  

 SNSやメールでのやりとりが主流となり、そのような媒体を通して文章を読んだり書いたりすることに慣れてしまっているために、無意識のうちに小論文や志望理由書といった正式な答案用紙・提出書類においても、SNSやメールのような書き方になってしまっている文章を拝見することが多くなってきました。その中で特に目立つ2つの点について考えていきます。



【1】 1文ごとに改行してしまう  

 普段特にメールでそれなりにきっちりとした文章を書くことに慣れている人ほど、メールの送信先の人が読みやすいように、1文1文で毎回改行をして行の最初から新たに文を始めてしまうようです。それだけではなく稀に、1つの文が終わっていない段階で、息継ぎをするようなおおよその切れ目が来たときにも、改行をして新たな行の最初からまた書き続けていくという状態の文もあります。

 小論文や志望理由書は、正式な答案用紙・提出書類であり形式的にもきっちりと整った書類として正しく作成されなければなりません。ですから、自分自身の判断で自由に改行をして良いわけではありません。あくまでも形式段落として新しく段落を設定する際に、改行をし1マス空けてから書き始めることで、新しい形式段落を設定することになります。それ以外に勝手に改行をしたり自由に1マス空けたりすることはできません。あまり慣れない書き方かもしれませんが、1つの新しいルールとして頭に入れておいても良いでしょう。


【2】 話し言葉になってしまう  

 SNSやメールでのやりとりに慣れているかどうかのみならず、どうしても普段の会話で用いられる言葉をそのまま小論文や志望理由書に書いてしまっている文章もよく見られます。例えば、「なので」といった接続にしたり、「〜できればと思う」といったように「できれば」何なにかという部分が書かれていなかったり、究極的には「めっちゃ」といった言葉になってしまったりしていることもあります。小論文や志望理由書はチャットではありませんから、きっちりとした文章としてふさわしい言葉の選択を考えておきましょう。「なので」は「したがって」「よって」「つまり」「すなわち」といった言葉に、「めっちゃ」は「非常に」「とても」といった言葉に変換しておくと良いでしょう。


【3】 氏名等の情報を書かない  

 小論文.comの添削指導講座を受講されている時は正式な書類を書いているわけでもありませんし、ざっくばらんに親しみを持って接していただいて全く問題は無く、特にどのような状態で用紙をご提出いただいても問題はありませんが、最近では添削専用原稿用紙の中で氏名等の情報が書かれていない用紙が増えてきました。講座内では問題ありませんが、それに慣れすぎてしまうと本番の試験で受験番号や氏名を書かずに早速論文を書こうとしてしまい、その時点で致命傷となる可能性があります。最近ではかなり優しい対応をしてもらうことができ、それだけで致命傷にはならないケースもありますが、減点をされないことはありません。特にただただ論述力だけを検査しているわけではなく、入学入社をするにふさわしい「人間性」が備わっているかも含めて検査されています。受験番号や氏名を書かないことで几帳面さがない、丁寧さが足りないという人間性に対するマイナス評価をされてしまう可能性もありますから、当たり前のことではあるもののしっかりと意識をして確実に書くようにしておきましょう。


【4】 枠内の文字があまりにも小さい  

 最近ではスマートフォンなどで文字を書くことには慣れているものの、鉛筆・ペンを持って手を動かして文字を書いていくことに慣れておらず、原稿用紙の枠に対してあまりにも小さな文字で書いてしまうケースがよく見られます。【3】でもありましたが、これも人間性を検査されてしまうことにもつながってしまいますから、むしろ大きな文字で力強く自分をアピールする書き方にしておきましょう。枠からはみ出るほど大きく書く必要はありませんが、採点者が読み取れないような文字の大きさではどうしても得点を失う結果になってしまいます。高齢の教授が採点をするというイメージをしながら、自分自身の主張を理解してもらうために濃く力強い文字で書いていきましょう。


【5】 文字表記が雑すぎる  

 ここも【4】と重なってどうしても書くことに慣れていないためか、握力が弱っているために、薄い文字で強弱のない続け字を書いてしまっているケースがあります。こうなるとやはりここも人間性といった観点で見られてしまいかねませんし、またそもそも文字が読み取れない可能性も高くなります。達筆である必要は全くありませんが、読み手に理解してもらいたいという思いを込めて自分のできる最も丁寧な文字で書いていく必要があります。


【6】 受験させていただくという立場  

 私たちはあくまでも「受験をしてやる」という立場ではなく、「受験をさせていただく」という立場ですから、受験先に提出する原稿用紙や書類をきっちりと作成しないというのは大変失礼な状態になってしまいます。あくまでもなんとしても合格したい、合格させていただきたいという気持ちを用紙にぶつけるようにしておきましょう。そう考えるとなかなか雑な仕上がりにはならないものです。普段のようにイヤホンをしてガムを噛みながら面接試験を受けるはずは無いわけで、それと同じように小論文の原稿用紙や志望理由書では相手に失礼にならないように、きっちりと対応しておきましょう。


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