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看護師になるためには【受験情報】

 病院や診療所で、医師の指示に従い治療を助け、患者さんの健康を守る看護師。診察補助、入院している患者さんのお世話、手術中の補助、救急センターでの看護など、働く環境により様々な役割を担っています。技術や知識だけではなく、体力と精神面も重要視される専門職です。



【1】 看護師になる進路  

 看護師になるには、看護師国家試験の合格者が取得できる「看護師資格」が必要です。文部科学大臣または厚生労働大臣指定の4年制大学、3年制の短大、専門学校を卒業し、看護師国家試験の受験資格を得た後に看護師国家試験を受験します。看護師資格を取得後は、希望する病院や診療所の採用試験を受けて就職します。


【2】 看護師に向いている性格・適性・能力  

(1) 生涯学習に対する努力  

 看護師は「生涯学習」の努力が義務化されています。看護師資格を取得後も、個人の責任として常に学び続け、能力を維持し高めるよう努めることは「責務」とされています。

 日々学ぶ努力をするのは新人だけではなく、看護師としての経験が豊富な人も同様です。経験が増えれば増えるほど、看護師の中でリーダーシップをとる役割や委員会に所属するなど専門的な知識を蓄える必要性が増していくため、継続的な学習が必要となります。

 職場によっては、勉強会の開催等、生涯学習支援が豊富なところもあり、積極的に参加する努力も怠ってはいけません。キャリアを積むごとに、専門看護師や認定看護師など更なるキャリアアップを目指した資格も用意されています。勉強させられていると感じるのではなく、積極的に勉強する姿勢を持てる人でなければ務まらないと言えるでしょう。

(2) 体力面と精神面のタフさ  

 日勤や夜勤などの勤務で不規則な生活になったり、患者さんの介助をしたり、座って休憩する時間が少なかったりと体力がなければ務まりません。

 また、命を扱う現場では、時には非常に耐え難い悲しい出来事や不幸な出来事も経験します。心を病んでしまうことなく精神的なショックからも立ち直り、看護師としての務めを果たせる精神的な強さが求められる職業です。

(3) 妥協を許さない  

 常に緊張感があり忙しい中、決してミスは許されない医療現場。いつも決められた手順を正しく守り、適切な対応を行わなければいけません。「これくらい大丈夫だろう」という少しの妥協も許されません。プレッシャーが大きい中、どれだけ忙しくても決して妥協を許さない自分に厳しい人であることが大切です。

(4) コミュニケーション能力  

 看護師の仕事は決して1人で行うものではなく、指示を仰ぐ医師、看護師同士、検査技師やその他のスタッフと連携し行う「チーム医療」が鍵となります。患者さんとの信頼関係を築くためにも、まずは一緒に働く医療従事者同士が協力しながら対応しなければなりません。ただ聞いたことだけをするというよりは、自ら積極的にコミュニケーションを取り、医師や同僚に報告や相談をする姿勢が重要視されます。


【3】 学校の種類  

 看護師の資格を取得するには、文部科学大臣指定の学校もしくは厚生労働大臣指定の看護師養成所を卒業し、看護師国家試験に合格後に看護師免許を受ける必要があります。

 看護師資格を取得するための看護学校にはいくつか種類があり、どのような進路やキャリを目指したいかにより選択することが可能です。具体的な看護学校の種類は大きく分けて、(1) 4年制大学、(2) 大学院、(3) 3年制短期大学、(4) 3年制専門学校の4つです。それぞれの特徴をご紹介しますので、ご自身に最も適している学校や養成所を選びましょう。

(1) 4年制大学  

 高校卒業以上の人に受験資格が与えられる4年制大学は、4年間という時間があるわけですから、他の学校や養成所とは違い比較的、時間の余裕を持って専門知識を習得することが可能でしょう。設備が整っている大学も多く、実習を学内で行えることも魅力の1つです。4年間の学費を払わなければならないため経済的にはハードルが高いと言えますが、助産師、保健師など看護資格を取得後のキャリアの幅が広がるのは事実です。また、海外の大学などと交流協定を締結していたり、研修制度や留学生徒が充実していたりなど、活躍の場を海外へ広げたい方にもおすすめです。

(2) 大学院  

 大学、短期大学、専門学校に比べて、より専門的な知識を習得できるのが大学院の特徴です。大学院の受験資格は、大学院により異なりますが、多くの場合は大学で4年間、大学院で1〜2年間の知識を学ぶわけですから、合計5〜6年間じっくりと時間をかけて知識の習得に励めます。保健師、助産師、養護教員免許などの受験資格が習得できるカリキュラムが組まれている大学院が多く、各自の研究テーマに沿って知識や技術を深めていくことになるので、研究好きな方や特定の分野の専門家になりたい方に向いています。

(3) 3年制短期大学  

 3年制短期大学の多くは、大学の医学部や大学病院に付属し設置されています。全国でも数が少なく、多くの場合は4年制大学への編入ができることも特徴でしょう。3年間でカリキュラムを終えなければならないので、4年制大学に比べると時間的な余裕は少ないですが、学費は少なく抑えられます。

(4) 3年制専門学校  

 看護師の専門知識に特化しているため、専門知識の習得に集中できるのが特徴です。高校を卒業していれば受験資格が与えられるため、高校卒業後に直接進学する人が多いようです。また、社会人経験を経て進学するなど様々な人がいるので年齢層の幅が広いのも特徴でしょう。専門学校を卒業し保健師や助産師などその先の資格取得を目指す場合は、3年間に加えて養成施設に通う必要があります。


【4】 看護学校の選び方  

 看護師を目指す上で、様々な進路の選択肢があるため迷う方も多いでしょう。将来に向けて慎重に進路選びをしなくては、将来を棒に振る可能性もありますので、後悔をしない進路選択が大切です。進路選択をするには、主に(1) 学ぶ期間、(2) 学費、(3) 受験科目、(4) 通学時間の4つを見極めることが鍵になります。

(1) 学ぶ期間  

 看護師になるためには、3年以上必要課程を学ぶ必要がありますが、大学のように4年間で一般教養を含む知識をじっくりと学びたいのか、専門学校のように3年間の最短時間で看護師として活躍したいのかを選ぶ必要があります。

(2) 学費  

 看護師になるための学費には、一般的に入学金、授業料、施設設備充実費、実習費といった内訳になっています。入学金は初年度のみの支払いとなりますが、その他の学費は毎年払うものです。その他にも教材費や実習の際の白衣代など様々な費用がかかるので、各看護学校でどのような費用がかかるのかの詳細を確認しておく必要があります。高校を卒業した先輩に話を聞くのも1つの手ですし、実際に入学した先輩等の話をオープンキャンパスやインターネットで調査することもできます。

 看護師を目指すうえで、費用がかかることは避けて通れないことですので、学費をサポートするような奨学金制度を導入している大学や専門学校を選択するのも良いでしょう。奨学金の検討する際は、締め切りを逃さないように高校に在学している時から早めに調査しておくことをおすすめします。

(3) 受験科目  

 看護師を目指す場合に限ったことではありませんが、進学する際にどのような受験科目が課されているのかも重要です。合格を目指すのであれば、ご自身が得意な科目で受験ができる方が良いでしょう。

 例えば、4年制大学とひとくくりに言っても、私立なのか国公立なのかで異なりますし、また試験方式によって試験内容も異なります。一般入試の他にも、学校推薦型選抜、総合型選抜、社会人選抜、留学生選抜、編入学選抜など、「国語、数学、英語」に加えて「生物、化学」や「小論文、面接」に重きを置いている試験方式も存在します。志望校により異なりますが小論文を課している場合は、配点を高く設定していることが多いため、大学の学部や学科、専門学校をよく調べて万全な状態で試験に挑みましょう。

(4) 通学時間  

 通学時間がどのくらいかかるのかもとても大切です。通学時間だけではなく、朝の交通機関の混雑状況や乗り換え環境など、入学後の毎日の生活に大きく左右することなので、具体的な確認をおすすめします。あまりにも自宅から遠い看護学校を受験する場合は、実家を離れて1人暮らしをする選択肢もあります。しかし、その場合は学費以外の費用がかかってくるので、保護者の方と相談しましょう。


【5】 看護師学校一覧  

 全国の看護師学校が検索できる、厚生労働省のウェブサイトです。2023年08月21日時点では、看護師の養成施設は全国に1006 校 1028 課程あります。是非、参考にされてください。

厚生労働省|看護関連政策 医療関係職種養成施設|看護師(外部リンク)


【6】 看護師国家試験について  

 看護師国家試験は毎年1回、2月中旬に1日かけて実施されます。

 試験時間は合計5時間20分で、2時間40分の試験が午前と午後に分けられています。試験地は、「北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県」となっています。試験科目は全部で10科目です。

  • 人体の構造と機能

  • 疾病の成り立ちと回復の促進

  • 健康支援と社会保障制度

  • 基礎看護学

  • 成人看護学

  • 老年看護学

  • 小児看護学

  • 母性看護学

  • 精神看護学

  • 在宅看護論

  • 看護の総合と実践


【7】 第113回看護師国家試験の概要  

 次回の看護師国家試験である第113回看護師国家試験のスケジュール一覧です。気を引き締めて試験勉強に取り組み、合格率に気分を左右されることなく合格を目指しましょう。

試験実施日: 2024年2月11日(日)
合格発表日: 2024年3月22日(金)午後2時

試験地:
  北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、
  石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県

当日スケジュール:
  午前の部 午前9時50分~12時30分(計2時間40分)
  午後の部 午後2時20分~5時(計2時間40分)

 第112回看護師国家試験の問題は、厚生労働省のウェブサイト「第112回看護師国家試験の問題および正答について」よりご確認いただけます。


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