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小論文試験における制限【小論文の極意】  



【1】 制限時間と制限文字数  

 一般的な小論文試験において、(1)制限時間と(2)制限文字数の2つの指定があるのが通常です。小論文試験で検査されている内容である論理的思考力自己アピールなど、特に何か受験生に制限をして検査をする必要がない、むしろ自由に時間と文字数を与えた上で論述をする状態のほうがそのような能力の検査ができるように思われます。それではなぜ(1)制限時間と(2)制限文字数の2つの指定が一般的なのでしょうか。


【2】 時間と文字数が制限される理由  

(1) 形式的な理由 

 小論文試験は少人数の受験者を対象として絶対評価をする検査というよりも、ある程度の合格者の人数をあらかじめ決めておいた上で、大人数の受験者を対象として相対評価をする検査であることが一般的です。特に少人数の受験者を対象とする場合は、制限時間や制限文字数がある小論文を指定時間内に一斉に書かせて検査をするというよりも、事前に課題を発表して自由に論文を書かせるという検査をすることが多く見られます。すなわち、小論文試験を課すという場合は、おおよそ後者の(1)大人数の受験者を対象として、(2)相対評価をするというのが一般的だということです。そうなると受験者がどうかという目線とは別に、試験という形式において、試験日や合格発表日、採点者の日程や人員の確保等といったような様々な形式面での理由から、ある程度制限をかけることによって試験を課す側の都合で採点しやすいようにするために時間と文字数を制限しているということです。

(2) 実質的な理由 

 特に大学受験や就職試験等における小論文は、【1】のように論理的思考力や自己アピールといった観点での検査をしています。ただこれは無事に合格をした後の大学入学後や就職後において、その大学での授業や研究、就職先での業務内容や人間関係等についていけるのかどうかという能力を意識した形で行われます。つまり、特に何も制限をされていない状態の中で自由に自分本位でタスクを進めていくという能力を問われているわけではなく、ある一定の時間の中でどれだけの「仕事量」をこなすことができるのかどうかという仕事能力を問われているということです。

時間 × 文字数 = 仕事量

 永遠に時間がある中であればできることでも、ある一定時間の制限がある中で必要な仕事が終えられないということはよくあります。いわゆる「仕事ができる」という状態はまさに、限られた条件の元でどれだけ多くのパフォーマンスを見せるのかどうかを指しているということです。そのため、小論文試験では「制限時間」と「制限文字数」を課すことによって、そのような条件の中でどれだけ濃いものを完成させられるかを検査するということです。

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